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ACT6 帝国の魔手

#16 リコ⑩

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 フローリングの床を一気に突き破って出現した十数本の触手たち。
 どうやらこれは、怪獣が床下に張り巡らせた根っこのようなものであるらしい。
 それでも色が銀色で金属光沢を帯びているのは、ヴァギナの右腕が分化したものだからなのだろう。
 大の字になったリコの太腿と腹にも、触手は巻きついている。
 始末が悪いのは、その触手がゆっくりと動きながら、先端を蛇のように持ち上げ、防具の隙間を狙って這い上がってくることだ。
 上半身のアーマーとスカートの間はへそがむき出しになった平らな腹である。
 その腹の部分とアーマーの境に、少しだが隙間がある。
 そこにミミズのような触手の頭が潜り込み、胸のあたりにまで這い上がろうとしているのだ。
 事情は下半身も同様だった。
 鋭角に切れ上がったハイレグレオタードの太腿のつけ根との境目の部分。
 そこにも別の触手が今しももぐりこみかけている。
「や、やめろっ」
 空中で弓なりに身を反らせるリコ。
 触手がついにアーマーの下から胸まで這い上がり、左右の乳房の根元を8の字にひと巻きしたのである。
 にゅるにゅるとうごめく触手に、柔らかなふたつの乳房がスポンジのように搾り上げられる。
 なんとかもう一度変身を。
 そうは思うのだが、両手の自由を奪われているため、それもかなわない。
 変身のためには、アーマーの上に突き出た乳首スイッチをひねる必要がある。
 この際、右でも左でもいい。
 せめてどちらかに手が届きさえすれば…。
 だが、いくら渾身の力を込めて引きちぎろうとしても、触手たちは意外に丈夫だった。
 下半身の触手もすでにレオタードの下への侵入に成功し、リコの柔毛の間をさまよっているようだ。
 ハルにされるならまだしも、こんな気持ちの悪い怪物に冒されるのは願下げだ。
 リコは必死で頭を回転させた。
 身体の中で動く箇所といえば、それは…。
 胸を反らし、顎を引く。
 アーマーを盛り上げる乳房が上を向き、金色の乳首がすぐ近くに来た。
 リコは心の中で快哉を叫んだ。
 こういう時、巨乳は役に立つ。
 リコは自分のGカップの乳を、己の舌で舐めることができるのだ。
 それは普段のオナニーで実証済み。
 あとは、前歯で咥えることができさえすれば…。
 乳房が触手に締め上げられているのが、ある意味幸運だった。
 そのSMチックな感触に、意志とかかわりなく、リコの乳首は勃起し始めている。
 もっとだ。
 もっと勃起しろ!
 リコは目を閉じ、先ほどのトイレでの光景を脳裏に思い描くことにした。
 片足を限界まで上げ、ハルに抱きしめられて陰部をさらしたリコ。
 その濡れそぼる股間を狙う、ハルの黒光りする屹立した男根。
 ああ、ハル。
 入れてほしかったのに…。
 よみがえった興奮で身体の奥ににゅるりとした感触を覚えた時、唇の先に硬いものが触れるのがわかった。
 来た!
 逃さないように、がっしりと前歯で咥え込む。
「何してる? おまえは変態か?」
 あざ笑うようなヴァギナの声。
 うるさい!
 今に見てろ! 
 首をひねって、ぎりぎりと乳首を右に回転させていく。
 乳輪の目盛は見えないから、そこは適当だ。
 ただあまり回し過ぎると大きくなりすぎてやっかいなことになるので、手加減したほうがいいだろう。
 乳首のねじれる快感に、思わず喘ぎそうになる。
 そのうち、カチっという澄んだ音がした。
「くはっ! な、何事なの?」
 叫んだのは、ヴァギナのほうだった。
 リコの全身が、突如としてまばゆいばかりの光輝に包まれたのだ。
 ブチブチと弾け飛ぶ触手たち。
 遠近法が狂ったかのように、ぐんぐん大きくなっていくリコの身体。
「馬鹿やろ。今度はこっちの番だ」
 ちょうど狙い通りのサイズに変身できたらしい。
 怪獣とほぼ同じ身長と化し、ヴァギナの顔を正面から見据えて、リコはすごんだ。
「アリアを返せ。この化け物!」
 
 
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