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ACT12 腸詰帝国潜入作戦
#45 アリア⑬
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「グフグフ、そうかいそうかい。お嬢ちゃんには、本物の男ってもんがよくわかってるってわけだ」
カブトムシ怪人が、壁ドンの姿勢でアリアに顔を近づけてきた。
触角がひくひく動いているのは、興奮している証拠なのだろう。
昆虫タイプだから舌はないと思っていたのに、その考えは甘かった。
カブトムシ怪人の顔の下半分は人間のそれで、分厚い唇がぬめりと開いたかと思うと、ナマコのように分厚い舌が伸び出してきて、べろりとアリアの顔面を舐め上げたのである。
うわああああ。
吐き気をこらえながらも、アリアはある目的のため、笑顔を絶やさない。
「で、でもおじさま、いいことするまえに、ひとつだけ、お願いがあるんですう」
せいいっぱい男に媚びる声を出し、怪人に訴えかけた。
「ほほう、お願いとな。お嬢ちゃんみたいにかわいこちゃんのお願いと来た日には、おじさん断り切れないなあ」
グフグフ笑って、カブトムシが言う。
その口から樹液みたいな唾が垂れてきて、アリアの顔に降りかかる。
「あのですね。アリア、朝からなんにも食べてないんですう。だから、せっかくおじさまに気持ちいいことされても、おなかが空いてると、どうしても意識がそっちに行っちゃって、心の底から楽しめないと思うんですう」
「そうか。そりゃいかん」
重い頭を、怪人がゆっくりとうなずかせた。
「でも、道に迷っちゃって、どこに行けば食べ物があるかもわかんなくて…」
アリアはすでに涙目になっている。
このあたりの演技は、ロリコン美少女ならではである。
「なあに、お安いご用だ。ならば、いいものをあげよう」
そう言ってカブトムシ怪人が、腰のベルトに手をやった。
幅の広いベルトにはポシェットみたいな袋がついていて、何が入っているのか、ぱんぱんに膨らんでいる。
「いいものって?」
「これは、我々戦闘員の携帯食だ。エネルギー効率も抜群だし、このサイズで十分な満腹感を味わえる。これを飲みさえすれば、丸一日飲まず食わずで戦えるんだ」
やった、とアリアは心の中で快哉を叫んだ。
やはりハルの推測通りだった。
改造人間の戦闘員を収容するこのエリアには、兵士用の非常食がどこかに保管されているに違いない。
「あ、ありがとうございまーす!」
怪人の手から携帯用ゼリーの容器を素早くひったくると、アリアは背伸びしてその黒光りする頬にキスをした。
よおし。
とにかく今は、これさえ飲めば…。
キャップをはずし、おそるおそる口に含んでみた。
最初のひと口は、悪くなかった。
少し生臭いけど、口当たりがよく、かすかに甘い。
空腹を刺激されて貪るように飲み干した時だった。
胃の底がかーっと熱くなり、なぜか足がふらついた。
「うう…なんか、おかしな気分…」
と、よろめくアリアを片腕で抱きかかえ、グフグフ笑いながら、怪人が言った。
「どうだい? お嬢ちゃん、腸詰帝国特製の”飲む媚薬”のお味は?」
カブトムシ怪人が、壁ドンの姿勢でアリアに顔を近づけてきた。
触角がひくひく動いているのは、興奮している証拠なのだろう。
昆虫タイプだから舌はないと思っていたのに、その考えは甘かった。
カブトムシ怪人の顔の下半分は人間のそれで、分厚い唇がぬめりと開いたかと思うと、ナマコのように分厚い舌が伸び出してきて、べろりとアリアの顔面を舐め上げたのである。
うわああああ。
吐き気をこらえながらも、アリアはある目的のため、笑顔を絶やさない。
「で、でもおじさま、いいことするまえに、ひとつだけ、お願いがあるんですう」
せいいっぱい男に媚びる声を出し、怪人に訴えかけた。
「ほほう、お願いとな。お嬢ちゃんみたいにかわいこちゃんのお願いと来た日には、おじさん断り切れないなあ」
グフグフ笑って、カブトムシが言う。
その口から樹液みたいな唾が垂れてきて、アリアの顔に降りかかる。
「あのですね。アリア、朝からなんにも食べてないんですう。だから、せっかくおじさまに気持ちいいことされても、おなかが空いてると、どうしても意識がそっちに行っちゃって、心の底から楽しめないと思うんですう」
「そうか。そりゃいかん」
重い頭を、怪人がゆっくりとうなずかせた。
「でも、道に迷っちゃって、どこに行けば食べ物があるかもわかんなくて…」
アリアはすでに涙目になっている。
このあたりの演技は、ロリコン美少女ならではである。
「なあに、お安いご用だ。ならば、いいものをあげよう」
そう言ってカブトムシ怪人が、腰のベルトに手をやった。
幅の広いベルトにはポシェットみたいな袋がついていて、何が入っているのか、ぱんぱんに膨らんでいる。
「いいものって?」
「これは、我々戦闘員の携帯食だ。エネルギー効率も抜群だし、このサイズで十分な満腹感を味わえる。これを飲みさえすれば、丸一日飲まず食わずで戦えるんだ」
やった、とアリアは心の中で快哉を叫んだ。
やはりハルの推測通りだった。
改造人間の戦闘員を収容するこのエリアには、兵士用の非常食がどこかに保管されているに違いない。
「あ、ありがとうございまーす!」
怪人の手から携帯用ゼリーの容器を素早くひったくると、アリアは背伸びしてその黒光りする頬にキスをした。
よおし。
とにかく今は、これさえ飲めば…。
キャップをはずし、おそるおそる口に含んでみた。
最初のひと口は、悪くなかった。
少し生臭いけど、口当たりがよく、かすかに甘い。
空腹を刺激されて貪るように飲み干した時だった。
胃の底がかーっと熱くなり、なぜか足がふらついた。
「うう…なんか、おかしな気分…」
と、よろめくアリアを片腕で抱きかかえ、グフグフ笑いながら、怪人が言った。
「どうだい? お嬢ちゃん、腸詰帝国特製の”飲む媚薬”のお味は?」
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