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ACT12 腸詰帝国潜入作戦

#39 リコ⑲

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「怪しいな。罠じゃないのか。なんで秘密基地に、案内板があるんだ?」

 いぶかしげに首をかしげるリコに、

「下っ端がみんなビュンビュン丸みたいに方向音痴なら、そのくらいあってもおかしくないだろう。それにたとえ罠だとしても、恐れることはなにもない」

 ハルは相変わらず悠然とした態度を崩さない。

「えーっと、どうもこの基地はリング状の通路が3つ重なってて、ここはその一番上みたいですよ。部屋がいくつもあって、番号がふってあるだけで、何がどうなってるのかよくわかりませんけど」

 さっそく案内板に顔を近づけ、アリアが報告してきた。

「だんだん思い出してきました。確か指令室と研究所が最下層にあるはず。皇帝がいるとすれば、そこですね」

 アリアの隣で案内板をしげしげと眺めながら、ビュンビュン丸が言う。

「この階はいったいなんなんだ? この小部屋の意味は?」

 リコが眉をひそめると、

「ここは改造人間の居住区だと思います。俺も、この部屋のどれかに住んでたような気がする。おそらく彼女も…」

 ビュンビュン丸が悲しそうな表情になったのは、命を落とした恋人、野戸珍子のことを思い出したからに違いない。

「じゃあ、この下は?」

「第2層は、いわゆる”怪獣牧場”です。そこだけチューブ状ではなく、完全な円形の空間になっていて、機械獣や怪獣が放牧されています。たぶん、さっきのタコ怪獣もそこから来たんだと思います」

 気を取り直して、ビュンビュン丸がリコの問いに答えた。

「怪獣牧場か。さすがにそれはスルーしたいところだが、どうせそこを通らないと第3層には行けないんだろう」

 悟りきった口調でハルがつぶやいた。

「ですね。ほら、ここにエレベーターがあるにはありますが、このエレベーター、第2層までしか行けません」

「だったらどうやってその下に行くんだよ?」

「これを見てください。第2層の反対側の端に、もう一基エレベーターがあるでしょう? 第3層への通路はこれだけなんです」

「クソ不便だな。まったく、何考えてんだか。珍墨彩は」

「幹部連中は第3層からほかの層に指令を出すだけですから。怪獣や部下の改造人間とじかに顔を合わせる必要なんてないし」

「どの道、その怪獣牧場とやらを横断しなければ、目的地にはたどり着けないわけだな」

 ハルが言って、3人を見た。

「ならば、そうするしかあるまい。しかし、そのためには、リコとアリアには変身して、戦闘モードを維持してもらう必要がある」

「けど、エネルギー源がないと、そんなに長時間の変身は無理だ」

「だからそのエネルギー源となる非常食をこの階層で調達する。ここは改造人間の居住区なんだろう? ならば、栄養ドリンクや食料ぐらいはあるはずだ」
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