破滅招来乙女リコ 【アダルト】

ACT12 腸詰帝国潜入作戦

#27 リコ⑪

「なんだおまえは？」

　ぶっきらぼうな口調でハルがたずねた。

「このジムのオーナー、黒木三郎と申しますが、何かお困りのことでも？」

　ハルの暴言にも顔色ひとつ変えず、男が言った。

　なるほど、若社長のようなその貫禄は、どうやら伊達じゃないらしい。

「100万で浮き輪の使用を許可してほしい。この女たちに、そう交渉していたところだ。うちのアリアは、浮き輪がないと泳げない。泳げなければ、プールに来た甲斐がないだろう。何なら、この建物ごと買い取ってもいいが」

　相変らず、宇宙刑事の言うことは無茶苦茶である。

「よせよハル。アリアの面倒はうちが見るから。ちゃんと浮き輪なしで泳げるようにしてやるよ」

　さすがに閉口して、リコはハルのスーツのは袖を引っ張った。

　が、次の展開は、完全にリコの意表を突くものだった。

「はははは、愉快なお嬢さんだ」

　黒木三郎オーナーが、破顔一笑して、言ったのである。

「なんの、それには及びません。ちゃんと通常料金で、プレミアムプールのほうを使わせてあげますよ。こんな美人ぞろいのお客様に不愉快な思いをさせては、うちのジムの名折れというものです。プレミアムプールは、ゴールド会員限定ですから、この時間帯はがら空きです。すなわち、あなた方の貸し切りというわけですな」

「かたじけない。恩に着る」

　偉そうに、ハルが言う。

　リコはふと、またまた嫌な予感を覚えないではいられなかった。

　貸し切りということは、他人の目が一切ないということ。

　ようするに、ハルのやりたい放題ではないか？

　ふとそう危惧したのだった。