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ACT12 腸詰帝国潜入作戦

#7 アリア⑦

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 漆黒のレオタードの上半身は、元アリアのゴスロリ風ビスチェで覆われている。
 ただ違うのは、レースの飾りがすべて着脱可能な手裏剣になっていることだ。
 レース編みのロンググローブの肘から手首にかけて、鋭角のひれが伸びていて、どうやらそれは剃刀状の刃物になっているようだ。
 それは足のロングブーツも同様だった。
すなわち、変身で新たに手に入れた身体は、全身が武器になっているというわけである。
 身体の芯にダイナモが埋め込まれ、それが高速で回転している感じ、とでも言えばいいだろうか。
 指先や髪の毛の一本一本まで力がみなぎって、今にも爆発しそう。
 最初は、ビュンビュン丸を相手に、軽くウォーミングアップをするだけのつもりだった。
 それがいつのまにか、アリアは身体を動かすことに夢中になっていた。
「や、やめろよ! 君が強いのは、もうわかったってば!」
 サンドバッグ代わりにアリアのパンチやキックを受けながら、ビュンビュン丸が泣きわめく。
 改造人間だからまだなんとかもっているようなものの、その顔はすでにボコボコに腫れ上がり、立っているのがやっとというありさまである。
「まだまだ!」
 アリアは蝶のように舞い、華麗に身体を回転させては、連続して鋭い回し蹴りを放つ。
「わ! いて! ちょ、ちょっと、もう、ダメだって!」
 砂の上を転げまわって、ビュンビュン丸が逃げようとする。
「まてえ! ようし、こうなったら巨大化だあ!」
 胸のふくらみのてっぺんに穴が開いているのはすでに確認済みだ。
 そこから可愛らしい乳首が飛び出ているのは、MILKYと同じ仕様である。
 リコさま、確かこれを回してたよね。
 見よう見まねで、右の乳首をひねってみた。
 カチ、カチっと、2回音がした。
 そのとたんである。
 やにわに身体が振動し始めた。
「あわわわわ」
 気持ち、いい。
 やだ。
 なんだか、オナニーでイッた時みたい。
 振動が収まると、視点が前よりずいぶんと高くなっていた。
 身長が倍になったような感じである。
 幸い、服は破れずにそのままだ。
 よほど伸縮自在の生地で作られているのか、それともアリアの体組織の一部になってしまっているからなのか。
「やったよ! ビュンビュン丸! 見て! 大きくなった!」
 思わずはしゃいだ声を上げた時である。
 ふいに、視界の隅で光が爆発した。
「ん?」
 驚いて振り返ると、虹色の光が消えたあたりに、純白のMILKYが立っていた。
 まずい!
 リコさまに見つかっちゃった!
 アリアはぺろっと舌を出した。
 でも、ものは考えようだ。
 こうなったら、
 MILKY相手に、この新しい身体の性能を試してみるのもいいだろう。
 ビュンビュン丸では、相手にならないし。
「おまえは、誰だ?」
 アリアの前に舞い降りると、リコがたずねた。
「アリアに似ているが、まさか…」
「あたしの名は、アリアン」
 ふと閃いた名前を、アリアは口にした。
「闇からの使者、ブラック・アリアンだよ」
 
 
 
 
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