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ACT12 腸詰帝国潜入作戦
#6 ハル②
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ハルの着ているリクルートスーツは、ナノマシンでできている。
だから、ハルの意志に呼応して、自由にデザインを変えられる。
その機能を利用して、今、ハルは衣服をSM女王風ボンテージハイレグ戦闘服に変えている。
性格的に、この格好が最も戦闘意欲を高めてくれるからだった。
『いよいよ、ジラフ登場でっか! こいつあ、えらいことでっせええ!』
ハル以上に、セラフィムは興奮しているようだ。
「少しは黙ってろ」
オヤジの背後霊に憑りつかれたような不快感を覚え、ハルは叱った。
「おまえのしゃべり方、それ、汗臭い」
『さよか、そら、すんまへん』
「いいから、黙って戦闘モードに切り替えろ」
『はいな。ほな、これで』
鞭の形に変形したブレスレットが、ハルの左手首に巻きついた。
アトリエを出ると、外は真っ暗だった。
リコの家は、港からもかなり離れた高台の上にある。
見えるのは、数少ない空の星と、遠くの町の灯くらいのものだった。
浜辺に下りると、リコはまだ来ていなかった。
「や、やめてくれえ!」
「し、死ぬぅ!」
いきなり、そんな悲鳴が聞こえてきた。
声の主は、どうやらビュンビュン丸のようだ。
「ん? あいつ、こんなところで何をしている?」
木蔭に身を潜め、ハルは眼鏡に2本の指を当てた。
ハルの眼鏡は、当然のことながら、赤外線暗視装置付きである。
だから、暗闇でも昼間と同じくらい、よく見える。
ビュンビュン丸が、丸裸で木の葉のように翻弄されているのが、視界に入ってきた。
その貧弱な裸体に向かって攻撃をしかけているのは、漆黒の衣装に身を包んだ少女である。
ぱっと見の印象はずいぶん違うが、小柄な割にむちっとした体つきとコケティッシュな横顔は、まぎれもなくアリアのものだ。
アリアはメイド服の露出度を極限まで高めたような、奇妙なコスチュームを身にまとっている。
その恰好で、何御つもりか、ひたすらビュンビュン丸にパンチやキックをお見舞いしているのだ。
「どこにジラフがいるというんだ? あれはアリアとビュンビュン丸じゃないか」
『感じまへんか? すごいエネルギー量でっせ。間違いおまへん。ジラフはあのおなごのほうや』
「アリアがジラフだと? バカも休み休み言え」
ハルが声を尖らせた時だった。
ビュンビュン丸からぱっと飛び退ったアリアが、ふいに倍近くに大きくなった。
身体が一瞬ぶれを起こしたかと思うと、次の瞬間、身の丈3メートルほどに巨大化したのだ。
「やったよ! ビュンビュン丸! 見て! 大きくなった!」
どういうわけか、嬉しそうにはしゃいでいる。
「マジか」
と、意外なほど近くで、リコの声がした。
振り向くと、すぐ後ろで、トレンチコートを着たリコが片膝をついてうずくまっていた。
「あれじゃ、まるでMILKYじゃないか」
呆然とした口調で、もう一度、リコがつぶやいた。
だから、ハルの意志に呼応して、自由にデザインを変えられる。
その機能を利用して、今、ハルは衣服をSM女王風ボンテージハイレグ戦闘服に変えている。
性格的に、この格好が最も戦闘意欲を高めてくれるからだった。
『いよいよ、ジラフ登場でっか! こいつあ、えらいことでっせええ!』
ハル以上に、セラフィムは興奮しているようだ。
「少しは黙ってろ」
オヤジの背後霊に憑りつかれたような不快感を覚え、ハルは叱った。
「おまえのしゃべり方、それ、汗臭い」
『さよか、そら、すんまへん』
「いいから、黙って戦闘モードに切り替えろ」
『はいな。ほな、これで』
鞭の形に変形したブレスレットが、ハルの左手首に巻きついた。
アトリエを出ると、外は真っ暗だった。
リコの家は、港からもかなり離れた高台の上にある。
見えるのは、数少ない空の星と、遠くの町の灯くらいのものだった。
浜辺に下りると、リコはまだ来ていなかった。
「や、やめてくれえ!」
「し、死ぬぅ!」
いきなり、そんな悲鳴が聞こえてきた。
声の主は、どうやらビュンビュン丸のようだ。
「ん? あいつ、こんなところで何をしている?」
木蔭に身を潜め、ハルは眼鏡に2本の指を当てた。
ハルの眼鏡は、当然のことながら、赤外線暗視装置付きである。
だから、暗闇でも昼間と同じくらい、よく見える。
ビュンビュン丸が、丸裸で木の葉のように翻弄されているのが、視界に入ってきた。
その貧弱な裸体に向かって攻撃をしかけているのは、漆黒の衣装に身を包んだ少女である。
ぱっと見の印象はずいぶん違うが、小柄な割にむちっとした体つきとコケティッシュな横顔は、まぎれもなくアリアのものだ。
アリアはメイド服の露出度を極限まで高めたような、奇妙なコスチュームを身にまとっている。
その恰好で、何御つもりか、ひたすらビュンビュン丸にパンチやキックをお見舞いしているのだ。
「どこにジラフがいるというんだ? あれはアリアとビュンビュン丸じゃないか」
『感じまへんか? すごいエネルギー量でっせ。間違いおまへん。ジラフはあのおなごのほうや』
「アリアがジラフだと? バカも休み休み言え」
ハルが声を尖らせた時だった。
ビュンビュン丸からぱっと飛び退ったアリアが、ふいに倍近くに大きくなった。
身体が一瞬ぶれを起こしたかと思うと、次の瞬間、身の丈3メートルほどに巨大化したのだ。
「やったよ! ビュンビュン丸! 見て! 大きくなった!」
どういうわけか、嬉しそうにはしゃいでいる。
「マジか」
と、意外なほど近くで、リコの声がした。
振り向くと、すぐ後ろで、トレンチコートを着たリコが片膝をついてうずくまっていた。
「あれじゃ、まるでMILKYじゃないか」
呆然とした口調で、もう一度、リコがつぶやいた。
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