104 / 230
ACT10 淫靡な特訓
#2 リコ②
しおりを挟む
ハルの運転するポメラリアンで向かった先は、市の中心にある緑地公園だった。
マネージャーの荒巻からの連絡によると、今回は屋外撮影なのだという。
無料駐車場で車を降り、色とりどりの花の咲く花壇の間を縫って歩くと、噴水のある広場に出た。
スタッフはすでにそろっていて、反射板やらカメラやらの準備におおわらわの様子である。
「リコ、遅いよぉ、またバックレたかと思って、心配しちゃったじゃない!」
駆け寄ってきたのは、アフロヘアで短躯の荒巻卓だった。
「もう、この前みたいな無茶はやめてよね! 頼むからこれ以上あたしにお詫び行脚をさせないでよ!」
「大丈夫だって。あん時は緊急事態だったんだよ」
ニキビだらけの顔を真っ赤にして怒る荒巻に、リコはかすかな胸の痛みを覚えてそう弁解した。
荒巻は、天涯孤独な身の上のリコのことを気にかけてくれる数少ない人間である。
仕事上の付き合いに過ぎないとはいえ、そんな彼を困らせたのは本当に申し訳ないと思う。
「頼んだよ。リコはただでさえ態度でかいんだから、これ以上やらかしたらいくらあたしでもかばいきれなくなっちゃうからね!」
「わかった。もうしないって。で、きょうはどんなシチュエーションなんだ?」
「えーっとね、最初はテニスルックでパンチラ、それから少しずつ脱いでいって、最後は噴水の前で手ぶらM字開脚って寸法よ」
「おいおい、この寒空にセミヌードかよ」
やれやれ。
思わず肩をすくめた時、
「なんなら私も手伝おうか?」
クールな声がして、リクルートスーツのハルが進み出た。
「あー、ずるうい! アリアも出たい!」
その後ろから、ぴょんぴょんと学ラン姿のアリアが踊り出る。
「え? 誰、あなたたち?」
荒巻がきょとんとした顔をする。
リコはバツの悪そうな表情で、頭をかいた。
勘弁してくれよ。
大人しくしてろって、言ったのに。
「こ、このふたりは、うちの同居人だ。どうしても撮影見たいっていうから、連れてきた」
「リコひとりのヌードでは刺激が少なすぎるだろう。3人のカラミのほうが、よくないか?」
ハルはあくまで、真剣そのものである。
「いや、これはそのう、AVの撮影じゃないんで」
そのハルの威圧感におされ、荒巻がたじたじとなる。
「ふたりともビジュアルいいから、撮影したいのはやまやまなんだけどね」
「レズプレイも乙なものだと思うぞ。ま、アリアは児童福祉法違反になりかねないから、少々問題ありだがな」
「えー、そんなことないですよお! だってアリアのほうが、ハルより胸、おっきいんだしい!」
真赤になって、アリアがハルにつっかかる。
「そういう問題じゃない」
「だいたいハルは、貧乳のくせにいつもえらそうなんですう!」
「何だと。もういっぺん言ってみろ」
「わー、怒った! やっぱりハル、気にしてるんだ! 自分が貧乳だってこと!」
「アリア、きさま」
追いかけっこが始まった。
ふたりのその後姿を眺めながら、疲れた口調でリコは言った。
「今のうちだ。さっさと撮影、始めてくれ」
マネージャーの荒巻からの連絡によると、今回は屋外撮影なのだという。
無料駐車場で車を降り、色とりどりの花の咲く花壇の間を縫って歩くと、噴水のある広場に出た。
スタッフはすでにそろっていて、反射板やらカメラやらの準備におおわらわの様子である。
「リコ、遅いよぉ、またバックレたかと思って、心配しちゃったじゃない!」
駆け寄ってきたのは、アフロヘアで短躯の荒巻卓だった。
「もう、この前みたいな無茶はやめてよね! 頼むからこれ以上あたしにお詫び行脚をさせないでよ!」
「大丈夫だって。あん時は緊急事態だったんだよ」
ニキビだらけの顔を真っ赤にして怒る荒巻に、リコはかすかな胸の痛みを覚えてそう弁解した。
荒巻は、天涯孤独な身の上のリコのことを気にかけてくれる数少ない人間である。
仕事上の付き合いに過ぎないとはいえ、そんな彼を困らせたのは本当に申し訳ないと思う。
「頼んだよ。リコはただでさえ態度でかいんだから、これ以上やらかしたらいくらあたしでもかばいきれなくなっちゃうからね!」
「わかった。もうしないって。で、きょうはどんなシチュエーションなんだ?」
「えーっとね、最初はテニスルックでパンチラ、それから少しずつ脱いでいって、最後は噴水の前で手ぶらM字開脚って寸法よ」
「おいおい、この寒空にセミヌードかよ」
やれやれ。
思わず肩をすくめた時、
「なんなら私も手伝おうか?」
クールな声がして、リクルートスーツのハルが進み出た。
「あー、ずるうい! アリアも出たい!」
その後ろから、ぴょんぴょんと学ラン姿のアリアが踊り出る。
「え? 誰、あなたたち?」
荒巻がきょとんとした顔をする。
リコはバツの悪そうな表情で、頭をかいた。
勘弁してくれよ。
大人しくしてろって、言ったのに。
「こ、このふたりは、うちの同居人だ。どうしても撮影見たいっていうから、連れてきた」
「リコひとりのヌードでは刺激が少なすぎるだろう。3人のカラミのほうが、よくないか?」
ハルはあくまで、真剣そのものである。
「いや、これはそのう、AVの撮影じゃないんで」
そのハルの威圧感におされ、荒巻がたじたじとなる。
「ふたりともビジュアルいいから、撮影したいのはやまやまなんだけどね」
「レズプレイも乙なものだと思うぞ。ま、アリアは児童福祉法違反になりかねないから、少々問題ありだがな」
「えー、そんなことないですよお! だってアリアのほうが、ハルより胸、おっきいんだしい!」
真赤になって、アリアがハルにつっかかる。
「そういう問題じゃない」
「だいたいハルは、貧乳のくせにいつもえらそうなんですう!」
「何だと。もういっぺん言ってみろ」
「わー、怒った! やっぱりハル、気にしてるんだ! 自分が貧乳だってこと!」
「アリア、きさま」
追いかけっこが始まった。
ふたりのその後姿を眺めながら、疲れた口調でリコは言った。
「今のうちだ。さっさと撮影、始めてくれ」
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる