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第200話 魔法少女レミ(前編)

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 あたしはきょうもやさぐれていた。
 魔法専門学校を出て魔法少女になったものの、コンプライアンスが行き届いた令和の今、敵がいない。
 せいぜいがたまに出没する下半身露出の変態を取り締まるくらいしかやることがない。
 それでは稼げないので事務所に頼んで地下アイドルのグループ”子亀の大群”に入れてもらったのはいいものの、今度はライブの後のチェキ会でドルオタに胸を揉まれる始末。こいつら、下半身露出の変質者と変わんないからシバイてやろうと思うけど、相手はチェキ券100枚とか買っててあくまで合法的にサービスを求めているだけだから、さすがのあたしも何もできずただなすすべもなく乳を揉ませるしかないのだ。
 そんなこんなで最悪の気分のまま家に帰ると、
「遅かったね、レミちゃん」
 キッチンから顔を出してチンコロが馴れ馴れしく声をかけてきた。
 チンコロは小太りの中年男で頭もはげかけていてブサイクなうえ、眼鏡をかけている。
 あたしの命令でいつも全裸に裸エプロン姿だから、めちゃキモい。
「てめえ、口が臭いんだよ! まだ生きてたのかよ?」
 ブーツで丸い尻を蹴って、怒鳴りつけてやると、「きゃんっ」と黄色い声で叫んで床に崩れ落ちた。
 エプロンが外れ、ぽっこり出たお腹とその下の陰部が丸見えだ。
 この前カミソリで剃ってやったばかりだからチンコロのそこはツルツルで、ちっちゃな性器が剥き出しだ。
「ご、ごめんね」
 チンコロは口を手のひらで押さえて後ろめたそうにこそこそ立ち上がる。
「でも夕食の準備はできてるから」
 テーブルに並べられたのはみんなあたしの好物ばかり。
 けど、その程度では腹の虫は収まらない。
「てめえ、あとで2階に来いよ。とことん可愛がってやるからな!」
「は、はい、よ、喜んで」
 給仕をしながらへこへこするチンコロ。
 これが実の父親だっていうんだから、情けないより腹が立つ。
 ママが外に男作って逃げたのもむべなるかなと思えてくる。
 食事後、2階のトレーニングルームに上がると、すでにチンコロは自分で猿轡と首輪を嵌めていた。
「準備はいいかい」
 あたしは魔法少女レミの格好のまま、その前に仁王立ちになる。
 胸の大きく空いたキラキラのビスチェ。
 パンツ丸見えの膝上30センチの超マイクロミニフレアスカート。
 手にはロンググローブ、足にはハイブーツ。
 そして空中から魔法で取り出したのは、必殺の武器、電撃鞭だ。
「痛いこと、しないで…」
 チンコロが眼鏡の奥から涙目で懇願した。
 怯えに歪んだあの顔。
 萌える。
 コーフンする。
 あたしは昂りながら鞭を振り上げた。
「口が臭いって言ってるだろ! このガチクソゴミおやじ!」 
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