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第105話 迷信

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 学校帰り、道にウンチが落ちていた。
「お、明日運動会だから、ちょうどいいじゃん」
 それを見るなり、隣を歩いていたカズアキが目を輝かせた。
「なんで?」
 訊くと、
「なんだ、知らないのか? ウンチ踏むと、足が速くなるんだぜ」
 さも当然といったふうに、胸を張って答えた。
「ふうん」
 僕は気のない返事をした。
 そんなの、どうせ迷信に決まってる。
「よし、これで明日のリレーは俺たち6年1組がもらった!」
 駆け出すカズアキ。
 そのスニーカーが、ウンチを踏んだ瞬間だった。
 突然爆発が起こり、カズアキの身体はバラバラに吹き飛んだ。

 とー。
 しぶく血煙の向こうから、2組の集団が現れた。
「ふふふ、引っかかったな」
 先頭の、学級委員らしき少年が不気味に笑った。
「そいつはただの地雷だよ。これで明日のリレーの優勝は、僕たち2組のものさ。本物のウンチはこっちなんだ」
 少年が顎をしゃくってみせると、手下らしいやつが恭しく新しいウンチを地面に置いた。
「さあ、みんなで踏もう」
 3人の足が勢いよくウンチを踏みつけー。
 そして、爆発した。
「馬鹿どもめが」
 道路に散乱する血まみれの手足。
 思わず笑いが込み上げてきた。

 おまえは何者かって?
 そんなの言うまでもない。
 6年3組のスパイ。
 それが僕なのだ。
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