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第83話 リベンジ
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「よくわしを呼び出した。その礼に、なんでも望みをかなえてやろう。ただし一つだけな」
魔法陣から現れた魔王は言った。
十年間、古文書を分析してきた成果である。
「じゃ、世界中の人間を、俺みたいな外見にしてやってくれ。そして俺は○○みたいな外見に変えてほしい」
俺は勢い込んで今大人気のアイドルの名前を魔王に告げた。
デブ、ちび、ハゲ、短足、ブサメン。
これが物心ついてから、ずっと俺に貼られたレッテルである。
そのおかげで俺には恋人はおろか友人もできず、進学でも就職でも損をしっ放しだった。
それを魔王の力で逆転してもらうのだ。
「わかった。お安いご用だ。明日の朝までには終わらせておくから、きょうはもう寝ろ」
俺の頼みを聞いても大して気分を害したふうもなく、あっさりと魔王はそう言った。
そして、翌朝。
ドキドキしながら鏡を見た俺は、歓声を上げた。
すごい。
テレビで見るあの美少年がここにいる。
俺はもう、デブでちびでハゲではなくなっているのだ!
喜び勇んで、外に飛び出した。
少し歩くと、すぐにわかった。
街を行く人々が、全員例外なく、きのうまでの俺の外見に変わっている。
交番のおまわりさんも、花屋の店員も、世界中が、デブ、ちび、ハゲ、短足、不細工であふれ返っているのだ。
ざまあみろ! 今まで俺をさんざん馬鹿にした罰だ!
いい気味だった。
にやにや笑いながら不細工どもを眺めていると、女子高生の恰好をした不細工なデブのグループが、いきなり俺を取り囲んだ。
「何ニヤついてんだよ、このブサメンが! 何だそのフサフサの髪、やせっぽっちの躰。キモいにもほどがある」
デブ女子高生の後ろでは、集まってきた不細工なデブたちが、うんうんとひとり残らずうなずいている。
その時、俺の耳にあの魔王の声が聞えてきた。
「馬鹿だな。美醜なんてもんは、流行ものみたいなものなのさ。要は多勢に無勢ってやつなんだよ」
俺は愕然とした。
つまり、俺以外全員ブサメンデデブの世界では、俺みたいなイケメンが醜いということになるー。
「元に戻してくれ! 頼む!」
俺はどこかにいるに違いない魔王に呼びかけた。
が、魔王は最後にこう言っただけだった。
「願い事はひとつと言っただろう。わしはこれから忙しいのだ。なんせ、せっかく蘇らせてもらったのだからな。早速世界征服にかからないと」
魔法陣から現れた魔王は言った。
十年間、古文書を分析してきた成果である。
「じゃ、世界中の人間を、俺みたいな外見にしてやってくれ。そして俺は○○みたいな外見に変えてほしい」
俺は勢い込んで今大人気のアイドルの名前を魔王に告げた。
デブ、ちび、ハゲ、短足、ブサメン。
これが物心ついてから、ずっと俺に貼られたレッテルである。
そのおかげで俺には恋人はおろか友人もできず、進学でも就職でも損をしっ放しだった。
それを魔王の力で逆転してもらうのだ。
「わかった。お安いご用だ。明日の朝までには終わらせておくから、きょうはもう寝ろ」
俺の頼みを聞いても大して気分を害したふうもなく、あっさりと魔王はそう言った。
そして、翌朝。
ドキドキしながら鏡を見た俺は、歓声を上げた。
すごい。
テレビで見るあの美少年がここにいる。
俺はもう、デブでちびでハゲではなくなっているのだ!
喜び勇んで、外に飛び出した。
少し歩くと、すぐにわかった。
街を行く人々が、全員例外なく、きのうまでの俺の外見に変わっている。
交番のおまわりさんも、花屋の店員も、世界中が、デブ、ちび、ハゲ、短足、不細工であふれ返っているのだ。
ざまあみろ! 今まで俺をさんざん馬鹿にした罰だ!
いい気味だった。
にやにや笑いながら不細工どもを眺めていると、女子高生の恰好をした不細工なデブのグループが、いきなり俺を取り囲んだ。
「何ニヤついてんだよ、このブサメンが! 何だそのフサフサの髪、やせっぽっちの躰。キモいにもほどがある」
デブ女子高生の後ろでは、集まってきた不細工なデブたちが、うんうんとひとり残らずうなずいている。
その時、俺の耳にあの魔王の声が聞えてきた。
「馬鹿だな。美醜なんてもんは、流行ものみたいなものなのさ。要は多勢に無勢ってやつなんだよ」
俺は愕然とした。
つまり、俺以外全員ブサメンデデブの世界では、俺みたいなイケメンが醜いということになるー。
「元に戻してくれ! 頼む!」
俺はどこかにいるに違いない魔王に呼びかけた。
が、魔王は最後にこう言っただけだった。
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