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第35話 離島怪異譚③
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ガソリンスタンドでレンタカーを借りた。
15年落ちのワゴンRが1日1万円だなんて、暴利を貪るにもほどがあると思ったけど、どうせ経費で落ちるからこの際文句は言わないことにした。
野崎に運転させ、海沿いの道を宿のある方向へ走り始めて10分ほどした時である。
「止めて」
視界の隅に妙なものを見つけて、私は野崎に命令した。
低い堤防の向こうに、延々と岩場が伸びている。
岩場には所々に潮だまりができているのだが、そのひとつにセーラー服姿の少女が座り込んでいるのだ。
「どうしたんすか? 急に」
不満そうな野崎に、
「あんたはここで待ってて」
そう言い捨てると、私は堤防をまたぎ越えた。
少女の視界に入らないように、大回りして後ろからそっと近づいていく。
夏服のセーラー服がよく似合う、長い黒髪の少女lだった。
潮だまりの中にべったり座り込んでいるので、黒いスカートが少女の周りに傘のように丸く広がっている。
何してるの?
声をかけようとして、私は思わず言葉を呑み込んだ。
少女のスカートの下から、水の中へと信じられないものが伸びている。
吸盤だらけの、赤っぽい触手である。
8本の先細りの触手が、気持ちよさそうにゆらゆらうごめいているのだ。
なに、あれ?
まるで、蛸の足みたいに見えるけど…?
あまりのことにフリーズしていると、気配を感じたのか、少女が振り向いた。
そしてその赤い唇が動き、気味の悪い言葉を紡ぎ出した。
「見たな」
15年落ちのワゴンRが1日1万円だなんて、暴利を貪るにもほどがあると思ったけど、どうせ経費で落ちるからこの際文句は言わないことにした。
野崎に運転させ、海沿いの道を宿のある方向へ走り始めて10分ほどした時である。
「止めて」
視界の隅に妙なものを見つけて、私は野崎に命令した。
低い堤防の向こうに、延々と岩場が伸びている。
岩場には所々に潮だまりができているのだが、そのひとつにセーラー服姿の少女が座り込んでいるのだ。
「どうしたんすか? 急に」
不満そうな野崎に、
「あんたはここで待ってて」
そう言い捨てると、私は堤防をまたぎ越えた。
少女の視界に入らないように、大回りして後ろからそっと近づいていく。
夏服のセーラー服がよく似合う、長い黒髪の少女lだった。
潮だまりの中にべったり座り込んでいるので、黒いスカートが少女の周りに傘のように丸く広がっている。
何してるの?
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なに、あれ?
まるで、蛸の足みたいに見えるけど…?
あまりのことにフリーズしていると、気配を感じたのか、少女が振り向いた。
そしてその赤い唇が動き、気味の悪い言葉を紡ぎ出した。
「見たな」
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