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第29話 惨劇
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朝起きて、1階に降りると、家族が殺されていた。
みんな、人形のように手足をもがれ、バラバラにされている。
壁にもソファにも多量の血が飛び散り、ものすごいありさまだ。
「だ、だれがこんなことを…」
悲しみより恐怖が先に立った。
私は我に返ると、部屋の隅の電話機にかけよった。
警察だ。
まずは警察に通報しなければ。
受話器を手に取った時である。
すりガラスの向こうで何かが動いた。
黒い大きな影。
犯人?
まずい。
ここで音を立てては見つかってしまう。
私はそろそろと受話器を戻し、部屋の中を移動した。
ソファの陰に身を潜め、様子をうかがうことにする。
引き戸が開き、黒い影が入ってきた。
両手に何かぶら下げている。
それが父と母の生首だということに気づいて、私は危うく叫び出しそうになった。
その気配が伝わったのか、ゆっくりと”それ”が振り返った。
等身大のうさぎの着ぐるみである。
「お姉ちゃん、どこ?」
部屋の中を見回しながら、”それ”が言った。
「パパとママ、こわれちゃったんだよ。僕、つまんない。だから今度はお姉ちゃん、僕と遊んでよ」
それは、20年間座敷牢に閉じ込められていた弟の、立派に成長した姿だった。
みんな、人形のように手足をもがれ、バラバラにされている。
壁にもソファにも多量の血が飛び散り、ものすごいありさまだ。
「だ、だれがこんなことを…」
悲しみより恐怖が先に立った。
私は我に返ると、部屋の隅の電話機にかけよった。
警察だ。
まずは警察に通報しなければ。
受話器を手に取った時である。
すりガラスの向こうで何かが動いた。
黒い大きな影。
犯人?
まずい。
ここで音を立てては見つかってしまう。
私はそろそろと受話器を戻し、部屋の中を移動した。
ソファの陰に身を潜め、様子をうかがうことにする。
引き戸が開き、黒い影が入ってきた。
両手に何かぶら下げている。
それが父と母の生首だということに気づいて、私は危うく叫び出しそうになった。
その気配が伝わったのか、ゆっくりと”それ”が振り返った。
等身大のうさぎの着ぐるみである。
「お姉ちゃん、どこ?」
部屋の中を見回しながら、”それ”が言った。
「パパとママ、こわれちゃったんだよ。僕、つまんない。だから今度はお姉ちゃん、僕と遊んでよ」
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