23 / 40
#23 美醜審問会⑦
しおりを挟む
「ちなみに、どうやって顔面偏差値を上げるか、ですが、それはいずれわかります。とりあえず、今はこの審問会のスポンサーが、『長沢クリニック』であるとだけ、言っておきましょう」
長沢クリニック?
玉はほとんどないに等しい眉をひそめた。
長沢といえば、メルの苗字と同じである。
何やらきな臭い匂いがした。
文部科学省公認というだけでもいい加減怪しいのに、その上謎のクリニックがスポンサーとは…。
「では、そろそろ始めましょうか」
玉たち100人のブス・ブサメンが、固唾を呑んで見守るなか、メルが声を張り上げた。
「やり方は簡単です。みなさんは、そこに並んでいる機械に顔を当てるだけでいいのです。それは、名付けて”顔面偏差値測定器”。その結果出た数値によって、みなさんにはレベル別にこちらに並んでいただきます」
メルが右手を差し伸べると同時に、ステージ上の緞帳が上がり始めた。
現れた3枚の垂れ幕を見て、会場から異様などよめきが漏れた。
左側が、
『エステ』。
真ん中が、
『整形』
そして、右側が、
『殺処分』
となっている。
玉の背筋が凍った。
エステと整形はわかる。
長沢クリニックの正体は、きっと美容外科に違いない。
メルのいう、顔面偏差値を短期間で上げる手段、なるものの正体は、おそらくこれなのだろう。
でも、
『殺処分』って、何…?
「さ、早く始めてください。誰からでもかまいません」
呆然と立ちすくんでいると、メルの指示に従って人波が移動し始めた。
後ろから押され、仕方なく玉も列につく。
いやだ、こんなの。
どうして、誰も逆らわないの?
玉は助けを求めて周囲を見回した。
だが、周りには、ゾンビのごとく生気を失った生徒たちの列が、幾重にも伸びているだけだった。
長沢クリニック?
玉はほとんどないに等しい眉をひそめた。
長沢といえば、メルの苗字と同じである。
何やらきな臭い匂いがした。
文部科学省公認というだけでもいい加減怪しいのに、その上謎のクリニックがスポンサーとは…。
「では、そろそろ始めましょうか」
玉たち100人のブス・ブサメンが、固唾を呑んで見守るなか、メルが声を張り上げた。
「やり方は簡単です。みなさんは、そこに並んでいる機械に顔を当てるだけでいいのです。それは、名付けて”顔面偏差値測定器”。その結果出た数値によって、みなさんにはレベル別にこちらに並んでいただきます」
メルが右手を差し伸べると同時に、ステージ上の緞帳が上がり始めた。
現れた3枚の垂れ幕を見て、会場から異様などよめきが漏れた。
左側が、
『エステ』。
真ん中が、
『整形』
そして、右側が、
『殺処分』
となっている。
玉の背筋が凍った。
エステと整形はわかる。
長沢クリニックの正体は、きっと美容外科に違いない。
メルのいう、顔面偏差値を短期間で上げる手段、なるものの正体は、おそらくこれなのだろう。
でも、
『殺処分』って、何…?
「さ、早く始めてください。誰からでもかまいません」
呆然と立ちすくんでいると、メルの指示に従って人波が移動し始めた。
後ろから押され、仕方なく玉も列につく。
いやだ、こんなの。
どうして、誰も逆らわないの?
玉は助けを求めて周囲を見回した。
だが、周りには、ゾンビのごとく生気を失った生徒たちの列が、幾重にも伸びているだけだった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
京都裏路地不思議草紙
凪司工房
ホラー
京都という街には一歩入ると狭い路地のずっと奥に暖簾を出しているような古い店がある。これはそういった裏路地の店にやってきたおかしな客と奇妙な店主の不可思議話を集めた短編集である。
必要不要
すなみ やかり
ホラー
作られた実験体。彼らは殺処分されるまで、生きる。人間を嫌ったもの。戦闘用に作られたもの。様々だ。だが、みんな殺処分される運命に変わりはない。だからずっと一緒なんて夢なんだ_____
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる