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第10部 姦禁のリリス
#73 漆黒の杏里①
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少女が一歩、部屋の中に歩み出た。
が、その肌の色は、逆光で影になっていた時とあまり変わらない。
その原因は、肌の色にあった。
少女の裸体は、墨を塗りたくったように真っ黒なのだ。
「まさか、この子があの・・・」
冬美が小田切のスーツの袖をつかんできた。
自立心の強い彼女にしては、珍しいことだった。
「で、どうなの? ヘリを出してくれるつもりはあるの?」
漆黒の顔の中で、杏里そっくりの双眸が光った。
「おまえは、杏里とふみの変異体だろう? そんなものをチャーターして、どうするつもりなんだ?」
なんとなく冬美をかばう立場になった小田切は、少女の行く手を阻むようにその前に立ちふさがった。
「もうすぐ、あるところで、とっても面白いイベントが起こる。私はそこに立ち会いたい。ただそれだけ」
「イベント? どうしてそんなことがわかる?」
「感じるから。怯えた杏里の心、甘くてとってもおいしそう」
「杏里の居場所を知ってるのか?」
尚も詰問しようとする小田切の手を引いて、冬美が牽制した。
「いいわ。ヘリを飛ばす許可を取ってあげる。その代わり、私たちもそこへ連れてって」
大規模な医療機関を備えたこの委員会本部には、確かにドクターヘリが配置されている。
ただ、他の病院と異なるのは、その目的が人命救助ではなく、危機に瀕したタナトスたちの救出にあることだ。
「いいよ。でも、あんまり私を甘く見ないことね」
少女が言い、ふいに小田切を迂回して後ろに回り込むと、腕を伸ばしていきなり冬美の首をつかんだ。
「な、何をする?」
小田切が制止する間もなかった。
右手で冬美の細い首をつかんだまま、少女が左手の指を冬美の口の中に突っ込んだ。
そして舌を引きずり出すと、つま先立ちしてその先端をぺろりと舐めた。
ほんの一瞬の出来事だった。
小田切が動こうとした時には、少女は元の位置に戻っていた。
「どう?」
異様に光る瞳を冬美に向けてたずねた、その時だった。
「あん・・・」
冬美の身体がびくんと震えた。
眼がうつろになっている。
「どうした?」
あわてる小田切の前で、冬美が胸を掻き毟るように、スーツを脱ぎ出した。
「おい、冬美、何やってるんだ?」
はあはあ息を喘がせながら、ボタンを引きちぎり、ブラウスを脱ぎ捨てると、ブラに包まれた胸を右手で鷲掴みにする。
更にタイトスカートを大きくまくりあげると、パンティストッキングの中に左手を突っこみ、下着の上から陰部をこすり出す。
「おまえ、冬美に何をした?」
床に坐り込んで狂ったように自慰を始めた冬美から眼を逸らし、小田切は少女を睨みつけた。
「別に何も。ただ警告しただけ」
悪びれた様子もなく、少女がごく当たり前といった口調で言い放つ。
「こういう我の強い女には、最初にどっちが立場が上なのか、十分わからせておかないと」
が、その肌の色は、逆光で影になっていた時とあまり変わらない。
その原因は、肌の色にあった。
少女の裸体は、墨を塗りたくったように真っ黒なのだ。
「まさか、この子があの・・・」
冬美が小田切のスーツの袖をつかんできた。
自立心の強い彼女にしては、珍しいことだった。
「で、どうなの? ヘリを出してくれるつもりはあるの?」
漆黒の顔の中で、杏里そっくりの双眸が光った。
「おまえは、杏里とふみの変異体だろう? そんなものをチャーターして、どうするつもりなんだ?」
なんとなく冬美をかばう立場になった小田切は、少女の行く手を阻むようにその前に立ちふさがった。
「もうすぐ、あるところで、とっても面白いイベントが起こる。私はそこに立ち会いたい。ただそれだけ」
「イベント? どうしてそんなことがわかる?」
「感じるから。怯えた杏里の心、甘くてとってもおいしそう」
「杏里の居場所を知ってるのか?」
尚も詰問しようとする小田切の手を引いて、冬美が牽制した。
「いいわ。ヘリを飛ばす許可を取ってあげる。その代わり、私たちもそこへ連れてって」
大規模な医療機関を備えたこの委員会本部には、確かにドクターヘリが配置されている。
ただ、他の病院と異なるのは、その目的が人命救助ではなく、危機に瀕したタナトスたちの救出にあることだ。
「いいよ。でも、あんまり私を甘く見ないことね」
少女が言い、ふいに小田切を迂回して後ろに回り込むと、腕を伸ばしていきなり冬美の首をつかんだ。
「な、何をする?」
小田切が制止する間もなかった。
右手で冬美の細い首をつかんだまま、少女が左手の指を冬美の口の中に突っ込んだ。
そして舌を引きずり出すと、つま先立ちしてその先端をぺろりと舐めた。
ほんの一瞬の出来事だった。
小田切が動こうとした時には、少女は元の位置に戻っていた。
「どう?」
異様に光る瞳を冬美に向けてたずねた、その時だった。
「あん・・・」
冬美の身体がびくんと震えた。
眼がうつろになっている。
「どうした?」
あわてる小田切の前で、冬美が胸を掻き毟るように、スーツを脱ぎ出した。
「おい、冬美、何やってるんだ?」
はあはあ息を喘がせながら、ボタンを引きちぎり、ブラウスを脱ぎ捨てると、ブラに包まれた胸を右手で鷲掴みにする。
更にタイトスカートを大きくまくりあげると、パンティストッキングの中に左手を突っこみ、下着の上から陰部をこすり出す。
「おまえ、冬美に何をした?」
床に坐り込んで狂ったように自慰を始めた冬美から眼を逸らし、小田切は少女を睨みつけた。
「別に何も。ただ警告しただけ」
悪びれた様子もなく、少女がごく当たり前といった口調で言い放つ。
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