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第10部 姦禁のリリス
#14 ヤチカの策略①
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ルナは深い失望の吐息をついた。
また、失敗だ。
ターゲットは、窓枠に置いたペットボトル。
が、いくら念を集中してみても、ペットボトルはびくりとも動かず、代わりに部屋の中の家具や小物が揺れただけだった。
力が漏れている。
そんな気がする。
あるいは、何かにせき止められてしまっているのか。
これはサイキックのルナにとって、由々しき事態だった。
自分が自分でなくなってしまったような気がしてならない。
これまで己を支えていた自信が音を立てて崩れ落ち、ひどく矮小な存在に成り下がってしまったような喪失感がぬぐえないのだ。
これでは、杏里に合わせる顔がない。
杏里がメンテナンスを終えて戻ってきても、彼女を守ることができないのだ…。
知らず知らずのうちに流れた涙を、人差し指で拭った時だった。
ドアが開いて、かすかな香水の香りとともに、ヤチカが入ってきた。
細身の身体にフィットした白のセーターに白のパンツといったヤチカは、ショートカットの髪と相まって、ひどくセクシーでまぶしく見える。
「まだやってたの?」
ベッドサイドのテーブルにティ―カップを乗せたトレイを置くと、ルナの隣に腰かけた。
「力が、戻らないんです」
嗚咽をこらえるような声で、ルナは言った。
「焦ることはないのよ。ゆっくりやればいい。あなたのペースで、ゆっくりとね」
ヤチカがその髪を優しく撫で、耳の穴に息を吹きかけるように、ささやいた。
ふいに恥ずかしくなり、ヤチカの持ってきた紅茶に手を伸ばす。
ひと口すすると、馥郁たる香りが鼻孔に染みわたり、ルナはなんともいえず、恍惚とした気分に包まれた。
「かわいい」
ルナの頬に頬を触れさせ、ひとり言のようにヤチカがつぶやいた。
「悩んでるあなたって、本当にかわいいわ」
「そんな…かわいいだなんて」
ルナは耳元まで赤くなった。
「言われたこと、ないです。これまで、誰にも」
「そんなこと、ないはずよ」
ヤチカがルナの顎に指を当て、顏を自分のほうに向けさせた。
「ルナ、あなたは可愛いし、美しい。私、あなたほど綺麗な女の子、見たことがない。だからほら、こんなに」
ヤチカの手がルナの手を取り、自分の胸に当てさせる。
セーターの上からでも、ヤチカが下着をつけていないことがわかり、ルナはますます赤くなった。
「私のどきどき感、わかるかしら」
ヤチカが顔を寄せてくる。
「ほら、私ったら、こんなに乳首、硬く尖らせて…」
ヤチカの手が、ルナの手首をつかみ、セーターの下にもぐりこませた。
指先に突起物が触れるのを感じ、ルナはハッと息を呑む。
「これは、みんな、あなたのせい」
ヤチカの舌が、ルナの唇の端を、チロリと舐める。
同時に空いているほうの手で、ネグリジェの上からルナの太腿を撫でてきた。
「あなたがあんまり魅力的だから、私、欲情しちゃってる…」
「ヤチカ…さん…」
自然と、甘えるような声が喉を盛れた。
「キスして、いい?」
ヤチカのバラの香りのする吐息に包まれ、ルナは壊れた人形のように、ガクガクとうなずいていた。
また、失敗だ。
ターゲットは、窓枠に置いたペットボトル。
が、いくら念を集中してみても、ペットボトルはびくりとも動かず、代わりに部屋の中の家具や小物が揺れただけだった。
力が漏れている。
そんな気がする。
あるいは、何かにせき止められてしまっているのか。
これはサイキックのルナにとって、由々しき事態だった。
自分が自分でなくなってしまったような気がしてならない。
これまで己を支えていた自信が音を立てて崩れ落ち、ひどく矮小な存在に成り下がってしまったような喪失感がぬぐえないのだ。
これでは、杏里に合わせる顔がない。
杏里がメンテナンスを終えて戻ってきても、彼女を守ることができないのだ…。
知らず知らずのうちに流れた涙を、人差し指で拭った時だった。
ドアが開いて、かすかな香水の香りとともに、ヤチカが入ってきた。
細身の身体にフィットした白のセーターに白のパンツといったヤチカは、ショートカットの髪と相まって、ひどくセクシーでまぶしく見える。
「まだやってたの?」
ベッドサイドのテーブルにティ―カップを乗せたトレイを置くと、ルナの隣に腰かけた。
「力が、戻らないんです」
嗚咽をこらえるような声で、ルナは言った。
「焦ることはないのよ。ゆっくりやればいい。あなたのペースで、ゆっくりとね」
ヤチカがその髪を優しく撫で、耳の穴に息を吹きかけるように、ささやいた。
ふいに恥ずかしくなり、ヤチカの持ってきた紅茶に手を伸ばす。
ひと口すすると、馥郁たる香りが鼻孔に染みわたり、ルナはなんともいえず、恍惚とした気分に包まれた。
「かわいい」
ルナの頬に頬を触れさせ、ひとり言のようにヤチカがつぶやいた。
「悩んでるあなたって、本当にかわいいわ」
「そんな…かわいいだなんて」
ルナは耳元まで赤くなった。
「言われたこと、ないです。これまで、誰にも」
「そんなこと、ないはずよ」
ヤチカがルナの顎に指を当て、顏を自分のほうに向けさせた。
「ルナ、あなたは可愛いし、美しい。私、あなたほど綺麗な女の子、見たことがない。だからほら、こんなに」
ヤチカの手がルナの手を取り、自分の胸に当てさせる。
セーターの上からでも、ヤチカが下着をつけていないことがわかり、ルナはますます赤くなった。
「私のどきどき感、わかるかしら」
ヤチカが顔を寄せてくる。
「ほら、私ったら、こんなに乳首、硬く尖らせて…」
ヤチカの手が、ルナの手首をつかみ、セーターの下にもぐりこませた。
指先に突起物が触れるのを感じ、ルナはハッと息を呑む。
「これは、みんな、あなたのせい」
ヤチカの舌が、ルナの唇の端を、チロリと舐める。
同時に空いているほうの手で、ネグリジェの上からルナの太腿を撫でてきた。
「あなたがあんまり魅力的だから、私、欲情しちゃってる…」
「ヤチカ…さん…」
自然と、甘えるような声が喉を盛れた。
「キスして、いい?」
ヤチカのバラの香りのする吐息に包まれ、ルナは壊れた人形のように、ガクガクとうなずいていた。
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