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第9部 倒錯のイグニス
#326 ラストステージ①
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職員室の中は、青臭いような臭気にむせ返るほどだった。
教師たちが放出した体液の匂いである。
かといって、窓を開けるわけにもいかなかった。
大粒の雨が、窓ガラスを叩き始めているからだ。
あちこちからうめき声が聞こえてくる。
意識を失っていない者たちが、自分で自分を慰めているのだ。
恵夢もそのひとりで、テーブルの上にM字開脚の姿勢で座り込み、狂ったようにむき出しの下半身にバイブを出し入れしている。
そのたびに乱れた白衣の胸元からこぼれ出た生白い乳房が上下にはずみ、勃起した乳首が宙に弧を描く。
コンドームもビニル手袋も、快楽中枢にダイレクトに作用する重人の思念波には無効だった。
増幅された杏里と重人の絶頂感を神経網のど真ん中に叩き込まれ、全員が瞬時にして”昇華”してしまったのだ。
意識のある者も、残る破壊衝動がすべてエロスに変換されるまで自慰に耽り続け、いずれは自ら昇華してしまうの違いない。
杏里は重人を背負うと、地獄絵図と化した職員室を後にした。
幸い隣は保健室だ。
鍵のかかっていない戸を引き開け、中に入った。
カーテンをめくると、奥にベッドがあった。
シーツをめくり、重人を寝かせてやる。
息はあるから、死んではいない。
が、股間が爆ぜた柘榴のようになったその姿は、痛々しいを通り越して、悲しくなるほどだった。
「ごめんね…」
ペニスを失った股間に顔を埋め、ぎざぎざになった傷口に舌を這わせた。
杏里の唾液には止血効果だけでなく、細胞の修復機能も備わっている。
ここまで無残な外傷にどれだけ効果があるかは不明だが、何もしないよりははるかにましだろう。
それにしても、と思う。
私は、いったい何のためにこんなことをしているのか。
このくだらないイベントは、本当に仲間を犠牲にしてまで完遂すべきものなのだろうか。
確かにこの学校の生徒と職員は、美里の”調教”のせいで、精神に異常を来たしている者が多い。
学校を上げての乱交パーティを礼賛するようなこの行事に、誰も異議を唱えないことからも、それとわかる。
だが、それがどうしたというのだろう。
仮にこの精神汚染が日本中、いや世界中に広まったとしても、私には痛くもかゆくもない。
そんなことより、仲間を返してほしい。
由羅を、いずなを、ルナを、重人を…。
だが、このまま何もしないでいるわけにはいかなかった。
それでは、重人の捨て身の努力が無駄になる。
「ここで休んでて。必ず迎えに来るから」
無残な下半身にシーツをかけ、その生気を失った頬に口づけすると、杏里は脚を引きずるようにして保健室を後にした。
一応、脱がされたブラウスとスカートを拾い集めて着てきてはいるが、どちらも精液で汚らしくよごれ、ひどく匂い立っていた。
早く着替えたくてたまらない。
最後のコスチュームは、薬の残りと一緒に体育館裏のロッカーに隠してある。
女子中学生が身につけるにはあまりに常識外れの衣装だが、この臭い服よりはずっといい。
渡り廊下に出て、体育館に向かう。
体育館の扉は閉まっていた。
耳を澄ませてみたが、何の物音も聞こえてこない。
中をのぞいてみたい衝動を抑え、まずは準備を整えることにした。
建物に沿って裏側に回り、下駄箱の隣の共用ロッカーの前に立つ。
最後のコスチュームは、漆黒の革でできたボンテージ調のハイレグレオタードである。
全裸になり、窮屈な衣装に無理やり豊満な肢体を押し込んだ。
固い革の素材が、杏里の熟した肉体をきつく絞り上げた。
SMプレイ用なので、胸にはふたつの丸い穴が開き、乳房だけが飛び出るようになっている。
股間も同様で、膣からアナルにかけてスリットが開き、性器と肛門が見えている。
ハイネックだから、首は隠れているが、その代わり袖はなく、肩から先は剥き出しだ。
なんとか衣装を調えると、ロッカーの奥から丸薬の包みと軟膏の缶を取り出した。
残り6粒の性露丸マグナムを呑み込んで、両手の手のひらに塗ったロイヤルゼラチンを、露出した乳房と性器、そしてアナルに塗り込んだ。
ふざけた名前の精力剤だが、ともに効果は抜群だ。
すぐに乳首が勃起し、膣の奥が濡れ始めるのがわかった。
大きく深呼吸して、杏里は歩き出す。
太腿が交差するたびに、媚薬軟膏で過敏になった性器がこすれて甘美に疼く。
正面に回り、両開きの扉の前に立った時、
「開いてるよ」
ふいに中から璃子の声がした。
教師たちが放出した体液の匂いである。
かといって、窓を開けるわけにもいかなかった。
大粒の雨が、窓ガラスを叩き始めているからだ。
あちこちからうめき声が聞こえてくる。
意識を失っていない者たちが、自分で自分を慰めているのだ。
恵夢もそのひとりで、テーブルの上にM字開脚の姿勢で座り込み、狂ったようにむき出しの下半身にバイブを出し入れしている。
そのたびに乱れた白衣の胸元からこぼれ出た生白い乳房が上下にはずみ、勃起した乳首が宙に弧を描く。
コンドームもビニル手袋も、快楽中枢にダイレクトに作用する重人の思念波には無効だった。
増幅された杏里と重人の絶頂感を神経網のど真ん中に叩き込まれ、全員が瞬時にして”昇華”してしまったのだ。
意識のある者も、残る破壊衝動がすべてエロスに変換されるまで自慰に耽り続け、いずれは自ら昇華してしまうの違いない。
杏里は重人を背負うと、地獄絵図と化した職員室を後にした。
幸い隣は保健室だ。
鍵のかかっていない戸を引き開け、中に入った。
カーテンをめくると、奥にベッドがあった。
シーツをめくり、重人を寝かせてやる。
息はあるから、死んではいない。
が、股間が爆ぜた柘榴のようになったその姿は、痛々しいを通り越して、悲しくなるほどだった。
「ごめんね…」
ペニスを失った股間に顔を埋め、ぎざぎざになった傷口に舌を這わせた。
杏里の唾液には止血効果だけでなく、細胞の修復機能も備わっている。
ここまで無残な外傷にどれだけ効果があるかは不明だが、何もしないよりははるかにましだろう。
それにしても、と思う。
私は、いったい何のためにこんなことをしているのか。
このくだらないイベントは、本当に仲間を犠牲にしてまで完遂すべきものなのだろうか。
確かにこの学校の生徒と職員は、美里の”調教”のせいで、精神に異常を来たしている者が多い。
学校を上げての乱交パーティを礼賛するようなこの行事に、誰も異議を唱えないことからも、それとわかる。
だが、それがどうしたというのだろう。
仮にこの精神汚染が日本中、いや世界中に広まったとしても、私には痛くもかゆくもない。
そんなことより、仲間を返してほしい。
由羅を、いずなを、ルナを、重人を…。
だが、このまま何もしないでいるわけにはいかなかった。
それでは、重人の捨て身の努力が無駄になる。
「ここで休んでて。必ず迎えに来るから」
無残な下半身にシーツをかけ、その生気を失った頬に口づけすると、杏里は脚を引きずるようにして保健室を後にした。
一応、脱がされたブラウスとスカートを拾い集めて着てきてはいるが、どちらも精液で汚らしくよごれ、ひどく匂い立っていた。
早く着替えたくてたまらない。
最後のコスチュームは、薬の残りと一緒に体育館裏のロッカーに隠してある。
女子中学生が身につけるにはあまりに常識外れの衣装だが、この臭い服よりはずっといい。
渡り廊下に出て、体育館に向かう。
体育館の扉は閉まっていた。
耳を澄ませてみたが、何の物音も聞こえてこない。
中をのぞいてみたい衝動を抑え、まずは準備を整えることにした。
建物に沿って裏側に回り、下駄箱の隣の共用ロッカーの前に立つ。
最後のコスチュームは、漆黒の革でできたボンテージ調のハイレグレオタードである。
全裸になり、窮屈な衣装に無理やり豊満な肢体を押し込んだ。
固い革の素材が、杏里の熟した肉体をきつく絞り上げた。
SMプレイ用なので、胸にはふたつの丸い穴が開き、乳房だけが飛び出るようになっている。
股間も同様で、膣からアナルにかけてスリットが開き、性器と肛門が見えている。
ハイネックだから、首は隠れているが、その代わり袖はなく、肩から先は剥き出しだ。
なんとか衣装を調えると、ロッカーの奥から丸薬の包みと軟膏の缶を取り出した。
残り6粒の性露丸マグナムを呑み込んで、両手の手のひらに塗ったロイヤルゼラチンを、露出した乳房と性器、そしてアナルに塗り込んだ。
ふざけた名前の精力剤だが、ともに効果は抜群だ。
すぐに乳首が勃起し、膣の奥が濡れ始めるのがわかった。
大きく深呼吸して、杏里は歩き出す。
太腿が交差するたびに、媚薬軟膏で過敏になった性器がこすれて甘美に疼く。
正面に回り、両開きの扉の前に立った時、
「開いてるよ」
ふいに中から璃子の声がした。
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