149 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#149 ふみ③
しおりを挟む
だが、杏里には、わずかな間、気絶して悪夢から逃れる自由さえ、残されていないようだった。
身体を引きちぎるような遠心力。
そして、襲い来る衝撃。
杏里はすでに、ふみの右腕の一部と化している。
その杏里の身体を、こん棒で床を殴りつけるように、ふみがマットに叩きつけたのだ。
身体の下で乳房が潰れ、傷口から鮮血が飛び散った。
開いた大きな花弁のような血の海が、うつぶせになった杏里の裸体の周囲に広がっていく。
だが、まだ下半身が斜めに宙に浮いたままなのは、ふみが膣に腕を突っ込んでいるからだ。
ふみの手は杏里の体内で、子宮を握り締めている。
これほどの衝撃にも腕が抜けないのは、どうやらそれが原因らしい。
膣から内臓を引きずり出されるのも、もう時間の問題だった。
杏里は奇妙なオブジェと化して、右頬をマットに押しつけ、下半身を逆海老の形に反らしている。
ふみの太い手首を飲み込んだ陰部は限界までふくらみ、血の混じった多量の愛液を滴らせていた。
杏里の体液を吸い、ふみはすっかり狂ってしまったかのようだ。
その様子は、人形を壊すことに熱中する幼児のそれに酷似していた。
右手を杏里の股間にめり込ませたまま、今度は口をこじ開け、左手を口腔内に突っ込んできた。
力任せに舌をつかまれるのがわかった。
舌と子宮を同時に鷲掴みにして、ふみが杏里の裸身を背中側にぎりぎりと折り曲げにかかった。
杏里の喉から、断続的にくぐもった声が漏れた。
苦痛からの呻きというより、それは敏感な個所を愛撫された時に女が上げる甘い嬌声に似ていた。
口と股間に両手を突っ込んだまま、ふみが杏里を抱え上げる。
頭上に高々と差し上げられて、杏里の背骨がみしみし音を立て始めた。
その奇怪な”儀式”を、600人のまなざしがじっと注視している。
しわぶきの音ひとつ起こらない静けさだ。
あまりの異常さに、誰もが思考を停止し、言葉を失ってしまっているのに違いない。
ふみが力を籠めるたび、杏里の後頭部と踵が近づいていく。
内容物を脂肪層ごと吸いつくされて萎びた乳房と、丸太のように太い腕を突っ込まれて裂けた血まみれの陰部が、観衆の前に見世物のようにさらけ出されている。
その杏里の無残な裸身を逆Uの字型になるまでへし折ると、獣のように咆哮し、ふみがコーナーポストにその身体を叩きつけた。
脇腹から鉄のポストに激突し、杏里の中で肋骨の籠が砕け散る。
その杏里の口と膣から、ゆっくりと両手を抜くふみ。
己の手になる芸術作品を鑑賞するように、一歩下がって鉄柱に突き刺さった杏里を眺めている。
右の脇腹を貫かれ、横倒しの姿勢で宙に浮いた杏里は、それでもまだ意識を保っていた。
その眼が見つめているのは、ふみではない。
己の血にまみれた鎖骨のあたりである。
血の気を失った杏里の顔に、わずかに驚きの表情が浮かんだようだった。
刻印が、出ていない。
今になってやっと、杏里はそのことに気づいたのだ。
身体を引きちぎるような遠心力。
そして、襲い来る衝撃。
杏里はすでに、ふみの右腕の一部と化している。
その杏里の身体を、こん棒で床を殴りつけるように、ふみがマットに叩きつけたのだ。
身体の下で乳房が潰れ、傷口から鮮血が飛び散った。
開いた大きな花弁のような血の海が、うつぶせになった杏里の裸体の周囲に広がっていく。
だが、まだ下半身が斜めに宙に浮いたままなのは、ふみが膣に腕を突っ込んでいるからだ。
ふみの手は杏里の体内で、子宮を握り締めている。
これほどの衝撃にも腕が抜けないのは、どうやらそれが原因らしい。
膣から内臓を引きずり出されるのも、もう時間の問題だった。
杏里は奇妙なオブジェと化して、右頬をマットに押しつけ、下半身を逆海老の形に反らしている。
ふみの太い手首を飲み込んだ陰部は限界までふくらみ、血の混じった多量の愛液を滴らせていた。
杏里の体液を吸い、ふみはすっかり狂ってしまったかのようだ。
その様子は、人形を壊すことに熱中する幼児のそれに酷似していた。
右手を杏里の股間にめり込ませたまま、今度は口をこじ開け、左手を口腔内に突っ込んできた。
力任せに舌をつかまれるのがわかった。
舌と子宮を同時に鷲掴みにして、ふみが杏里の裸身を背中側にぎりぎりと折り曲げにかかった。
杏里の喉から、断続的にくぐもった声が漏れた。
苦痛からの呻きというより、それは敏感な個所を愛撫された時に女が上げる甘い嬌声に似ていた。
口と股間に両手を突っ込んだまま、ふみが杏里を抱え上げる。
頭上に高々と差し上げられて、杏里の背骨がみしみし音を立て始めた。
その奇怪な”儀式”を、600人のまなざしがじっと注視している。
しわぶきの音ひとつ起こらない静けさだ。
あまりの異常さに、誰もが思考を停止し、言葉を失ってしまっているのに違いない。
ふみが力を籠めるたび、杏里の後頭部と踵が近づいていく。
内容物を脂肪層ごと吸いつくされて萎びた乳房と、丸太のように太い腕を突っ込まれて裂けた血まみれの陰部が、観衆の前に見世物のようにさらけ出されている。
その杏里の無残な裸身を逆Uの字型になるまでへし折ると、獣のように咆哮し、ふみがコーナーポストにその身体を叩きつけた。
脇腹から鉄のポストに激突し、杏里の中で肋骨の籠が砕け散る。
その杏里の口と膣から、ゆっくりと両手を抜くふみ。
己の手になる芸術作品を鑑賞するように、一歩下がって鉄柱に突き刺さった杏里を眺めている。
右の脇腹を貫かれ、横倒しの姿勢で宙に浮いた杏里は、それでもまだ意識を保っていた。
その眼が見つめているのは、ふみではない。
己の血にまみれた鎖骨のあたりである。
血の気を失った杏里の顔に、わずかに驚きの表情が浮かんだようだった。
刻印が、出ていない。
今になってやっと、杏里はそのことに気づいたのだ。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる