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第9部 倒錯のイグニス

#97 サイキック⑦

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 舌によるピストン運動が加速する。
 すさまじい勢いで膣の中を攪拌され、ともすれば杏里の意識は飛びそうになる。
 口の中に入ってきたもう1本は、すでに喉の奥に至り、食道にまで入り込もうとしている。
 2本の舌のピストン運動に加え、乳房には吸盤のついた10本の指が貼りつき、杏里の性感帯を絶え間なく刺激する。
 にじみ出る淫汁と舌それ自体の粘膜で摩擦がゼロに近づいたのか、激しい出し入れの途中で膣にめり込んでいた1本が抜け、しぶきをほとばしらせて、その反動で鞭のように大きく跳ね上がった。
 身体を反転させ、四つん這いになる杏里。
 条件反射的な反応だった。
 小百合との特訓で多少は敏捷性が身についたのか、とっさにその隙に逃げ出そうと目論んだのだ。
 両肘で体を支え、口に潜り込んでいるもう1本の舌を両手で握り、力を込めて引っ張り出そうとした時だった。
 杏里の背中側に伸び上がった蛇状の舌が、新たなターゲットを見出して、だしぬけに急降下を開始した。
 狙ったのは、四つん這いになり、突き出された杏里の尻である。
 杏里のパンティは、激烈なピストン運動の振動で半ば脱げかけ、生の尻が露わになっている。
 その白桃のような丸い尻の肉のあわいに隠れた、菊の花に似た可憐なアナル。
 ターゲットを変更した舌が、唸りを上げてそこに突っ込んだのだ。
「くうっ!」
 一気に直腸まで貫かれ、杏里の背中に電気が走った。
 喉にもぐりこんだ舌は、食道をいっぱいにして、ずるずると這い進み、今にも胃に到達しようとしている。
 アナルから侵入したもう1本は、杏里の体内でそれと合流しようとでもいうのか、直腸から大腸、更に小腸へと、下から上へと逆の針路をとっている。
 口とアナルに突き刺さった2本の触手に持ち上げられ、杏里の裸体が宙に浮く。
 アニスにロメロスペシャルをかけられた時に状況は似ているが、それはあまりに悲惨で猥褻極まりない光景だった。
 杏里を宙に浮かせながら、女は相変わらず杏里の乳房を弄び続けている。
 揉みまくられているうちに乳頭から体液が分泌され、母乳のようなそれを貪るように吸盤が吸い尽くしている。
 誰が見ても、完全なる杏里の敗北だった。
 新種の外来種の毒牙にかかり、全身のエキスを吸い尽くされようとしているタナトス。
 それが今の杏里なのだ。
 が。
 意識してのことなのか、あるいは無意識の反応なのか…。
 ある意味、これは杏里の思う壺だった。
 杏里自身が痺れるような愉悦に身を任せているうちに、それは起こっていた。
 杏里の体液を十分すぎるほど吸収した2本の舌が、びくびくと痙攣し始めたのである。
 ふいに地面に投げ出され、杏里ははっと眼を開けた。
 杏里を貫き、体内で閉じた円環を形作ろうとしていた舌が、2本とも抜けている。
 宙を舞ったその2匹の蛇は、ターゲットを変更することに決めたようだ。
 うねるように空を切ると、舌を吐き出している女自身の身体に襲いかかった。
 膣とアナルに同時に突き刺さると、肉食の海蛇もかくやという素早さで中にもぐりこんでいく。
 淫らな嬌声を上げ、女が両手で己の乳房を揉み始めた。
 何が起こったかは、一目瞭然だった。
 媚薬成分をたっぷり含んだ杏里の唾液や愛液を吸収し、女の性感帯が爆発的に反応したのである。
 喘ぎ、唾を飛ばしながら、転げまわるメス外来種。
 あれだけの量を吸引したら、この女、おそらく死ぬまでオナニーをやめないに違いない。

 ずれた下着を元に戻し、スカートについた枯葉と土を払うと、杏里はよろめきながら立ち上がった。
 花壇のほうに目をやると、獣人がルナを組み伏せ、巨大な顎を全開にして、その白く細い喉を喰い破ろうとしているところだった。
 サポートに入ったはずの重人は、かなり離れた所でうつぶせになり、尻を突き出して気絶している。
「ルナ…?」
 杏里はよろよろとルナのそばに近寄っていった。
 舌に貫かれた喉と肛門が、ひりひりする。
 身体の中をかき回されたせいで、胸がむかついて今にも吐きそうだ。
 食道から胃にかけてと、直腸から大腸にかけての部位も、かなりの損傷を受けている可能性がある。
 が、そんなことはどうでもいい。
 しばらく我慢すれば、何事もなかったように、自然と治癒してしまうに決まっているからだ。
 それより今は、ルナが心配だった。
 なんとかして、助けなければ。
 獣人の剛毛に覆われた身体の下から、ルナが杏里を見た。
「来るな」
 鋭い目で、杏里を制止する。
「でも…」
 杏里は夢遊病者のように、獣人に近づいていく。
「大丈夫だ。離れてろ」
 意外に落ち着いた口調で、ルナが言った。
「この手はできるだけ使いたくなかったけど」
 そう言って、のしかかる獣人に向き直る。
「この際、仕方ない」
 その瞬間、ルナの双眸が黄金色に輝いた。
 そしてー。

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