10 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#9 狂眼
しおりを挟む
それにしても、なぜ、私は…。
スレンダーな躰を背後から抱きすくめられ、ほとんど後ろにのけぞりながら、ヤチカはまだ考えている。
なぜ、こんなにもたやすく、この男のいいなりになってしまったのだろう…?
立位のまま背後から膣に挿入しての性行為は、人間の男性の場合、そうそう長く続けられるものではない。
ペニスが短すぎて、ピストン運動の途中で外れてしまうことが多いからである。
だが、この男は違った。
まず、外来種のペニスは驚くほど長い。
更に、挿入後、海綿体の逆棘が滑り止めとして膣壁に食い込むため、いくら不自然な体勢をとっても外れることがない。
だから、井沢はバックからヤチカをそのまま引き起こし、直立の体勢に持ち込んですらなお、一度もペニスを抜くことなく腰をリズミカルに動かし続けることができるのだ。
その分、ヤチカの感じる快感は強烈なものだった。
そう、ほとんど強姦同然に犯されながら、情けないことにヤチカは激しく感じてしまっていた。
尻に腰を打ちつけながら、前に回した右腕で井沢はヤチカの陰核を弄り回している。
したたる愛液を指に塗りつけ、包皮から顔をのぞかせた一番敏感な部分に入念に擦り込んでくる。
左手はヤチカの腋の下から胸に回され、両方の乳房を好き勝手に弄んでいる。
肉を揉みしだかれ、勃起した乳首を痛いほどつねられ、そのたびにヤチカは愉悦におののいた。
「あなたの過去、調べさせてもらいましたよ」
ヤチカをつき上げ、嬌声を上げさせながら、井沢が耳元でささやいた。
「アンドロギュノスだったあなたは、一時期、夜になると青年の姿になって、家出少女たちを漁っていたとか。それもまあ、我々優越種の悲しい性と言ってしまえば、それまでなのですが…そのうち、あなたが屋敷に連れ込んだ5人の少女が、いまだに行方知れずだそうですね…」
ヤチカは青ざめた。
思い出したくない黒歴史。
杏里と出会うことで、そして零に男性器を引きちぎられることで、自分では記憶の隅に封印したはずなのに…。
「あなたの屋敷の花壇には、ほかより花の育ちの良い場所が五か所ほどあると聞きました。時間があったら、一度そこを掘り返してみたいものです…」
「何が、何が言いたいの…?」
こみ上げる疼きに歯を食いしばり、やっとのことでヤチカは言葉を絞り出した。
「それで、私を脅迫しているつもりなの?」
「脅迫? そう聞こえましたか。それは失礼いたしました」
井沢はいっこうに悪びれたふうもない。
腰の動きにも両手の指での愛撫にもいささかの遅延もなく、ヤチカをとことん攻めまくりながら、淡々と話しかけてくる。
「要するに、私の言いたいのは、こういうことです。あなたはすでに、人間としては取り返しのつかない罪を犯してしまった。それはもう、この先何が起ころうと元に戻せるものではない。だが、あなたの行為は、我々の種にとっては、何ら罪に問われることではないのです。ならば、いつまでも人間の側に居てやせ我慢してないで、いっそのこと、ここで我々の陣営に鞍替えしたほうが、あなたの人生自体、もっとずっと楽になるのではないですかね」
「それでも、嫌だと言ったら…?」
杏里の面影を脳裏に思い浮かべながら、ヤチカは必死で抗った。
この身がどうなろうと、私は彼女の敵に回るようなことは、したくない。
杏里ちゃん…もう一度、会いたい…。
「しょうがないですね」
ヤチカのそっけない返答に、耳元で大げさに井沢がため息をつく。
「じゃあ、もう一度見てもらいますか。私の眼を。本当言うと、この眼、狂眼と言いまして、あまり何度も見るのはお勧めできないんですけどね」
スレンダーな躰を背後から抱きすくめられ、ほとんど後ろにのけぞりながら、ヤチカはまだ考えている。
なぜ、こんなにもたやすく、この男のいいなりになってしまったのだろう…?
立位のまま背後から膣に挿入しての性行為は、人間の男性の場合、そうそう長く続けられるものではない。
ペニスが短すぎて、ピストン運動の途中で外れてしまうことが多いからである。
だが、この男は違った。
まず、外来種のペニスは驚くほど長い。
更に、挿入後、海綿体の逆棘が滑り止めとして膣壁に食い込むため、いくら不自然な体勢をとっても外れることがない。
だから、井沢はバックからヤチカをそのまま引き起こし、直立の体勢に持ち込んですらなお、一度もペニスを抜くことなく腰をリズミカルに動かし続けることができるのだ。
その分、ヤチカの感じる快感は強烈なものだった。
そう、ほとんど強姦同然に犯されながら、情けないことにヤチカは激しく感じてしまっていた。
尻に腰を打ちつけながら、前に回した右腕で井沢はヤチカの陰核を弄り回している。
したたる愛液を指に塗りつけ、包皮から顔をのぞかせた一番敏感な部分に入念に擦り込んでくる。
左手はヤチカの腋の下から胸に回され、両方の乳房を好き勝手に弄んでいる。
肉を揉みしだかれ、勃起した乳首を痛いほどつねられ、そのたびにヤチカは愉悦におののいた。
「あなたの過去、調べさせてもらいましたよ」
ヤチカをつき上げ、嬌声を上げさせながら、井沢が耳元でささやいた。
「アンドロギュノスだったあなたは、一時期、夜になると青年の姿になって、家出少女たちを漁っていたとか。それもまあ、我々優越種の悲しい性と言ってしまえば、それまでなのですが…そのうち、あなたが屋敷に連れ込んだ5人の少女が、いまだに行方知れずだそうですね…」
ヤチカは青ざめた。
思い出したくない黒歴史。
杏里と出会うことで、そして零に男性器を引きちぎられることで、自分では記憶の隅に封印したはずなのに…。
「あなたの屋敷の花壇には、ほかより花の育ちの良い場所が五か所ほどあると聞きました。時間があったら、一度そこを掘り返してみたいものです…」
「何が、何が言いたいの…?」
こみ上げる疼きに歯を食いしばり、やっとのことでヤチカは言葉を絞り出した。
「それで、私を脅迫しているつもりなの?」
「脅迫? そう聞こえましたか。それは失礼いたしました」
井沢はいっこうに悪びれたふうもない。
腰の動きにも両手の指での愛撫にもいささかの遅延もなく、ヤチカをとことん攻めまくりながら、淡々と話しかけてくる。
「要するに、私の言いたいのは、こういうことです。あなたはすでに、人間としては取り返しのつかない罪を犯してしまった。それはもう、この先何が起ころうと元に戻せるものではない。だが、あなたの行為は、我々の種にとっては、何ら罪に問われることではないのです。ならば、いつまでも人間の側に居てやせ我慢してないで、いっそのこと、ここで我々の陣営に鞍替えしたほうが、あなたの人生自体、もっとずっと楽になるのではないですかね」
「それでも、嫌だと言ったら…?」
杏里の面影を脳裏に思い浮かべながら、ヤチカは必死で抗った。
この身がどうなろうと、私は彼女の敵に回るようなことは、したくない。
杏里ちゃん…もう一度、会いたい…。
「しょうがないですね」
ヤチカのそっけない返答に、耳元で大げさに井沢がため息をつく。
「じゃあ、もう一度見てもらいますか。私の眼を。本当言うと、この眼、狂眼と言いまして、あまり何度も見るのはお勧めできないんですけどね」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
JOLENEジョリーン・鬼屋は人を許さない 『こわい』です。気を緩めると巻き込まれます。
尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
ホラー
ホラー・ミステリー+ファンタジー作品です。残酷描写ありです。苦手な方は御注意ください。
完全フィクション作品です。
実在する個人・団体等とは一切関係ありません。
あらすじ
趣味で怪談を集めていた主人公は、ある取材で怪しい物件での出来事を知る。
そして、その建物について探り始める。
あぁそうさ下らねぇ文章で何が小説だ的なダラダラした展開が
要所要所の事件の連続で主人公は性格が変わって行くわ
だんだーん強くうぅううー・・・大変なことになりすすぅーあうあうっうー
めちゃくちゃなラストに向かって、是非よんでくだせぇ・・・・え、あうあう
読みやすいように、わざと行間を開けて執筆しています。
もしよければお気に入り登録・イイネ・感想など、よろしくお願いいたします。
大変励みになります。
ありがとうございます。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる