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第4話 転生! 凌辱学園
#100 戦慄のストーカー⑤
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紗彩の家に行くには、実家の近くまで戻らねばならなかった。
杏里はユニフォームの上から冬用のトレンチコートを羽織ると、サングラスで顔を隠し、バスに乗った。
不審者そうろうの格好をしてきたおかげで痴漢被害には遭わずに済んだが、バスを降りるとすでにあたりは暗くなり始めていた。
小田切勇次の住む実家の見えるあたりまで来ると、丘に登る道を選択した。
ここらは周囲が鬱蒼たる森で、これだけ暗くなると、さすがの杏里も少々恐怖を感じずにはいられなかった。
誰かに見られているような気がする。
この粘りつくような視線。
いつからついて来てるのだろう…?
無意識のうちに、小走りになっていた。
森の切れ目に、アップライトに照らされた豪奢な邸宅が見える。
紗彩と美衣の、広瀬家だ。
がっしりした門柱に、非情に閉じられた鉄格子の門扉。
例の視線の主はすぐそこまで来ているようだ。
背筋がぞわじわして、強烈な尿意が突き上げてきた。
恐怖に駆られてインターフォンを連打すると、
「どなた?」
不審げな紗彩の声が返ってきた。
「私です。先日おうかがいした、清流院高校教師の、笹原杏里です。広瀬紗彩さんですね」
「そうですが…よその学校の先生が、何の用ですか。あいにく美衣は、新入生歓迎旅行に出かけて留守ですけど」
新入生歓迎旅行?
同じ私学でも、百合丘女子にはそんなシャレた行事があると見える。
うちの高校の”新人女教師歓迎旅行”とは大違いだ。
「いえ、いいんです。きょうは紗彩さん、あなたにお会いしたくて来ました」
「私に…? まあ、何かしら?」
「お願いです。中に入れてください。なんだか外は、ケダモノでも出そうでこわくって」
「そうね…。最近、このあたりでも熊を見たって人がいるみたいだから…。いいわ、お入りなさい」
その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、ひとりでに門扉が内側に開いた。
S字に曲がりくねった車寄せの先に、煌々と照らされた玄関が見える。
杏里が中に入ると、玄関の扉が開いて、和服姿の紗彩が現れた。
すらりとした、ほれぼれするほど美しい立ち姿である。
「私に用って、何かしら?」
シャンデリアの輝く広い玄関ホールに杏里を招き入れると、紗彩が言った。
切れ長の眼が、いぶかしそうにコートを着込んだ杏里を見つめている。
杏里は無言でコートを脱いだ。
あのセクシーユニフォームに包まれたダイナマイトボディが、包み隠さず紗彩の前に露わになった。
「あなた、何してるの?」
紗彩が呆れたように目を見開いた。
が、杏里はその顔に微妙な動揺が走ったのを見逃さなかった。
「沙彩さん、私のこの体を見て、何も感じませんか?」
「…どういうこと?」
「もし私が、この身体を自由にしてくださいってお頼みしたら、どうします?」
賭けだった。
元居た世界とこの世界の住人は、同じではない。
それはわかっている。
でも、かなり共通点があるのも、また確かだった。
ならば、あっちの世界でバイセクシャルだった紗彩が、こちらでもそうである可能性は十分にある。
杏里はそう踏んだのだ。
「その身体を、私の、自由に…?」
紗彩の眼が光った。
そして、低く押し殺した声で、そっとささやいた。
「あなた、どうして知ってるの? 私がそういうの、夫にも美衣にも内緒でひそかに趣味にしてるってことを?」
杏里はユニフォームの上から冬用のトレンチコートを羽織ると、サングラスで顔を隠し、バスに乗った。
不審者そうろうの格好をしてきたおかげで痴漢被害には遭わずに済んだが、バスを降りるとすでにあたりは暗くなり始めていた。
小田切勇次の住む実家の見えるあたりまで来ると、丘に登る道を選択した。
ここらは周囲が鬱蒼たる森で、これだけ暗くなると、さすがの杏里も少々恐怖を感じずにはいられなかった。
誰かに見られているような気がする。
この粘りつくような視線。
いつからついて来てるのだろう…?
無意識のうちに、小走りになっていた。
森の切れ目に、アップライトに照らされた豪奢な邸宅が見える。
紗彩と美衣の、広瀬家だ。
がっしりした門柱に、非情に閉じられた鉄格子の門扉。
例の視線の主はすぐそこまで来ているようだ。
背筋がぞわじわして、強烈な尿意が突き上げてきた。
恐怖に駆られてインターフォンを連打すると、
「どなた?」
不審げな紗彩の声が返ってきた。
「私です。先日おうかがいした、清流院高校教師の、笹原杏里です。広瀬紗彩さんですね」
「そうですが…よその学校の先生が、何の用ですか。あいにく美衣は、新入生歓迎旅行に出かけて留守ですけど」
新入生歓迎旅行?
同じ私学でも、百合丘女子にはそんなシャレた行事があると見える。
うちの高校の”新人女教師歓迎旅行”とは大違いだ。
「いえ、いいんです。きょうは紗彩さん、あなたにお会いしたくて来ました」
「私に…? まあ、何かしら?」
「お願いです。中に入れてください。なんだか外は、ケダモノでも出そうでこわくって」
「そうね…。最近、このあたりでも熊を見たって人がいるみたいだから…。いいわ、お入りなさい」
その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、ひとりでに門扉が内側に開いた。
S字に曲がりくねった車寄せの先に、煌々と照らされた玄関が見える。
杏里が中に入ると、玄関の扉が開いて、和服姿の紗彩が現れた。
すらりとした、ほれぼれするほど美しい立ち姿である。
「私に用って、何かしら?」
シャンデリアの輝く広い玄関ホールに杏里を招き入れると、紗彩が言った。
切れ長の眼が、いぶかしそうにコートを着込んだ杏里を見つめている。
杏里は無言でコートを脱いだ。
あのセクシーユニフォームに包まれたダイナマイトボディが、包み隠さず紗彩の前に露わになった。
「あなた、何してるの?」
紗彩が呆れたように目を見開いた。
が、杏里はその顔に微妙な動揺が走ったのを見逃さなかった。
「沙彩さん、私のこの体を見て、何も感じませんか?」
「…どういうこと?」
「もし私が、この身体を自由にしてくださいってお頼みしたら、どうします?」
賭けだった。
元居た世界とこの世界の住人は、同じではない。
それはわかっている。
でも、かなり共通点があるのも、また確かだった。
ならば、あっちの世界でバイセクシャルだった紗彩が、こちらでもそうである可能性は十分にある。
杏里はそう踏んだのだ。
「その身体を、私の、自由に…?」
紗彩の眼が光った。
そして、低く押し殺した声で、そっとささやいた。
「あなた、どうして知ってるの? 私がそういうの、夫にも美衣にも内緒でひそかに趣味にしてるってことを?」
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