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第4話 転生! 凌辱学園

#29 恥辱まみれの歓迎会⑦

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 授業が終わっても身体の疼きは止まらず、杏里は昼食を外で食べることにした。

 この状態で職員室に戻ったら、那智や大山に何をされるかわかったものではないからだ。

 生徒たちの間に並んで購買部でパンと飲み物を買い、校庭に急ぐ。

 ここ清流院高校は私学だけあって、設備が整っている。

 2面あるグラウンドを抜けると、中央に噴水を配した花壇まであるのだ。

 さすがにここまで来ると、周囲に人影はない。

 と思ったら、先客がいた。

 噴水を挟んだ対面のベンチに、少年がひとり腰かけて、菓子パンをかじっている。

 どきっとした。

 その横顔に見覚えがあったからだ。

 いや、見覚えがあるもなにも、ついさっきまで教室で教えていた生徒のひとりである。

 そこに座っているのは、杏里に向かって「臭い」と言い放ったあの少年、大神明だったのだ。

 少年は、ひどく孤独に見えた。

 横顔が、見ていてきゅんきゅんするほど、寂しそう…。

 不思議と腹は立たなかった。

 そもそも、授業中に欲情していた自分が悪いのだから。

 淫乱呼ばわりはひどいと思うけれども、これとても事実なのだから、仕方がない。

 それより、あの子、なんか気になる。

 杏里は初恋におののく少女のように、胸をときめかせていた。

 女教師が教え子を…というのは犯罪だが、よくよく考えてみれば、杏里の中身は少年と同じ高校1年生なのだ。

 高校生が高校生に恋をしたって、別におかしくはない。

 覚悟を決め、杏里は少年に話しかけることにした。

 風上に立たないよう気をつけて、そっとベンチに近づいた。

「さっきはごめんね」

 驚かさないよう、できるだけ優しい声で言う。

 少年が振り向いた。

 まるで杏里が近くにいるのを知っていたかのように、平然とした顔をしている。

「先生か」

 気のない口調で言った。

「いや、俺のほうこそ、ちょっと言い過ぎた」

「これには色々事情があって…」

 弁解しかけたものの、その事情があまりに常軌を逸しているので、そこで詰まってしまった。

 と、少年のほうが、杏里を遮るように話し出した。

「いいよ、もう。こっちこそ、悪かったよ。いきなり『臭い。あっちへ行け』だなんて。まるで小学生のいじめみたいで」

「いきなり言われてびっくりしたけど…でも、もとはといえば、実際のところ、私が匂うんだし…」

 生徒と教師が交わすにしては、妙な会話だった。

 苦笑する杏里に、真顔のまま、少年が言う。

「実は俺、だめなんだ…。その、女の匂いっての。別に、嫌いっていうわけじゃない。それどころか…。ただ、なんていうか、長時間嗅いでると、頭も身体もおかしくなってくるんだ。特に、先生の匂いは独特で…。ああでも言わなければ大変なことになるところだった…」

「大変なこと?」

 杏里は小首をかしげて少年を見た。

 それに、私の匂いが独特って、それ、いったいどういうことだろう?


 

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