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第3話 ずっとあなたとしたかった
#70 光あるところ闇⑧
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「しかし、よくできてるな」
部屋に入ってくると、那智は美和の”両親”につかつかと歩み寄った。
「なるほど、はく製にして、表面に蝋を塗ったというわけか。大したものだ。まるで生きているみたいだ」
ためつすがめつしながら、感心したように唸っている。
「警察に、言いますか?」
はく製から離れようとしない那智に、意外に力強い声で、美和が言った。
「密告するなら、勝手にどうぞ。私には、そうするしかなかったんですから。それに、私、幼い頃、父から教わりました。本当に大事なものは、永遠に失われないように、ちゃんと標本にして残しておくんだよって…」
杏里は唖然とする思いで、目尻に涙を溜めている美和の横顔を見た。
この子、両親を愛していたのだろうか。
これも、愛のひとつのかたちというわけなのだろうか。
「警察? 葛城、私を誰だと思っている? この鬼龍院那智さんをみくびっちゃ、いけないよ」
はく製にはもう興味をなくしたらしく、那智は杏里と美和のほうに歩いてくる。
ふたりともまだ全裸で、杏里など、右手に萎えた美和のペニスを握ったままだ。
「いいかい? この世の正義ほど、あてにならないものはない。実の子供を虐待して殺す親がわんさか居るこの世の中だ。むしろ、親を殺してはく製にし、永遠の思い出と成そうとしたおまえの行為のほうが、そうしたクソ親どもの所業と比べれば、何倍も崇高だろう。私は別に教え子が殺人鬼だからといって、蔑むつもりはない。それよりもだ、その両性具有の身体、気に入ったぞ」
は?
今度は那智に対して、唖然とする番だった。
この人、何を言ってるの?
頭、大丈夫?
変質者同士、気が合うってこと?
杏里は混乱した。
「先生…」
美和が、すがるような口調でささやいた。
「私、先生のこと、型にはまったただのガリガリの教育者だって、誤解してたみたいです…」
「教育者だ? はっ、笑わせるよ」
那智が悪魔のような笑みを口元に浮かべた。
「あたしが教師をやってるのはね、おいしそうな若い子の近くにいたいから。それだけだよ。生徒なんて、あたしの情欲を満たす道具にすぎないんだ。若い頃から色情狂並みに性欲の強い、この身体のね」
「私も、同じです」
那智のあけすけな物言いに心を許したのか、美和が告白し始めた。
「オナニーは、小学1年生の時からしています。それでも収まらなくなって、中学生になってからは、何匹も猫を殺しました。でも、この前、杏里と出会って…治る気がしたんです。理想の女性、杏里を犯すことができれば、この忌まわしい性癖も、自然に治るんじゃないかって」
「それは別に、忌まわしい性癖でもなんでもないさ。葛城、おまえはまともそのものだ。むしろ、性欲のないやつなんて人間じゃない」
那智は服を脱ぎ出していた。
スーツの上着を空いた椅子の背にかけると、ブラウスのボタンをはずしていく。
「美和、おまえはあたしにそっくりだ。いいだろう。和解の印に、こうしよう」
那智がブラウスを脱ぎ捨て、スカートを落とした。
特大のブラに包まれたボリューミーな胸と、黒いストッキングに包まれたぱつんぱつんの下半身が露わになる。
ストッキングの下の下着は、どうやらTバックのようだ。
むき出しになった臀部は、スイカをふたつ並べたくらい大きかった。
「和解の印?」
美和が、何かを期待するように声を弾ませた。
那智の口角が、更に吊り上がる。
そうして、横目で杏里を見据えて、こう言った。
「そう、和解の印だよ。笹原はいわば、あたしたち共有の財産だろう? ならば、和解の印として、あたしとおまえのふたりがかりで犯してやろうじゃないか。そのほうが、きっと笹原も悦ぶと思うのだが、どうかな?」
部屋に入ってくると、那智は美和の”両親”につかつかと歩み寄った。
「なるほど、はく製にして、表面に蝋を塗ったというわけか。大したものだ。まるで生きているみたいだ」
ためつすがめつしながら、感心したように唸っている。
「警察に、言いますか?」
はく製から離れようとしない那智に、意外に力強い声で、美和が言った。
「密告するなら、勝手にどうぞ。私には、そうするしかなかったんですから。それに、私、幼い頃、父から教わりました。本当に大事なものは、永遠に失われないように、ちゃんと標本にして残しておくんだよって…」
杏里は唖然とする思いで、目尻に涙を溜めている美和の横顔を見た。
この子、両親を愛していたのだろうか。
これも、愛のひとつのかたちというわけなのだろうか。
「警察? 葛城、私を誰だと思っている? この鬼龍院那智さんをみくびっちゃ、いけないよ」
はく製にはもう興味をなくしたらしく、那智は杏里と美和のほうに歩いてくる。
ふたりともまだ全裸で、杏里など、右手に萎えた美和のペニスを握ったままだ。
「いいかい? この世の正義ほど、あてにならないものはない。実の子供を虐待して殺す親がわんさか居るこの世の中だ。むしろ、親を殺してはく製にし、永遠の思い出と成そうとしたおまえの行為のほうが、そうしたクソ親どもの所業と比べれば、何倍も崇高だろう。私は別に教え子が殺人鬼だからといって、蔑むつもりはない。それよりもだ、その両性具有の身体、気に入ったぞ」
は?
今度は那智に対して、唖然とする番だった。
この人、何を言ってるの?
頭、大丈夫?
変質者同士、気が合うってこと?
杏里は混乱した。
「先生…」
美和が、すがるような口調でささやいた。
「私、先生のこと、型にはまったただのガリガリの教育者だって、誤解してたみたいです…」
「教育者だ? はっ、笑わせるよ」
那智が悪魔のような笑みを口元に浮かべた。
「あたしが教師をやってるのはね、おいしそうな若い子の近くにいたいから。それだけだよ。生徒なんて、あたしの情欲を満たす道具にすぎないんだ。若い頃から色情狂並みに性欲の強い、この身体のね」
「私も、同じです」
那智のあけすけな物言いに心を許したのか、美和が告白し始めた。
「オナニーは、小学1年生の時からしています。それでも収まらなくなって、中学生になってからは、何匹も猫を殺しました。でも、この前、杏里と出会って…治る気がしたんです。理想の女性、杏里を犯すことができれば、この忌まわしい性癖も、自然に治るんじゃないかって」
「それは別に、忌まわしい性癖でもなんでもないさ。葛城、おまえはまともそのものだ。むしろ、性欲のないやつなんて人間じゃない」
那智は服を脱ぎ出していた。
スーツの上着を空いた椅子の背にかけると、ブラウスのボタンをはずしていく。
「美和、おまえはあたしにそっくりだ。いいだろう。和解の印に、こうしよう」
那智がブラウスを脱ぎ捨て、スカートを落とした。
特大のブラに包まれたボリューミーな胸と、黒いストッキングに包まれたぱつんぱつんの下半身が露わになる。
ストッキングの下の下着は、どうやらTバックのようだ。
むき出しになった臀部は、スイカをふたつ並べたくらい大きかった。
「和解の印?」
美和が、何かを期待するように声を弾ませた。
那智の口角が、更に吊り上がる。
そうして、横目で杏里を見据えて、こう言った。
「そう、和解の印だよ。笹原はいわば、あたしたち共有の財産だろう? ならば、和解の印として、あたしとおまえのふたりがかりで犯してやろうじゃないか。そのほうが、きっと笹原も悦ぶと思うのだが、どうかな?」
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