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第3話 ずっとあなたとしたかった
#18 JKへの道②
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10分後、何事もなかったような顔で、杏里は保健室を出た。
保健室のベッドでは、今頃例の熟女がいびきをかいて寝ているはずである。
杏里にいたずらをしかけるものは、概してこうなることが多い。
途中で興奮の極みに達し、自分ひとり先にイッてしまうのである。
そうして脱力したように眠る。
起きた時には何があったかまるで覚えていない。
そのおかげで、杏里はあまり最後までやられたことがないのだ。
校長室は、1階の奥、職員室の隣に位置していた。
「失礼します」
ノックをして声をかけると、
「入りたまえ」
どこかで聞いたような、しわがれた声が返ってきた。
ドアを開け、45度の角度で一礼する。
「座って」
顔を上げると、深々としたソファの向こうに、小テーブルをはさんで鶴のように痩せた老人が座っていた。
やっぱり。
杏里は心の中でつぶやいた。
あの時の面接官のひとりである。
だが、杏里が驚いたのは、そのことではなかった。
テーブルの上に、色とりどりの布切れが広げられている。
手に取って見るまでもなかった。
全部女性用下着だった。
それもなぜかパンティばかり。
老人は、それを一枚一枚手にとっては、鼻先に近づけ、匂いを嗅ぐようなしぐさをしている。
「笹原杏里君だね。わしはこの清流院高校の校長、二宮正太郎だ」
黒いレースに鼻づらをうずめながら、二宮校長が言った。
「初めまして。笹原杏里です。ところで、校長先生、あの、これは…?」
杏里は及び腰で向かい側のソファに尻をうずめると、テーブルの上の下着を目で示した。
「いや、実は君の中学校の卒業式の動画が、教育委員会で今注目を集めていてね。先頃の職員会議で、せっかく君が入学してくれるなら、このチャンスを逃す手はない、うちの入学式も、その方式でやったらどうかという案が出たんだよ」
卒業式の動画?
杏里は眉をひそめた。
誰かがスマホで撮影してネットにでも流したのだろうか。
それにしても、その動画を問題視するというならまだならわかるけど、注目しちゃってどうするのだ?
「でね、その時、どの下着を穿いてもらうとよりセクシーに見えるか、君と相談しようと思って、色々買いそろえておいたのだ。もちろん、わしが女性下着売り場に直接買いに行くわけにはいかんから、全部ネット通販で購入したものなのだがね」
校長は異様に熱心である。
どうも、冗談で言っているわけではないらしい。
「は、はあ」
杏里は長い睫毛をぱちぱちさせた。
この人、頭、大丈夫なのだろうか?
そう思って、少しこわくなったのだ。
「なんならここで試着してもらってもいい。おお、我ながら名案だな。そうだ、それがいい。そうしよう」
「そ、そんな…」
杏里はぽかんと口を開けた。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
「職員室の先生たちも呼んで、投票で決めてもいいな。うーん、しかし、当日まで伏せておいて、その時あっと驚かせるという手もあるな。せっかくの機会だ。わしひとりでじっくり鑑賞したい気もするし…悩むのう」
「やめてください」
杏里はきっぱりと言い切った。
「入学式のパフォーマンスは、別にかまいません。でも、パンティは私に選ばせてください。私には私なりの、下着の美学というものがありますから」
「ほほう。下着の美学とな」
校長が身を乗り出してきた。
「面白そうだ。わしに教えてくれんかな」
「シンプル・イズ・ベスト」
杏里は一枚の白いパンティをつまみ上げた。
「色は白。生地はうすうす。形はビキニ。これこそが、パンチラの時、もっともそそるパンティなのです。以上。証明終わり」
保健室のベッドでは、今頃例の熟女がいびきをかいて寝ているはずである。
杏里にいたずらをしかけるものは、概してこうなることが多い。
途中で興奮の極みに達し、自分ひとり先にイッてしまうのである。
そうして脱力したように眠る。
起きた時には何があったかまるで覚えていない。
そのおかげで、杏里はあまり最後までやられたことがないのだ。
校長室は、1階の奥、職員室の隣に位置していた。
「失礼します」
ノックをして声をかけると、
「入りたまえ」
どこかで聞いたような、しわがれた声が返ってきた。
ドアを開け、45度の角度で一礼する。
「座って」
顔を上げると、深々としたソファの向こうに、小テーブルをはさんで鶴のように痩せた老人が座っていた。
やっぱり。
杏里は心の中でつぶやいた。
あの時の面接官のひとりである。
だが、杏里が驚いたのは、そのことではなかった。
テーブルの上に、色とりどりの布切れが広げられている。
手に取って見るまでもなかった。
全部女性用下着だった。
それもなぜかパンティばかり。
老人は、それを一枚一枚手にとっては、鼻先に近づけ、匂いを嗅ぐようなしぐさをしている。
「笹原杏里君だね。わしはこの清流院高校の校長、二宮正太郎だ」
黒いレースに鼻づらをうずめながら、二宮校長が言った。
「初めまして。笹原杏里です。ところで、校長先生、あの、これは…?」
杏里は及び腰で向かい側のソファに尻をうずめると、テーブルの上の下着を目で示した。
「いや、実は君の中学校の卒業式の動画が、教育委員会で今注目を集めていてね。先頃の職員会議で、せっかく君が入学してくれるなら、このチャンスを逃す手はない、うちの入学式も、その方式でやったらどうかという案が出たんだよ」
卒業式の動画?
杏里は眉をひそめた。
誰かがスマホで撮影してネットにでも流したのだろうか。
それにしても、その動画を問題視するというならまだならわかるけど、注目しちゃってどうするのだ?
「でね、その時、どの下着を穿いてもらうとよりセクシーに見えるか、君と相談しようと思って、色々買いそろえておいたのだ。もちろん、わしが女性下着売り場に直接買いに行くわけにはいかんから、全部ネット通販で購入したものなのだがね」
校長は異様に熱心である。
どうも、冗談で言っているわけではないらしい。
「は、はあ」
杏里は長い睫毛をぱちぱちさせた。
この人、頭、大丈夫なのだろうか?
そう思って、少しこわくなったのだ。
「なんならここで試着してもらってもいい。おお、我ながら名案だな。そうだ、それがいい。そうしよう」
「そ、そんな…」
杏里はぽかんと口を開けた。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
「職員室の先生たちも呼んで、投票で決めてもいいな。うーん、しかし、当日まで伏せておいて、その時あっと驚かせるという手もあるな。せっかくの機会だ。わしひとりでじっくり鑑賞したい気もするし…悩むのう」
「やめてください」
杏里はきっぱりと言い切った。
「入学式のパフォーマンスは、別にかまいません。でも、パンティは私に選ばせてください。私には私なりの、下着の美学というものがありますから」
「ほほう。下着の美学とな」
校長が身を乗り出してきた。
「面白そうだ。わしに教えてくれんかな」
「シンプル・イズ・ベスト」
杏里は一枚の白いパンティをつまみ上げた。
「色は白。生地はうすうす。形はビキニ。これこそが、パンチラの時、もっともそそるパンティなのです。以上。証明終わり」
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