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第2話 レズふたり旅
#121 真犯人③
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「麗奈さん…」
あまりにあっさりと麗奈が罪を認めたので、杏里は拍子抜けする思いだった。
「見直したわ、杏里ちゃん。あなた、身体しか取り柄がないと思ってたけど、なかなかどうして、頭のほうも切れるじゃない」
「い、いえ、学校の勉強は、全然なんですけど」
犯人に褒められて照れる探偵もどうかと思うが、頭脳を褒められたことのない杏里は素直に喜んだ。
「それで、動機は、何だったんですか? よければ教えてくださいな」
「そうね」
麗奈が長い髪を指でかき上げ、肩に流した。
「みんなうすうす気づいてるとは思うけど、あたしと源太はいわば、恋人同士の仲だった。ていうか、正確に言うと、セフレみたいなものだったんだけどね」
「つまり、肉体関係があったってことですか?」
「まあね。あいつはあんなふうに獣みたいなやつだったし、あたしもどちらかというと肉食系だから、セックスは所かまわずって感じだったかな。毎日3、4回は欠かさずしてたんだけどさ。それが、あなたたちが現れてから、いくら誘っても、ぱったり乗ってこなくなっちゃって」
両隣の清と篠田は憮然とした表情で、赤裸々な麗奈の告白に耳を傾けている。
「あの時もさ、夕食の後からあいつずっとそわそわして、様子がおかしいから注意してみてたら、なんと夜中にあなたたちの部屋に乱入していくじゃない。挙句の果てにふたりを裸に剥いてパコパコし始めるし、もう、あったま来ちゃってさ」
「え? そんなことがあったの?」
清が傷ついた表情で杏里を見た。
篠田もすごい形相でみいを睨みつけている。
「わ、私たちが源太さんにもらったスポーツドリンクに、睡眠薬と媚薬が入ってたんです」
あわてて弁解したけれど、これまで隠していた後ろめたさに杏里は赤くなった。
「しかも、篠田君のカメラで動画まで撮影して…。その後どうするのかと思って更に後をつけてったら、土蔵で画像を再生して、それ見ながらいきなりまたオナニーだよ。あれだけ出しといて、よくもまあ、って感じだよね。それもさ、あたしって女が、ひとつ屋根の下に居ながらだよ。ほんと、失礼しちゃう」
そこで麗奈は源太殺害を決意し、食堂に戻ってマグネットを取ってきたのだという。
密室の作り方については、昨年ここへ来たときに、推理ドラマの脚本用に思いついて、実際に試してみたことがあったのだそうだ。
土蔵の中に荷造り用の紐があったことは知っていたし、源太はオナニーに没頭していたから、殺害は赤子の手をひねるようなものだったらしい。
後ろから首に紐をかけ、一気に絞め殺しておいて、その後で死体を天井の梁から吊るしたのである。
「でも、まさか、まだ息があったとはね」
殺した後、オナニーの痕跡を残さぬよう、一応下着とズボンは穿かせたそうだから、また下半身丸出しになっていたのは、やはり源太のダイイングメッセージだったと見てよさそうだ。
「源太が撮った動画のメモリを回収し忘れたから、翌日、おばあちゃんたちを連れて現場に行った時に探したんだけど、もうなかったわ。あれはもしかして、杏里ちゃん、あなたが?」
「は、はい。さすがにあれは、人に見られたくなかったもので…」
麗奈にだしぬけに話を振られ、杏里は正直に告白した。
「内容を消去してくださるなら、篠田さんにお返ししますけど」
「まあ、とりあえず、これで一件落着か」
腕組みして、清がつぶやいた。
「しかしなあ、麗奈ちゃんが犯人だったなんて、ちょっとショックだよ」
「ごめんね、みんな。へんなことに巻き込んじゃって」
しおらしく、麗奈が頭を下げる。
「いやいや。なかなかスリリングな展開で、ある意味ぞくぞくしたよ。ま、杏里ちゃんも、麗奈ちゃんも、しゃべり続けで喉、乾いただろ? これでも飲んで落ち着きなよ。今後のことを考えるのは、それからでもいい」
そう言って清が差し出したのは、スポーツドリンクである。
「わあ、ありがとう!」
大喜びで受け取って、ごくごくと半分ほど飲み干した時のことだった。
ふいに隣でみいが言った。
「待って、杏里さま。それってもしかして…」
「え?」
その可能性に思い至った時には、すでに遅かった。
杏里の乳首とあそこが、何の前触れもなく、じんじん痺れ始めたのだ。
あまりにあっさりと麗奈が罪を認めたので、杏里は拍子抜けする思いだった。
「見直したわ、杏里ちゃん。あなた、身体しか取り柄がないと思ってたけど、なかなかどうして、頭のほうも切れるじゃない」
「い、いえ、学校の勉強は、全然なんですけど」
犯人に褒められて照れる探偵もどうかと思うが、頭脳を褒められたことのない杏里は素直に喜んだ。
「それで、動機は、何だったんですか? よければ教えてくださいな」
「そうね」
麗奈が長い髪を指でかき上げ、肩に流した。
「みんなうすうす気づいてるとは思うけど、あたしと源太はいわば、恋人同士の仲だった。ていうか、正確に言うと、セフレみたいなものだったんだけどね」
「つまり、肉体関係があったってことですか?」
「まあね。あいつはあんなふうに獣みたいなやつだったし、あたしもどちらかというと肉食系だから、セックスは所かまわずって感じだったかな。毎日3、4回は欠かさずしてたんだけどさ。それが、あなたたちが現れてから、いくら誘っても、ぱったり乗ってこなくなっちゃって」
両隣の清と篠田は憮然とした表情で、赤裸々な麗奈の告白に耳を傾けている。
「あの時もさ、夕食の後からあいつずっとそわそわして、様子がおかしいから注意してみてたら、なんと夜中にあなたたちの部屋に乱入していくじゃない。挙句の果てにふたりを裸に剥いてパコパコし始めるし、もう、あったま来ちゃってさ」
「え? そんなことがあったの?」
清が傷ついた表情で杏里を見た。
篠田もすごい形相でみいを睨みつけている。
「わ、私たちが源太さんにもらったスポーツドリンクに、睡眠薬と媚薬が入ってたんです」
あわてて弁解したけれど、これまで隠していた後ろめたさに杏里は赤くなった。
「しかも、篠田君のカメラで動画まで撮影して…。その後どうするのかと思って更に後をつけてったら、土蔵で画像を再生して、それ見ながらいきなりまたオナニーだよ。あれだけ出しといて、よくもまあ、って感じだよね。それもさ、あたしって女が、ひとつ屋根の下に居ながらだよ。ほんと、失礼しちゃう」
そこで麗奈は源太殺害を決意し、食堂に戻ってマグネットを取ってきたのだという。
密室の作り方については、昨年ここへ来たときに、推理ドラマの脚本用に思いついて、実際に試してみたことがあったのだそうだ。
土蔵の中に荷造り用の紐があったことは知っていたし、源太はオナニーに没頭していたから、殺害は赤子の手をひねるようなものだったらしい。
後ろから首に紐をかけ、一気に絞め殺しておいて、その後で死体を天井の梁から吊るしたのである。
「でも、まさか、まだ息があったとはね」
殺した後、オナニーの痕跡を残さぬよう、一応下着とズボンは穿かせたそうだから、また下半身丸出しになっていたのは、やはり源太のダイイングメッセージだったと見てよさそうだ。
「源太が撮った動画のメモリを回収し忘れたから、翌日、おばあちゃんたちを連れて現場に行った時に探したんだけど、もうなかったわ。あれはもしかして、杏里ちゃん、あなたが?」
「は、はい。さすがにあれは、人に見られたくなかったもので…」
麗奈にだしぬけに話を振られ、杏里は正直に告白した。
「内容を消去してくださるなら、篠田さんにお返ししますけど」
「まあ、とりあえず、これで一件落着か」
腕組みして、清がつぶやいた。
「しかしなあ、麗奈ちゃんが犯人だったなんて、ちょっとショックだよ」
「ごめんね、みんな。へんなことに巻き込んじゃって」
しおらしく、麗奈が頭を下げる。
「いやいや。なかなかスリリングな展開で、ある意味ぞくぞくしたよ。ま、杏里ちゃんも、麗奈ちゃんも、しゃべり続けで喉、乾いただろ? これでも飲んで落ち着きなよ。今後のことを考えるのは、それからでもいい」
そう言って清が差し出したのは、スポーツドリンクである。
「わあ、ありがとう!」
大喜びで受け取って、ごくごくと半分ほど飲み干した時のことだった。
ふいに隣でみいが言った。
「待って、杏里さま。それってもしかして…」
「え?」
その可能性に思い至った時には、すでに遅かった。
杏里の乳首とあそこが、何の前触れもなく、じんじん痺れ始めたのだ。
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