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第2話 レズふたり旅

#88 嵐の山荘⑱

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「まあ、それはそれとして」

 お互い意識し出すと、会話の接ぎ穂にも困るものである。

 こほんとわざとらしい咳払いをすると、みいのつぶらな瞳から目を逸らし、杏里はたずねた。

「その、充電ってさ、どれくらい時間がかかるものなの?」

「そうですね…。だいたい、1時間くらいでしょうか」

 洗面台の上にちょこんと腰かけたまま、みいが答えた。

「1時間? そんなに?」

 杏里は目をぱちくりさせた。

 もうすぐ双子のばあさんを引き連れて、麗奈が戻って来るだろう。

 コンセントにつながっているみいを見たら、腰を抜かすに違いない。

「どうする? 1時間もこんなことしてたら、みいがロボットだってことがばれちゃうよ!」

「みいはロボットじゃありません」

 みいが怒ったように頬をふくらませた。

「アンドロイドでも、改造人間でもありません。もちろん、完全な人間でもないですけど」

「そ、そうだったね。じゃ、レプリカントってやつかな」

「何ですか? それ。みいは、しいて言うなら、遺伝子操作で造られた、限りなく人間に近いペットです」

 そうなのだ。

 みいの身体は、その怪力を除けば、ほぼ人間の少女そのままである。

 違いは、脳にAIが埋め込まれていて、セッティングを変えるだけで人格も変えられるということぐらいだろう。

「とにかく、なにはともあれ、人間じゃないってことがばれるの、嫌じゃない?」

「はい…。それはできれば、避けたいです。せっかくの旅行なんですから、みいも、みなさんに最後まで人間として扱われたいです」

「そうだよね。うーん、どうしようか」

 杏里は、途方に暮れた。

 なんとかごまかす手はないものか。

 目の前には、丸裸のみい。

 そんな場合じゃないとわかっているのに、ついついその身体に目が行ってしまう。

 みいの裸身は、10代半ばの少女そのものである。

 胸はまだ膨らみ始めて間もない感じで、手のひらにすっぽり収まる大きさだ。

 形は底の丸いお椀に似ていて、先端がつんと上を向いている。

 その頂にある乳首は、まだ成長途上なのか、色素が薄く、乳房の一部であることがよくわかる。

 杏里のもののように、乳首も乳輪も、周囲の肌とくっきりと色分かれしていないのだ。

 そして少しへこんだなめらかな腹。

 その中央の流線型のへそが、なんとも可愛らしい。

 不思議なのは、心持ち開いた太腿の内側である。

 縦に刻まれた亀裂と、その両側の肉厚の”唇”。

 無毛は無毛なのだが、幼女のそこと異なるのは、唇も亀裂も十分なサイズを誇っていることである。

 縦に長い割れ目は下の方で視界から消え、尻のほうにまだ少し続いているようだ。

 だが、大きさは大人でも、色素の沈着がほとんどなく、全体が淡い桜色を呈しているのは新鮮な眺めだった。

「あ、あの、杏里さま」

 みいが恥ずかしそうに言って、もじもじと膝を閉じた。

「あんまり近くで、そんなにじろじろ見ないでくださいな」
 
「あ、ごめ。ちょっと考え事してて」

 顔を上げると、目と鼻の先につんとすましたおっぱいがあった。

 杏里がゴクリと唾を呑み込んだ。
 
 触りたい。

 この手で思う存分弄んで、みいに歓びの声を上げさせてやりたい…。

 そんなよこしまな想念が脳裏をよぎった時である。

 突如として、外の廊下のほうが騒がしくなった。

 わ、まずい。

 しかも、なぜか清たちの声までする。

 どうやら、みんなして押しかけてきたらしい。

 もう、こうなったら。

 イチかバチか。

 あれを実行に移すほかないだろう。

「みい、言う通りにして。みんなを近づけさせない方法は、ひとつしかないの」

「な、何ですか? その方法って」

「充電が終わるまで、ここで演じるのよ」

「演じるって、な、何をです?」

 杏里の気迫に恐れをなしたのか、みいの声が震えた。
 
「わからないかな」

 杏里はみいの膝を割り、その清らかな花びらに顔を近づけた。

「私たち、泣く子も黙る、過激なレズビアン・カップルになり切るのよ」 

「え?」

 みいが絶句した。

 その時、杏里はあることに気づいて、カッとなった。

 みいのあそこに、口紅がついている。

 先ほど、麗奈が接吻した証拠である。

「ああー、みい、何よこれ?」

 嫉妬で顔じゅうが熱くなった。

 んもう、こうなったら、本気出すからね!

 怒りに駆られ、杏里は、猛然とみいの股間に顔をうずめていった。


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