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第1話 美少女ペットみい

#13 ペットとお絵かき

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「わあ、すごいよ、これ! ちょっとした芸術作品かも!」

 課題ノートに貼った写真を眺めながら、杏里は歓声を上げた。

 さっそく近所のコンビニまで行って、USBに保存したデータから写真を印刷してきたのである。

「ちょっとエロチックだけど、誰もこの花瓶が本物のお尻なんて思わないだろうし」

「でも、お尻にしか見えませんけど」

「固いこと言わないの! あ、そうそう、ついでだから、あれも手伝ってよ!」

 課題ノートをカバンにしまう代わりに杏里が出してきたのは、スケッチブックである。

「まだあるんですか?」

 少女が目をぱちくりさせて、杏里を見た。

「うん。美術の課題。写生でも肖像画でもいいから、なにか一枚描いてこいって」

「…もう一回、生け花します? それを写生するとか」

「それがね、私、お絵かきってだめなんだなあ。センスがないっていうか、不器用っていうか…。写生してもぜんぜんうまく描けないの」

「みいがモデルになりますけど」

「いきなり裸体画? それもどうかと思うし、私の腕じゃ、どうせ綺麗に描けないよ。何かいい考え、ない?」

「そうですね」

 顎に手を当て、考え込む少女。

 慣れてくると、白い裸身に赤い首輪がよく似合って見えてくるから不思議である。

「抽象画は、どうですか? うまいか下手かわかんないから、先生も大目に見てくださるのでは?」

「抽象画? だめだめ、そんな難しそうなの。頭の悪い私に描けるわけないじゃない」

 ぶるぶると首を振る杏里。

 と、少女が妙にきっぱりとした口調で言った。

「私の言う抽象画は、頭も手も使いません」

「え? じゃ、どうやって描くの?」

 杏里は驚いた。

 またしても、何か奇抜なことを思いついてくれたのだろうか。

 まったく、ペットにしておくには惜しい人材である。

「ご主人さまの、いちばん得意なところを使って描くのです」

「私の、いちばん得意なところ?」

「わかりませんか?」

 少女がいたずらっぽい表情をする。

「おっぱいとおまんこです」

「は?」

 あまりの答えに、杏里の眼が点になった。

「これはいわば、マン拓の発展形。おっぱいとおまんこに絵の具を塗りつけて、画用紙の上を転げまわるのです。もちろん、みいもお手伝いします。ふたりで転げまわれば、生命力にあふれた、素晴らしい作品が出来上がること、請け合いです」

 マン拓の発展形…。

 ただ、裸に絵の具を塗って、画用紙の上を転げまわるだけ…。

 いけるかも、これなら。

「へーえ、面白そう!」

 杏里は瞳を輝かせた。

「じゃ、おっきな紙が要るね!」

「画用紙をたくさん張り合わせたらどうですか?」

「でも、それじゃ、すぐ破れちゃうよ。あ、そうだ、いいものがある!」

 元農家だけあって、この家にはふすまが多い。

 そのふすまの張替え用の和紙が納屋にしまってあったことを、杏里は思い出したのだった。

 それを話すと、

「グッドですね」

 少女が微笑んだ。

「じゃ、さっそく準備を。下に敷く古新聞があるといいんですけど」

「納屋にいっぱいあるよ。私取って来るから、あなたは絵の具をパレットに出しておいて。絵の具と筆とパレットは、そこを入った私のお部屋にあるからね」

 杏里は丸裸のまま、庭に出た。

 人間生け花の次は、ボディペインティングかあ。

 なんか、わくわくしてきたよ。

 こんな楽しい夏休みの宿題って、初めてだなあ。

 腕いっぱいに和紙と新聞紙を抱えて戻ると、少女がハート形のパレットに、絵の具をにゅるにゅる絞り出していた。

「準備完了です。あとはそれを畳の上に敷いて」

 ちゃぶ台を片づけ、ふたりで部屋中に古新聞を敷き詰める。

 その上に、ふすま2枚分の和紙を広げて四隅をガムテープで留めた。

「では、ご主人さま」

 作業をすべて終えると、杏里の前に正座して、少女が言った。

「このお筆で、お互いの身体に絵の具を塗り合うのです」

 神妙な顔で、筆を取り、杏里に渡す。

「ただし、ひとつだけご注意を」

「なあに?」

 いそいそと筆に絵の具を塗りつけながら、杏里は訊いた。

「今度は、潮吹きは禁止にさせていただきます。だって、絵が台なしになっちゃいますから」

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