転生悪役令嬢は、どうやら世界を救うために立ち上がるようです

#3 異界②

　毛足の長いカーペット。
　
　複雑な意匠をほどこした円柱の列。

　高い天井。

　目の覚めるような極彩色のステンドグラス。

　そして、正面の階段を上がった先にある玉座。

　ここって…？

　まだ夢の続きを見ているのだろうか。

　数学の授業中、ついうとうとしてしまったのがまずかったのか。

　正直、私は数学が苦手である。

　柚木先生のことは好きだけど、授業は何を言っているのかちんぷんかんぷんだ。

　これではいけないと思い、真剣に聞こうと思うのだけど、開始10分で必ず眠くなる。

　だからきょうもまた、いつものように立てた教科書の陰でうとうとしてしまったのだけど…。

　ふと我に返ると、周りの様子が激変してしまっていたというわけだ。

　考えられる可能性は、ただひとつ。

　ひょっとして、ひょっとすると…。　

　異世界転生。

　ファンタジー定番のあれが、私の身にも起こったのではないだろうか？