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戴冠の間8
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「ライーズ・ブロイド公爵様です」
「ブロイド公爵⁈」
そんな‥‥ライーズ・ブロイド公爵は婚約者であったカイトの父親だ。
この国では由緒正しい家柄。
何故そのようなことを‥‥信じられない。
思わずカイトを目でさがす。
当主の列の後ろに並ぶ令息達の列に彼の姿はあった。
遠くからでも驚いている様子はわかる。
マリーの影であるバロンが嘘をつくはずはない。
それだけの証拠を押さえているはずだ。
一体どういうこと‥‥
頭の中でまたぐるぐると理由を模索する。
私が動揺してるなか、すぐに行動に移したのはリベール叔父様だった。
ブロイド公爵の所まで行き、胸ぐらを掴んで引っ張ってくると中央の紫色の絨毯の上に叩きつけた。
「ライーズ!!お前なのか!!
ブロイド家はずっと王家を支えてきた家門だろう、どういうことだ!!」
「何をするのです陛下!いや、リベール殿下と改めた方がよろしいのですか?
こんな子供じみた茶番劇に私はいつまで付き合わされるのですか?
私の家は代々王家を一番近くで支えてきた家門。
我がブロイド家ほど王家を崇拝してきた者はおりません!
それはあなた様も十分に理解されておられるはずです。
それなのに、こともあろうに私がこの件に関係しているような根拠のないたわごとにはうんざりです。
あなた様に毒を盛ったのは給仕係であったはず。
自白し処刑されたはずです。
そして、ヴィルドルフ陛下は不運な事故だったのです。
エリック騎士団長が双子だとは初めて知りましたが、それが私に何の関係がありますか?
エリック騎士団長に非があることなら、そちらで話し合って下さい。
私は全くもって部外者。
今までの話もただ呆れて聞いているだけです。
ここにいる皆もそうでしょう。
わざわざ呼びつけられてこの茶番劇。
ルリア様が女王陛下などと、いい加減にしてください!
この国を率いるのが女などと恥ずかしくて他国には申せません!」
‥‥そうだったのね。
やっと点と点が繋がったわ。
彼の話の中に、その答えはあった。
人の本音とは隠せないもの‥‥
それが理由だったのね‥‥
「ライーズ・ブロイド。
あなたは女の私が王になるなど不服でしょうね。
あなたのブロイド家は、七代前の王弟殿下、ルークドリヒ・ブロイドを先祖にもつ由緒正しい家柄。
そして四代前の王妃は公爵家から嫁いできた令嬢だった。
その王妃の子が三代前の国王、ルークドリヒだった。
この王家と深い繋がりがあるブロイド家。
まさに王家を支えてきたわ」
「よくご存知でいらっしゃいます。
ならば私の言ってることはご理解くださいましたね?」
「ええ、十分に理解しました。
この国を思い、この王家を崇拝してきた家柄だからこその悪行です」
「⁈何ですと?」
「母がブルボマーナから嫁いできたことも、きっと面白くなかったでしょう。
そのうえ子供は娘の私一人。
後継者である王子を産むことができなかった母を疎んでいたのではないですか?
大国でありながら、子は女一人だなんて、隣国から陰口を叩かれていたことは耳にしたことがあります。
父はそれでも側妃を娶らなかった。
王家を支えてきたあなたは、父と母に憤りを感じていたことでしょう。
しかも、頼みの綱であったライナ王妃も王家の血を継がない子を産んでしまった。
ブロイド家が繋いできた王家の血は、何も残らなくなってしまった。
さぞ憎かったでしょうね?」
「はっ、そんな憶測で今度は私を陥れようとなさるのですか?
やはり頭がどうかされているのではないですか?
それに、そこのメイドや騎士は、この王宮では見たことのない人間です。
ここに仕えている者ではないはずです。
偽の使用人を用意して演技をさせるとは、ルリア様の方が随分とあくどいですね」
「あなたが王宮の人間を入れ替えたのね?
そうだったのね‥‥
確かに‥‥メイドと騎士はこの王宮の使用人ではありません」
「ははははっ!ついに認めましたね?
皆聞いたか?
この女王陛下は偽物まで用意した悪女だ!
かつて王を亡くした妃が、王位を狙って争いを起こしたのと同じだ!!
なんと欲深い‥。
女でありながら王位に就きたい為に自らこんな芝居をでっちあげたのだ!
何たる愚かな行為。
長い歴史をもつ我が国の汚点だ。
皆もこれで分かっただろう?
誰が一番の黒幕か、このルリア様こそが悪の根源だ!!」
両手を広げ、高らかに叫ぶ。
その表情は全て思い通りになったという自信に満ちていた‥‥。
「ブロイド公爵⁈」
そんな‥‥ライーズ・ブロイド公爵は婚約者であったカイトの父親だ。
この国では由緒正しい家柄。
何故そのようなことを‥‥信じられない。
思わずカイトを目でさがす。
当主の列の後ろに並ぶ令息達の列に彼の姿はあった。
遠くからでも驚いている様子はわかる。
マリーの影であるバロンが嘘をつくはずはない。
それだけの証拠を押さえているはずだ。
一体どういうこと‥‥
頭の中でまたぐるぐると理由を模索する。
私が動揺してるなか、すぐに行動に移したのはリベール叔父様だった。
ブロイド公爵の所まで行き、胸ぐらを掴んで引っ張ってくると中央の紫色の絨毯の上に叩きつけた。
「ライーズ!!お前なのか!!
ブロイド家はずっと王家を支えてきた家門だろう、どういうことだ!!」
「何をするのです陛下!いや、リベール殿下と改めた方がよろしいのですか?
こんな子供じみた茶番劇に私はいつまで付き合わされるのですか?
私の家は代々王家を一番近くで支えてきた家門。
我がブロイド家ほど王家を崇拝してきた者はおりません!
それはあなた様も十分に理解されておられるはずです。
それなのに、こともあろうに私がこの件に関係しているような根拠のないたわごとにはうんざりです。
あなた様に毒を盛ったのは給仕係であったはず。
自白し処刑されたはずです。
そして、ヴィルドルフ陛下は不運な事故だったのです。
エリック騎士団長が双子だとは初めて知りましたが、それが私に何の関係がありますか?
エリック騎士団長に非があることなら、そちらで話し合って下さい。
私は全くもって部外者。
今までの話もただ呆れて聞いているだけです。
ここにいる皆もそうでしょう。
わざわざ呼びつけられてこの茶番劇。
ルリア様が女王陛下などと、いい加減にしてください!
この国を率いるのが女などと恥ずかしくて他国には申せません!」
‥‥そうだったのね。
やっと点と点が繋がったわ。
彼の話の中に、その答えはあった。
人の本音とは隠せないもの‥‥
それが理由だったのね‥‥
「ライーズ・ブロイド。
あなたは女の私が王になるなど不服でしょうね。
あなたのブロイド家は、七代前の王弟殿下、ルークドリヒ・ブロイドを先祖にもつ由緒正しい家柄。
そして四代前の王妃は公爵家から嫁いできた令嬢だった。
その王妃の子が三代前の国王、ルークドリヒだった。
この王家と深い繋がりがあるブロイド家。
まさに王家を支えてきたわ」
「よくご存知でいらっしゃいます。
ならば私の言ってることはご理解くださいましたね?」
「ええ、十分に理解しました。
この国を思い、この王家を崇拝してきた家柄だからこその悪行です」
「⁈何ですと?」
「母がブルボマーナから嫁いできたことも、きっと面白くなかったでしょう。
そのうえ子供は娘の私一人。
後継者である王子を産むことができなかった母を疎んでいたのではないですか?
大国でありながら、子は女一人だなんて、隣国から陰口を叩かれていたことは耳にしたことがあります。
父はそれでも側妃を娶らなかった。
王家を支えてきたあなたは、父と母に憤りを感じていたことでしょう。
しかも、頼みの綱であったライナ王妃も王家の血を継がない子を産んでしまった。
ブロイド家が繋いできた王家の血は、何も残らなくなってしまった。
さぞ憎かったでしょうね?」
「はっ、そんな憶測で今度は私を陥れようとなさるのですか?
やはり頭がどうかされているのではないですか?
それに、そこのメイドや騎士は、この王宮では見たことのない人間です。
ここに仕えている者ではないはずです。
偽の使用人を用意して演技をさせるとは、ルリア様の方が随分とあくどいですね」
「あなたが王宮の人間を入れ替えたのね?
そうだったのね‥‥
確かに‥‥メイドと騎士はこの王宮の使用人ではありません」
「ははははっ!ついに認めましたね?
皆聞いたか?
この女王陛下は偽物まで用意した悪女だ!
かつて王を亡くした妃が、王位を狙って争いを起こしたのと同じだ!!
なんと欲深い‥。
女でありながら王位に就きたい為に自らこんな芝居をでっちあげたのだ!
何たる愚かな行為。
長い歴史をもつ我が国の汚点だ。
皆もこれで分かっただろう?
誰が一番の黒幕か、このルリア様こそが悪の根源だ!!」
両手を広げ、高らかに叫ぶ。
その表情は全て思い通りになったという自信に満ちていた‥‥。
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