逃げ出した王女は隣国の王太子妃に熱望される

嫉妬

「あなたが側に付いていながら、何故この様なことになったの？」

「申し訳ありません。お嬢様‥‥」

「謝るよりもあなたのやることは解るわよね？」

「はい。もちろんです」

「ならば早くあの女をどうにかしてちょうだいよ！！
あの女が突然現れて王太子妃の座に就くなんて考えたくもないわ！
私がなるべきだと小さい頃から言われてきたのをあなたも知ってるでしょう？」

「はい‥お嬢様‥」

「あなたなら、いくらでもチャンスがあるはずよね？何のために殿下の側にいると思ってるのよ！誰のお陰で今のあなたがいると思ってるの？
我が家の為に働きなさいよ！！」

「はい‥‥。今、機会をうかがっていますのでお待ち下さい」

「そんな悠長にしてられないわ！
殿下のあの様子じゃ結婚式も急がれるでしょうから、その前にあの女を消さなければ殿下の目も覚めないわ！
一体どこの女よ！！人の婚約を壊しにくるなんて」

「‥‥隣国アルンフォルトの王女のようです」

「⁈‥何ですって！王女⁈何故王女が突然このような話になるの⁈
アルンフォルトと縁談の話があるなど父から聞いたこともないわ！
国同士の同意のもとなの？」

「いえ‥‥おそらくアルンフォルトは知らない話かと‥」

「⁈‥まぁ‥それはどうしてかしら？
面白い話がありそうねぇ‥？あなたに全て任せて大丈夫なの？」

「もちろんです。お嬢様。私はお嬢様の為にこの役に就かせていただいたのですから‥。お任せ下さい」

「恩は返してもらうわよ」

「‥‥はい。分かっております」



～～～～～～～～



最近何度も同じ夢をみる。

あまりに鮮明で、これは夢なのだろうかと苦しくなる‥‥

肖像画の女性、皇妃ルリアが皇后と呼ばれる女性と一緒にお茶を飲んでいる光景‥

「あなたが生きているから悪いのよ！
あなたが生きているから、あなたの国も滅びたのよ！
そうでしょう？
あなたが生きているから皇帝陛下も狂ってしまわれた。
あなたが生きているから私の人生も狂わされた。
あなたがこの世に生きている限り、皆が不幸になるのよ！
あなたは悪魔よ！聖女なんかじゃない！
人を不幸にする悪魔そのものよ！！」

皇后は泣き叫ぶように皇妃に掴み掛かる。

「何をするのですか！やめてください！」

周りにいた女性達に皇妃ルリアは体を押さえられ、皇后は皇妃の顔を押さえつけ口に紅茶を無理やり流し入れている。

咳き込んで苦しそうな皇妃ルリアに皇后は言う‥‥

「私の皇帝を奪ったあなたを絶対に許さない。何度だって殺してやるわ！あなたは私の人生を破滅させたのよ！
あんたなんか死んで当然よ！！」

と‥‥。

皇妃ルリアはすぐに真っ赤な血を吐いて苦しそうに亡くなった‥‥

この夢は‥‥何故こんなにもはっきりとしているの‥‥