84 / 97
新たな人生
しおりを挟む
正直に言ってもいいだろうか‥‥
我が儘を言ってもいいだろうか‥‥
「私は‥‥ヴィル様の妻となり生きていきたいのです。聖女様お願いです。私も心からヴィル様を愛しているのです。どうか人の世界に戻してください」
「アリアン‥‥あなた」
「どんな事があろうとも、私も離れたくないのです!」
「アリアン‥」
『聖女様!』『ルリア!』
聖女はくるりと向きを変え、足取り重く歩くと、椅子に腰掛けた
「はぁ‥‥。やっと天に帰る時だと思ったのに、あなた達ときたらまだ私に執着するのね‥‥」
『愛しているのです。あなたを誰よりも深く』
「ふぅ‥‥‥私もあなた達五人を愛しているのよ‥‥負けたわ‥‥」
『聖女様‼︎』『ルリア‼︎』
五人はルリアースレイサーに駆け寄り抱き締めた
私は幸せそうな彼らの姿を見ていた
その姿がヴィル様を思い出させた‥
ルドルフ様を思い出させた‥
嬉しそうな笑顔が恋しくなった
聖女様は、抱き付く五人をかき分けるように私を見ると
「アリアン!幸せになりなさい!」
そう言って笑った
その瞬間、私は見覚えのある金色の光に包まれた
この光は‥‥
瞼が重い‥‥
何だか体に違和感を覚える
先程まで体がふわふわと軽かったような‥‥何でだろう‥‥
「ん‥‥?」
眩しい
重い瞼を無理やり開けてみる
「アリー‼︎」
「アリアン‼︎」
突然大声で名を呼ばれる
何度も瞬きを繰り返すと、憔悴しきったヴィル様とルドルフ様の顔が目の前に見えた
「ヴィル様、ルドルフ様、会いたかったです」
何故か私の口からは、素直にそんな言葉が出た
二人の目からは、ポタポタと音がしそうな程に涙が溢れ出ていた
「またご心配をお掛けしてしまったのですね。私は大丈夫ですから」
そう言って笑ってみせた
その後は、抱き付いて離れないヴィル様とルドルフ様を、キーラ様が焦って引き離そうとする懐かしい光景を見ることになったのである
私が目を覚ましたことで、皆が部屋に集まって来ていた
サアラは、心労で倒れてしまい、離宮で療養しているそうだ
サアラには、本当に申し訳ない気持ちになる‥
ヴィル様の専属侍医から、軽い診察を受けると、
「もう大丈夫です。目を覚ましてくださって本当に良かったです」
と太鼓判を押された
長い夢を見ていたような気がするけれど、夢の内容は忘れてしまった‥‥
父とラリー伯父様が、頭を撫で手を握り締めてくれた
「アリアン、辛い思いばかりさせてすまなかった。父を許してくれ。
母を救えなかった事も私の責任だ。マリアにも辛い思いをさせた‥」
「お父様。その様にご自分を責めるのはもうお止めください。私はとても幸せですよ。それにお母様も、お父様と過ごした日々を幸せに思っている筈です。後悔などひとつも無いと私には解ります」
父は手で目を覆った‥
「アリー。目を覚ましてくれて本当に良かった。サマフォート家当主として、君とマリアを守りきれなかったことを許して欲しい」
「いいえ。ラリー伯父様は、いつも私と母を守ってくださいましたわ。母を愛してくださったラリー伯父様を、母も同じ様に深く愛していたと思います。私には解ります」
ラリーの目からは一筋の涙が流れ落ちた
「女性は気が多い生き物ですから」
そう言って私が微笑むと、部屋に居た全員が固まっている
何か悪い事を言ったかしら?
慌てて私のベッドに駆け寄るヴィル様は
「アリー!何てことを言うんだ!これ以上アリーに惚れる男を増やすな!望みを持たせてどうするつもりだ!」
何の望みだろうか?‥‥
そこはよくわからないが、幸せになってもいいんだという思いが湧き出てくるようだった
新しい人生が今始まるようで、心が満たされる感覚だった
我が儘を言ってもいいだろうか‥‥
「私は‥‥ヴィル様の妻となり生きていきたいのです。聖女様お願いです。私も心からヴィル様を愛しているのです。どうか人の世界に戻してください」
「アリアン‥‥あなた」
「どんな事があろうとも、私も離れたくないのです!」
「アリアン‥」
『聖女様!』『ルリア!』
聖女はくるりと向きを変え、足取り重く歩くと、椅子に腰掛けた
「はぁ‥‥。やっと天に帰る時だと思ったのに、あなた達ときたらまだ私に執着するのね‥‥」
『愛しているのです。あなたを誰よりも深く』
「ふぅ‥‥‥私もあなた達五人を愛しているのよ‥‥負けたわ‥‥」
『聖女様‼︎』『ルリア‼︎』
五人はルリアースレイサーに駆け寄り抱き締めた
私は幸せそうな彼らの姿を見ていた
その姿がヴィル様を思い出させた‥
ルドルフ様を思い出させた‥
嬉しそうな笑顔が恋しくなった
聖女様は、抱き付く五人をかき分けるように私を見ると
「アリアン!幸せになりなさい!」
そう言って笑った
その瞬間、私は見覚えのある金色の光に包まれた
この光は‥‥
瞼が重い‥‥
何だか体に違和感を覚える
先程まで体がふわふわと軽かったような‥‥何でだろう‥‥
「ん‥‥?」
眩しい
重い瞼を無理やり開けてみる
「アリー‼︎」
「アリアン‼︎」
突然大声で名を呼ばれる
何度も瞬きを繰り返すと、憔悴しきったヴィル様とルドルフ様の顔が目の前に見えた
「ヴィル様、ルドルフ様、会いたかったです」
何故か私の口からは、素直にそんな言葉が出た
二人の目からは、ポタポタと音がしそうな程に涙が溢れ出ていた
「またご心配をお掛けしてしまったのですね。私は大丈夫ですから」
そう言って笑ってみせた
その後は、抱き付いて離れないヴィル様とルドルフ様を、キーラ様が焦って引き離そうとする懐かしい光景を見ることになったのである
私が目を覚ましたことで、皆が部屋に集まって来ていた
サアラは、心労で倒れてしまい、離宮で療養しているそうだ
サアラには、本当に申し訳ない気持ちになる‥
ヴィル様の専属侍医から、軽い診察を受けると、
「もう大丈夫です。目を覚ましてくださって本当に良かったです」
と太鼓判を押された
長い夢を見ていたような気がするけれど、夢の内容は忘れてしまった‥‥
父とラリー伯父様が、頭を撫で手を握り締めてくれた
「アリアン、辛い思いばかりさせてすまなかった。父を許してくれ。
母を救えなかった事も私の責任だ。マリアにも辛い思いをさせた‥」
「お父様。その様にご自分を責めるのはもうお止めください。私はとても幸せですよ。それにお母様も、お父様と過ごした日々を幸せに思っている筈です。後悔などひとつも無いと私には解ります」
父は手で目を覆った‥
「アリー。目を覚ましてくれて本当に良かった。サマフォート家当主として、君とマリアを守りきれなかったことを許して欲しい」
「いいえ。ラリー伯父様は、いつも私と母を守ってくださいましたわ。母を愛してくださったラリー伯父様を、母も同じ様に深く愛していたと思います。私には解ります」
ラリーの目からは一筋の涙が流れ落ちた
「女性は気が多い生き物ですから」
そう言って私が微笑むと、部屋に居た全員が固まっている
何か悪い事を言ったかしら?
慌てて私のベッドに駆け寄るヴィル様は
「アリー!何てことを言うんだ!これ以上アリーに惚れる男を増やすな!望みを持たせてどうするつもりだ!」
何の望みだろうか?‥‥
そこはよくわからないが、幸せになってもいいんだという思いが湧き出てくるようだった
新しい人生が今始まるようで、心が満たされる感覚だった
11
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
泣き虫令嬢は自称商人(本当は公爵)に愛される
琴葉悠
恋愛
エステル・アッシュベリーは泣き虫令嬢と一部から呼ばれていた。
そんな彼女に婚約者がいた。
彼女は婚約者が熱を出して寝込んでいると聞き、彼の屋敷に見舞いにいった時、彼と幼なじみの令嬢との不貞行為を目撃してしまう。
エステルは見舞い品を投げつけて、馬車にも乗らずに泣きながら夜道を走った。
冷静になった途端、ごろつきに囲まれるが謎の商人に助けられ──
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった
Blue
恋愛
王立学園で行われる学園舞踏会。そこで意気揚々と舞台に上がり、この国の王子が声を張り上げた。
「私はここで宣言する!アリアンナ・ヴォルテーラ公爵令嬢との婚約を、この場を持って破棄する!!」
シンと静まる会場。しかし次の瞬間、予期せぬ反応が返ってきた。
アリアンナの周辺の目線で話しは進みます。
地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……
ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。
ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。
そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる