上 下
70 / 97

断罪式4

しおりを挟む
リリアーナは、ヴィルドルフの言葉に手を強く握り奥歯を噛み締め、凄い形相でアリアンを睨んでいる

「私のアリアンに随分と酷い事をしてくれたな。溺れるほど冷水を浴びせ、足で腹を何度も蹴り、太ももを何度も踏み付けたそうだな?アリアンは熱を出し、つい最近まで痛くて歩けない程に足も腫れた。これは、お返しさせていただこう!」

リリアーナは、ドレスの裾を持ち上げ、怒りに任せて階段を駆け上がったところを護衛騎士に取り押さえられた
四大公爵の席には、ルドルフとラリーが隣り合うように立っていた

「ルドルフ‼︎あんた殺した筈よね!何で生きてるのよ!騙したのね!バルヘルム家を騙して潰したのね!次期当主でありながら、裏切るなんてあんた最低よ!」

「最低なのは父さんや姉さんの方だ!アリアンは、何ひとつ悪い事などしていない。その彼女にあんな惨い事をするあなた達の方が最低だ。そんなバルヘルム家は、潰れた方がいい!母と同じ気持ちだ!」

「この裏切り者!あんたまだその女に誑かされたままだったのね!私を騙したのね!」

護衛騎士に両腕を取り押さえられながらも怒鳴り続けた

「アリアンを守る為なら何だってするさ!先に罪を犯したのはあなた達の方だ!」


リリアーナは、ルドルフの隣のラリーを見た


「あなた!ラリー‼︎私とエリナを助けて!お願い!夫でしょう!」

リリアーナが叫んだ

「お前は私の大切な妹を死に追いやった。マリアの娘のアリアンまでも殺そうとした。そんなお前もエリナも助けるわけがないだろう!大人しく裁きを受けるんだな」

「何ですって‥‥何よあんたなんか!実の妹であるマリアを愛していたことを知ってるのよ!あんたまともじゃないわ!」

「だからどうした?マリアは、愛されて当然の人間だ。お前のような薄汚い女に名前も呼ばれたくない」

「マリアなんて死んで当然よ!私の全てを奪ったあんな女!死んで清々したわ」

「お前こそ死んで当然だな」


あぁぁぁ‥‥
リリアーナの泣き叫ぶ声が会場に響く
エリナも泣き、シェルリーンもローズも泣き崩れる
宰相も床に崩れ落ちたままだった


「全員連れて行け‼︎」


ヴィルドルフの命令で、関係者が全て両腕をしっかりと抱えられ、逃げられないように連れて行かれる

公爵達もその夫人達も、事前に名前を伝えてあった者は、一人残らず連れて行かれた


舞踏会場は静かになった


招待された貴族達は、初めの浮かれた気持ちは何処へやら‥‥
王族や上流階級の断罪式を見せられ震えていた‥‥


「この国は、アルンフォルトになった!反対する者はいるか?」

誰も何も言えない
言えるわけがない状況である

「この国が、今までよりも皆の暮らしが楽になるよう王として全力を尽くす。明日中には、我が軍が、民に全てを伝える。暴動が起こる事は無いであろう。アルンフォルトが大国であるのは、住んでいる者に力があるからだ。皆もこれからは、アルンフォルトの国の一人として、共に豊かな国を目指そうではないか。王は私だが、国は住んでる皆のものだ。これからは、それを肝に銘じよ!」

「はっ」

ヴィルドルフをはじめ、リベール、スペンサーが頭を下げる
皆も一斉に頭を下げた

「では、行くぞ!」

「はっ」

フィリップ王が、また大勢の騎士達に空けられた中央の道を歩いて行く
白い隊服の騎士達も全て退場し扉が閉まった


ヴィルドルフは、ふぅと長い息を吐いた


「終わったよ、アリー。俺にご褒美をくれないか?」

そう言うと、ヴィル様は私の返事も聞かずに、私の唇を塞いだ
それは、踊り場で、皆からよく見える位置であった







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

踏み台令嬢はへこたれない

三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」  公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。  春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。  そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?  これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。 「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」  ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。  なろうでも投稿しています。

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています

瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
恋愛
【第一部完結】  婚約者を邪険に思う王太子が、婚約者の功績も知らずに婚約破棄を告げ、記憶も魔力も全て奪って捨て去って――。  ハイスぺのワケあり王子が、何も知らずに片想いの相手を拾ってきたのに、彼女の正体に気づかずに――。 ▲以上、短いあらすじです。以下、長いあらすじ▼  膨大な魔力と光魔法の加護を持つルダイラ王国の公爵家令嬢ジュディット。彼女には、婚約者であるフィリベールと妹のリナがいる。  妹のリナが王太子と父親を唆し、ジュディットは王太子から婚約破棄を告げられた。  しかし、王太子の婚約は、陛下がまとめた縁談である。  ジュディットをそのまま捨てるだけでは都合が悪い。そこで、王族だけに受け継がれる闇魔法でジュディットの記憶と魔力を封印し、捨てることを思いつく――。  山道に捨てられ、自分に関する記憶も、魔力も、お金も、荷物も持たない、【ないない尽くしのジュディット】が出会ったのは、【ワケありな事情を抱えるアンドレ】だ。  ジュディットは持っていたハンカチの刺繍を元に『ジュディ』と名乗りアンドレと新たな生活を始める。  一方のアンドレは、ジュディのことを自分を害する暗殺者だと信じ込み、彼女に冷たい態度を取ってしまう。  だが、何故か最後まで冷たく仕切れない。  ジュディは送り込まれた刺客だと理解したうえでも彼女に惹かれ、不器用なアプローチをかける。  そんなジュディとアンドレの関係に少しづつ変化が見えてきた矢先。  全てを奪ってから捨てた元婚約者の功績に気づき、焦る王太子がジュディットを連れ戻そうと押しかけてきて――。  ワケあり王子が、叶わない恋と諦めていた【幻の聖女】その正体は、まさかのジュディだったのだ!  ジュディは自分を害する刺客ではないと気づいたアンフレッド殿下の溺愛が止まらない――。 「王太子殿下との婚約が白紙になって目の前に現れたんですから……縛り付けてでも僕のものにして逃がしませんよ」  嫉妬心剥き出しの、逆シンデレラストーリー開幕! 本作は、小説家になろう様とカクヨム様にて先行投稿を行っています。

「好き」の距離

饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。 伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。 以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。

この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに、なぜか潔癖公爵様に溺愛されています!〜

海空里和
恋愛
まるで物語に出てくる「悪役令嬢」のようだと悪評のあるアリアは、魔法省局長で公爵の爵位を継いだフレディ・ローレンと契約結婚をした。フレディは潔癖で女嫌いと有名。煩わしい社交シーズン中の虫除けとしてアリアが彼の義兄でもある宰相に依頼されたのだ。 噂を知っていたフレディは、アリアを軽蔑しながらも違和感を抱く。そして初夜のベッドの上で待っていたのは、「悪役令嬢」のアリアではなく、フレディの初恋の人だった。 「私は悪役令嬢「役」を依頼されて来ました」 「「役」?! 役って何だ?!」  悪役令嬢になることでしか自分の価値を見出だせないアリアと、彼女にしか触れることの出来ない潔癖なフレディ。 溺愛したいフレディとそれをお仕事だと勘違いするアリアのすれ違いラブ!

地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

処理中です...