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新・宮中学園

新理事長①

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 2日間開催された学園祭は生徒会とImperialのファッションショーもあり、大成功で終わった。

 学園祭の次の日は休校だったが、やたらハッスルしたチカと宏太のせいで体が休まらなかった。
 途中2人がかりでマッサージしてくれたけど、手つきが徐々にあやしくなって、そのまま前から後ろから大きなブツを咥える羽目になるし。オレの体って赤い斑模様だったっけかなー(遠い目)

「姫川様おはようございます」

「……おはよ」

 なので寝たのにまだ怠いし眠い。エレベーターの下で待っていた親衛隊が、手に持っていたネクタイを素早く締めてくれ、お礼を言うと「役得ですから」とにっこり。ええ子や……

「マナおはよう」

「……」

「まだ眠いの?」

 Ω寮を出るといつも通り門の所にチカと宏太がいた。2人共心なしか艶々している気がする。しかも元気なんだが。体力オバケすぎない?

「今日は午前中学園祭の片付けで、午後臨時集会があるらしいよ」

「午後授業無くなったー」

 わあいと喜んでいたら、チカが「あの校長話長いんだよな」と一言。やべ、今のオレ高確率で眠さと戦う事になりそうなんだけど(汗)

 いつもより1時間ほど遅い登校をすると、既に片付けが始まっており、不必要となったボードなどをグラウンドに運ぶ手伝いをする。結局2日間で1時間しか参加出来なかったから、これくらいは積極的にやらないとな。

 全クラス分なので廃材が山のようにグラウンドに積み上げられ、それを手配したトラックがそれを積み処理場へと運んでいく。

 毎回かなりの廃材が出るので、キャンプファイヤーをする案が出た事があるらしいが、消防局へ届け出をしたり、キャンプファイヤー中何台も消防車を待機させなくてはいけないので諦めたらしい。
 それ以前に周りが山なので、山火事が起きる危険性があるから許可は下りなかったと思うけど。

 うちのクラスはカフェだったこともあり、廃材はあまりなくすぐ終わってしまった。教室に戻ると残っていたクラスメイト達が、机をくっつけて学園祭で使ったテーブルクロスを敷き、その上にケーキや飲み物を準備して即席のご苦労さん会を用意していた。

「皆のもの、学園祭はお疲れ様。可愛いメイドのおかげで売り上げも上々、ささやかながらお菓子を用意したので食べてくれ。それではかんぱーい」

「「「「「「かんぱーい」」」」」」

 実行委員の乾杯の音頭で始まったご苦労さん会は和気あいあいとしている。クラスに立花がいるからうるさくなると思っていたんたけど。

 ……?

 立花いなくね?

「あれ?立花は?」

「そういやいねーな。ま、静かでいんじゃね?」

 井上が興味無さそうにジュースを飲んでいる。居て絡まれても面倒なので、居ないなら居なくていいんだけど、アイツいつからいなかったんだ?そもそも学園祭いたっけ?

「愛加どうしたの?」

「いや別に」

 両手にケーキの箱を抱えている宏太にかぶりを振る。立花にたいした興味が無いし。

 オレも用意してもらっていたケーキの箱を持ち、クラスメイトにごゆっくり~と声をかけ、教室をあとにする。片付けも殆ど終わっているのか廊下にはまばらにしか生徒はいない。

 生徒会室に行く前に風紀委員会室に立ち寄り、ケーキを渡す。学園祭では色々と動いてもらったので、ありがとうを込めて持って行ったのだ。吉永さん始め風紀委員に喜んでもらえて何より。ケーキ大好きな椿さんには1ホール渡すと、ホールケーキを前に拝んでいた。分かる分かるよ、好きなだけ食べられる感じが良いよな。

 生徒会室に行くと、相沢さんが物凄い勢いでパソコンを打っていた。収支関係は会計の仕事だから相沢さんが1番忙しい。他のメンバーはトラブルの報告書や意見書などを分けながらやるだけなので、そこまで忙しくない。

 ほいほいと書類を分けていると、一ノ蔵さんがある書類を見て「あー……」と声を漏らしている。

「いっちゃんどうしたの?」

「……ええと、学園祭でやった男装・女装コンテストが生徒会のファッションショーに持っていかれて、発表の時に盛り上がらなかったという苦情が来てます」

「「「「「「あー……」」」」」」

 そういえば毎年コンテストが、学園祭のメインイベントになってたって聞いてたな。盛り上がるから2日目の最後にやるとかなんとか。それなのにファッションショーが盛り上がり過ぎて、台無しにしたって事?なんかすまない。

「な……なんか出場者に悪いことしちゃったな」

「そうだね、コンテストの為に気合い入れていた人もいただろうし」

「生徒会から参加者に食堂の1か月フリーパス券でも出しておくか」

「それに関してなんですが、生徒会役員とデートの補償をしろと要望が来ていますが」

「フリーパス券で黙らせろ。それか満也か柚木ならデートOKだと言え。アイツらも一応生徒会役員だからな」

「分かりました………食堂のフリーパスでいいそうです」

 早速一ノ蔵さんが意見書に書いてあった生徒(出場者代表だったらしい)に連絡すると、フリーパス券で落ち着いたようだ。まあ向こうもダメ元で要望を書いたんだろうし、落としどころに落ち着いたって事だな。

「チッ、あの2人使えねぇな」

 どうやらチカは満也さんと柚木さんに押し付ける気満々だったらしい。今や生徒会役員かも怪しい状態だからこれくらい役に立てって事かな。
 そういえばあの2人も最近見てないなー。

 そうやって報告書などを捌いていたら昼になったので食堂の中2階に行き食べ、そのまま体育館へ移動。
 生徒会役員は集会時大抵右壁際、風紀は左壁際に沿って椅子が用意されているが、今回は生徒主体の集会ではないのでクラスメイトがいる席に座る。周りはざわざわしているが、休みの疲れでこの状態でもお休み3秒できそうだ。

「愛加僕の膝で寝る?」

「むぅ~」

「さすがにここでは止めとけ」

 宏太が膝をぽんぽんするも、井上に止められた。確かに壇上の上からだと丸見えだもんな。

『皆静かに。知っている生徒もいるだろうが、宮中学園と宮近みやちか学園の2校と附属中等部の4校が昨日付けで運営財団が変わった。今からその説明を新理事長から話があるから聞くように』

 ざわついていた生徒が壇上脇で教頭が話し始めると静かになったが、話し終わるとざわめきが大きくなる。殆どの生徒が寝耳に水の話だから仕方ないよな。

 コツコツカツカツ……コツカツ……

 コツコツと靴の鳴る音が聞こえると一気に静かになり、全員壇上を注視する。

 コツコツカツカツ

「?」

 コツコツは分かるけど、カツカツ?すっごい聞き覚えがある足音なんだけど。不安を覚えながら壇上を見ていると、スマートにスーツを着こなした金髪の新理事長てあるヨハンの姿が。
 イケメン外人の登場に、黄色い声が飛び交う。そしてその後ろからやたら見覚えがある金茶のゴージャス美女が、出て来た途端、ヨハンの存在感を軽く越え(主に)女生徒の悲鳴のような歓喜の叫びが、あちこちから聞こえる。しかもパタパタと何人か倒れたようだ。多分演劇部の下僕達だろう。

 いやいや、あげは姉ぇ何しに来たのさ。新理事長ヨハンより目立っちゃダメだろ。ヨハン、あげは姉ぇをもうっとり見てんじゃない!ほら、それを見た生徒が余計騒いでるし!もうカオスすぎる!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 今回文字を入力途中でエラーが出て書き込んでいたのが消えて涙目になりました。半分ほど書き直しになったので遅くなりました。

 ※宮近学園とは宮中学園と姉妹校で、元理事長が夏休み中にヨハンを案内した学校です。
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