王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

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生徒会編

夏休み前の攻防

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 食堂での言い争いから予想通り事あるごとに立花は菅原に噛み付き周囲から遠巻きにされ、逆に菅原は控えめな態度と親切で信頼を得て、夏休み前には生徒会が進行を務める委員長会議にクラス委員長の代理で出るようにまでなっていた。

 そうなってしまうと関わらないわけにもいかず質問とかに答えていたが、その時上目使いで見る菅原にこれがマナだったらなぁとニヤついてしまい「笑わない会長が菅原に笑いかけているのはお気に入りだからだ」という噂が流れてしまった。

 しまったと思い気を付けて笑わないようにした時には遅く、勘違いした菅原が俺の隣にいる事が多くなってしまった。まあその度に俺の親衛隊に引き剥がされているがな。
 ただ忙しいからと言って生徒会の仕事を手伝う提案をされた時は肝が冷えた。転入早々手伝わせたら周りに反発があるからと断ったがヤバかった。
 それを見てゲラゲラ笑っていた相沢は後で締めたがな。

 これマナに怒られる案件だろ。スライディング土下座で許してもらえるだろうか。

 だからこれ以上外堀を埋められないように一日中生徒会室に籠もる事にした。昼食も生徒会室だ。元々忙しかったし学園祭に向けて煩わしいものをなるべく排除したかった。

 そしてもう一つ、生徒会役員のみで進めたい事があった。

「「ファッションショー?」」

「そうだ。毎年行われる生徒会の出し物を今回『imperialインペリアル』と手を組みファッションショーを催したいと思う」

「インペリアル⁉」

「超高級ブランド!」

 インペリアルの名前を出すと双子は興奮し、相沢は目を見開いて固まっている。まあたかだか高校の学園祭にインペリアルが関わるなんて万が一にも無いからな。

「……姫川くんですか?」

「一ノ蔵よく知ってるな」

「うちはインペリアルと取り引きがありますので」

「えー愛加ちゃんってそうなの?パーティーで見た事ないー」

「ないー」

「あそこの家は15までおおやけの場には出さないんだ。顔が知れると誘拐のリスクが上がるから」

「「あー……」」

 双子がうんうん頷いている。うちの学園に入る生徒は名家や大企業の子息子女が多い為、大なり小なり誘拐のリスクと隣合わせだ。それもあって武道や格闘技など護身術を身につけている者も多い。
 高校は全寮制で誘拐のリスクは無いが、中等部までは送迎必須だ。

「でもファッションショーやるならお金がかなりかかるんじゃないの?」

 相沢が会計らしく難しい顔で聞いてくる。確かに超高級ブランドであれば破格の値段になるだろう。

「それなんだが条件を飲めばこちらの予算だけでいいと言っている」

「えっ」

「うそー」

「それってどんな条件?」

「3個条件があるが1つは「開催の30分前まで公表しないこと。」これは過度な学園祭の混雑を避ける為。次に「imperialが関わっている事を知るのは生徒会役員のみ、学園や理事達には秘密にすること。」これは外部から口出しされるのを避ける為。もう1つ「生ライブ配信をすること。」だ」

 一つ一つ条件を話す。他にもあるがこの3つだけは必ず守らなくてはいけないものだ。

「うーん……2つはいいけど最後のライブ配信って何で?」

「それは姫川と北大路がそれで『imperial』のモデルデビューするからだ」

「「きゃー♡」」

「責任重大じゃん……」

 双子は喜び相沢は顔が引きつっている。一ノ蔵は知っていたのか涼しい顔だ。

「ちなみに俺達も出演予定だ」

「うおーーーっしゃ!!」

「ぎゃっ!」

「エイトくんコワイー」

 急に雄叫びをあげた相沢に登喜ときは驚き有喜は怯え一ノ蔵は……涼しげだな。
 そういえば相沢はモデル活動をしていたな。インペリアルのモデルなんて早々できる事ではないから嬉しいのだろう。

「同意するならこの同意書にサインをしてくれ。サインと同時に効力が発揮される書類だ。情報を漏らした時点で社会的に死ぬと思え」

「ちょっ、怖っ、サインするの震えるんだけど」

 皆緊張しながら同意書を読み上げサインをしていく。

「書き終わったな。ここからは極秘に進めていく。夏休み前日にステージ設置の業者を装ってインペリアルのスタッフが数名来る事になっているが一ノ蔵が担当してくれ。相沢はメールで送られてくる見積もりの処理、五月雨さみだれ兄妹は当日の次第の調整案を作って見せてくれ。なお極秘の為、書類やパソコンは各自必ず持ち帰ること」

「「はーい」」「了解」「承知しました」

「なお服のサイズ合わせをしたいそうたから夏休み前日は生徒会室に来るように」

 立花の時は様子見だったが菅原が転入してきた時点で親達からGOサインが出て学園祭の催し物にファッションショーを提案し俺達の計画を実行できるようにした。これからは知られないよう立ち回らないといけない。

 色んな所に設置してあるカメラを覗いて楽しんでいる理事達に付き合うつもりはさらさらない。

 名家や大企業のαに自分達が用意したΩを番にさせて権力を握り美味い汁を吸おうなんて害悪でしかない。徹底的に潰してやる。


 ◇◇◇◇◇


 生徒会室での話し合いが終わり、夏休み前最後の学園祭の実行委員会に向かう。

 外は陽射しが強く暑い為、運動部以外の生徒が外を歩いているのは見えない。併設されているカフェもデッキで飲食する強者はいないようだ。
 日が刺す廊下も空調が効いていて暑さをそれほど感じないのは助かる。何ヶ所かある会議室は今回各クラス代表が集まるという事で生徒会室がある東棟から教室がある西棟の会議室まで歩かなくてはいけない。なんせ学園内は広く、移動も時間がかかるのだ。

 西棟に入り教室の手前にあるエレベーターに乗り4階の会議室へ入る。基本階段だが時間短縮に使う。会議自体は実行委員長が取り仕切り生徒会は要所意見を述べる。

「えっと…生徒会の催し物がシークレットになってるんですが…?」

 次第を読み上げている実行委員長が恐る恐る聞いてくる。そりゃそうだ、【シークレット】と書いて内容は空欄だからな。

 そこにいる委員の視線が集中している中立ち上がり説明する。

「今回生徒会の出し物は当日まで秘密させてくれ。なに、皆んなを楽しませたいんだ満足させると約束しよう。内容は……舞台を使うもの、とだけ言っておく。それと役員のみで準備するので手伝いはいらない」

 しっかり釘を刺しておかないとな。一々手伝うとか言われても面倒だ。

「……分かりました。では今までの内容で質問ありますか?………無いようなのでこれで夏休み前の実行委員会は終わります。次は夏休み明けです。皆さん家の事もあるでしょうがそれまでに各クラスの準備をできるとこまで進めておいてください」

 30分ほどで会議が終わりぞろぞろと会議室を出て行く。後は実行委員長と副委員長と生徒会で話を詰めようと席を移動しようとしたら実行委員に潜り込んでいたらしい菅原に声をかけられた。顔を赤らめモジモジとして鬱陶しい。

「あのっ、叔父さんが夏休みに視察するから会長も一緒に来ないかって……」

「は?」

 何故俺を誘う⁉勘弁してくれ。

「断る」

「えっ……僕もっ、僕も行くので大丈夫ですよ?」

「「何が大丈夫なの?」」

 双子良く言った!全く大丈夫じゃないだろ。菅原こいつの安心要素を教えてくれ。

「行かん。貴様に付加価値があると思えないしな」

「でもっ」

「それに夏休みのスケジュールは全て埋まっている」

「そんな……」

「会長仕事で海外なんでしよ?いーなー」

「仕事なんですね、じゃあ僕手伝いますよ!」

「は?」「えっ?」「「うえっ?」」「やべー」

 双子の「海外で仕事」発言にしょんぼりしていた顔をパアッさせ意気込んでみせる菅原にそこにいた全員が唖然とする。

 家の仕事はおいそれと人に、ましてや赤の他人に言う事も携わらせる事もしない。それは不文律だと分かっているからこそ菅原の発言に皆んな顔をしかめる。

「菅原、その発言はスパイだと疑われても仕方ない発言だ気を付けろ」

「そういう事じゃあ……」

「それに俺は仕事とバカンスを邪魔されたくないんだよ」

「かいちょーバカンスって言っちゃってるし」

 そこは突っ込むな!仕事も兼ねてマナに会いに行くのに邪魔されてたまるか!

「……分かりました。次は一緒に行きましょうね」

 へにょりと眉尻を下げ悲しそうな顔をして部屋を出て行く菅原に罪悪感を感じ……ないな。

「人当たり良さそうに見せてかつ罪悪感を煽るとは…したたかですね」

 一ノ蔵、冷静な分析だな。実際そうだろう。

「完全かいちょーロックオン♪」

「勘弁してくれ……」

 本当精神的に疲れる……あー、マナに会いたい。早く夏休み来ないかな。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


☆またとある撮影現場にて☆

 愛加「やあこの前ケータリングのデザートの所に高野豆腐に苺ソースをかけたものをこっそり置いていたらあげは姉ぇに怒られた愛加だよ☆」
 宏太「それはあげはさんも怒るよね」
 愛加「なので今回は臭豆腐を置いて見たよ♡」
 宏太「豆腐からはなれようよ」

 あげは「ゴルァ愛加ァァァ!!スタッフ全員悶絶しとるだろうがぁぁぁ!!」
 愛加「やべっ、1時間ほど探さないでください☆(シュタッ)」

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