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生徒会編
第二の転入生来たる!
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ここからまた惟親視点でお送りします。
今回キリがいいトコで終わらせたら少し短くなってしまいました( ´•ω•` )
マナと宏太がまた仕事で学園に来なくなってから3週間、その間にマナが樫木竜司から抑制剤を入手し宏太の母親の会社、麻路薬品で成分を分析していて結果待ちだ。
そして俺はまた理事長に呼び出され理事長室に来ている。
そこには机に座り胡散臭い笑顔を貼り付けた理事長と見たことがない生徒がいた。
「やあやあ帝くん、いつも悪いね」
「いえ」
7月に入って増々多忙になってきたのに呼び出しとはいい度胸だ。こんなとこ早く用事を済ませて帰りたい。理事長と話をするとSAN値が削られるんだよなぁ。
「今日来てもらったのはね、私の甥っ子の祐希が転入するから面倒を見てもらいたくてね。ほら祐希、挨拶」
「は…初めまして。菅原祐希です」
今度は理事長の甥か。ふてぶてしい奴の甥にしてはおどおどしている。似てるのはぼやっとしている平凡な顔くらいか?
この忙しい時にまた権力を使って転入生の面倒を見ろとはどれだけ迷惑かける気だ。
「生徒会長の帝だ」
まあ誰かに……といっても役員は皆んな忙しいからな。 親衛隊にでも面倒見させるか。
「帝くんが面倒見てあげてね」
くそっ、先手を打たれた!
「……分かりました。しかし今学園祭の準備で忙しいので2日だけでいいですか?」
「いやー、可愛い甥っ子だからさ、もっと面倒見てよ」
「2日」
「もっと」
「2日、それ以上は無理です」
「………分かった」
不満なようだが多忙だし今度の転入生は理事長の甥だ。どうせ思惑があるのだろうし関わり合いたくない。
「その代わり今から校内を案内してくるるかな」
「……分かりました。行こうか」
「は……はいっ!」
2人で理事長室を出て校内へ続く廊下を歩く。職員室や校長室は校内にあるが理事長を始め理事の部屋は渡り廊下で繋がる別棟にあるのだ。
「あのっ、叔父が無理矢理す……すいません」
「いや、いい。こんな時期に転入して大変だろう。何かあったらクラス委員を頼るといい」
「………はい」
おっと、「あなたを頼ってはいけないんですか?」って顔しているが気づかないフリをして微笑むと頬を染め俯く。
こいつも周りと同じ輩か。期待、羨望、嫉妬。一番厄介なのが懸想だ。そういう奴は感情を行動に絡めてくるから困る。俺の唯一に害をなそうとするのが目に見えるからな。
校内より豪奢な理事棟から出て渡り廊下を歩いて中央棟に入る。放課後とはいえまだ早い時間帯なので生徒もまばらだがいる。
「西棟は教室がある棟で学年が上がると階が上になる。明日担任に連れて行かれるだろう。この中央棟は1階に職員室と校長室に保健室がある。保健室には保険医が数人いて突発的な発情期にも対応している。2階から上は各専門教科の教室だ。東棟の1~2階は吹き抜けの図書室になっていて蔵書が多数ある。3階は各委員会の部屋と生徒会室、4階は親衛隊の部屋になっている」
さすがに全てを案内するつもりがない俺は職員室の前で説明をつらつらと話していく。
「親衛隊……とは?」
「親衛隊とは学園で人気がある生徒の生活を守る為に結成されている集まりだ。今のところ親衛隊持ちの生徒は15名、申請中が3名いる」
「そんなにいるんですか⁉」
普通の学校から転入してきたなら驚くのも無理はない。
ここは名家が集まる特殊な環境だ。外部からの手は無くても内部で足の引っ張り合いが起きる場所だ。学園という名の社会の縮図でもある。だからこそ手足となり守ってくれる親衛隊がものをいうのだ。
それに親衛隊は最低10人集まりかつ風紀に認証されないと結成できない。確かに親衛隊持ちは15名いるが、最低人数しかいない親衛隊もいれば50名を超えるところもある。
「じゃあ会長さんも親衛隊持ちなんですか?」
「そうだ。親衛隊は各々の色のピン……俺はシルバーブルーだな、をしているから大体は分かるようになっている。それと風紀は親衛隊を持てない決まりになっている」
ちなみにマナは水色、宏太は紺だ。
「凄いですね!会長さんは人望があるんですね!」
頬を染めて熱っぽく見つめる転入生には返事をせず歩くのを促す。
親衛隊なんて中等部であったファンクラブの延長でもあるし、家の為に入っている者もいるという人望とはほど遠い事実は言う必要はない。どうせ後に知るだろうしな。
というかもう説明が面倒くさい!早く生徒会の作業を終わらせてマナとSkypeで話してエロいマナで抜きたい!
マナの事を思い出し自然と笑みを浮かべた俺を見て転入生が「会長格好いい……」と小さく呟いたのは耳までマナの声を再生していた俺には聞こえていなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
☆ミニ情報☆
理事長の名前は菅原瑞希、甥の祐希とは13才しか離れていない若き経営者です。
平凡な見た目をしていますが人心掌握が得意でかなり腹黒く、高校の時は人を使って特定の生徒を虐めていたかなりヤバい人です。
惟親はその事実を親から聞いているのでとても警戒しています。
今回キリがいいトコで終わらせたら少し短くなってしまいました( ´•ω•` )
マナと宏太がまた仕事で学園に来なくなってから3週間、その間にマナが樫木竜司から抑制剤を入手し宏太の母親の会社、麻路薬品で成分を分析していて結果待ちだ。
そして俺はまた理事長に呼び出され理事長室に来ている。
そこには机に座り胡散臭い笑顔を貼り付けた理事長と見たことがない生徒がいた。
「やあやあ帝くん、いつも悪いね」
「いえ」
7月に入って増々多忙になってきたのに呼び出しとはいい度胸だ。こんなとこ早く用事を済ませて帰りたい。理事長と話をするとSAN値が削られるんだよなぁ。
「今日来てもらったのはね、私の甥っ子の祐希が転入するから面倒を見てもらいたくてね。ほら祐希、挨拶」
「は…初めまして。菅原祐希です」
今度は理事長の甥か。ふてぶてしい奴の甥にしてはおどおどしている。似てるのはぼやっとしている平凡な顔くらいか?
この忙しい時にまた権力を使って転入生の面倒を見ろとはどれだけ迷惑かける気だ。
「生徒会長の帝だ」
まあ誰かに……といっても役員は皆んな忙しいからな。 親衛隊にでも面倒見させるか。
「帝くんが面倒見てあげてね」
くそっ、先手を打たれた!
「……分かりました。しかし今学園祭の準備で忙しいので2日だけでいいですか?」
「いやー、可愛い甥っ子だからさ、もっと面倒見てよ」
「2日」
「もっと」
「2日、それ以上は無理です」
「………分かった」
不満なようだが多忙だし今度の転入生は理事長の甥だ。どうせ思惑があるのだろうし関わり合いたくない。
「その代わり今から校内を案内してくるるかな」
「……分かりました。行こうか」
「は……はいっ!」
2人で理事長室を出て校内へ続く廊下を歩く。職員室や校長室は校内にあるが理事長を始め理事の部屋は渡り廊下で繋がる別棟にあるのだ。
「あのっ、叔父が無理矢理す……すいません」
「いや、いい。こんな時期に転入して大変だろう。何かあったらクラス委員を頼るといい」
「………はい」
おっと、「あなたを頼ってはいけないんですか?」って顔しているが気づかないフリをして微笑むと頬を染め俯く。
こいつも周りと同じ輩か。期待、羨望、嫉妬。一番厄介なのが懸想だ。そういう奴は感情を行動に絡めてくるから困る。俺の唯一に害をなそうとするのが目に見えるからな。
校内より豪奢な理事棟から出て渡り廊下を歩いて中央棟に入る。放課後とはいえまだ早い時間帯なので生徒もまばらだがいる。
「西棟は教室がある棟で学年が上がると階が上になる。明日担任に連れて行かれるだろう。この中央棟は1階に職員室と校長室に保健室がある。保健室には保険医が数人いて突発的な発情期にも対応している。2階から上は各専門教科の教室だ。東棟の1~2階は吹き抜けの図書室になっていて蔵書が多数ある。3階は各委員会の部屋と生徒会室、4階は親衛隊の部屋になっている」
さすがに全てを案内するつもりがない俺は職員室の前で説明をつらつらと話していく。
「親衛隊……とは?」
「親衛隊とは学園で人気がある生徒の生活を守る為に結成されている集まりだ。今のところ親衛隊持ちの生徒は15名、申請中が3名いる」
「そんなにいるんですか⁉」
普通の学校から転入してきたなら驚くのも無理はない。
ここは名家が集まる特殊な環境だ。外部からの手は無くても内部で足の引っ張り合いが起きる場所だ。学園という名の社会の縮図でもある。だからこそ手足となり守ってくれる親衛隊がものをいうのだ。
それに親衛隊は最低10人集まりかつ風紀に認証されないと結成できない。確かに親衛隊持ちは15名いるが、最低人数しかいない親衛隊もいれば50名を超えるところもある。
「じゃあ会長さんも親衛隊持ちなんですか?」
「そうだ。親衛隊は各々の色のピン……俺はシルバーブルーだな、をしているから大体は分かるようになっている。それと風紀は親衛隊を持てない決まりになっている」
ちなみにマナは水色、宏太は紺だ。
「凄いですね!会長さんは人望があるんですね!」
頬を染めて熱っぽく見つめる転入生には返事をせず歩くのを促す。
親衛隊なんて中等部であったファンクラブの延長でもあるし、家の為に入っている者もいるという人望とはほど遠い事実は言う必要はない。どうせ後に知るだろうしな。
というかもう説明が面倒くさい!早く生徒会の作業を終わらせてマナとSkypeで話してエロいマナで抜きたい!
マナの事を思い出し自然と笑みを浮かべた俺を見て転入生が「会長格好いい……」と小さく呟いたのは耳までマナの声を再生していた俺には聞こえていなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
☆ミニ情報☆
理事長の名前は菅原瑞希、甥の祐希とは13才しか離れていない若き経営者です。
平凡な見た目をしていますが人心掌握が得意でかなり腹黒く、高校の時は人を使って特定の生徒を虐めていたかなりヤバい人です。
惟親はその事実を親から聞いているのでとても警戒しています。
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