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生徒会編
「鼻がもげそう」「もげればいい」
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白畑と貴島がシェルターに籠もってから3日目、2人は登校してきていた。
通常Ωの発情期は5日~1週間だがどうやらΩになったばかりの白畑のヒートは1日で終わったらしい。
昨日は足腰が立たなくなった白畑を休ませ、午後から一緒に病院へ行き検査を受けたので休んだようだ。
「で、白畑がΩになった早々噛んだと」
「まあそういう事になるな」
「はえーよ!白畑はそれでいいのか⁉」
「いいんだよ、俺達『運命』だからな」
「貴島に聞いてねーよ!」
突っ込みを入れる井上を無視し、白畑を膝の上に乗せ抱き込んみ項に顔を寄せている貴島。白畑も嬉しそうだ。
病院で検査した結果、やはり白畑はΩに変異していてさらに1日のヒートできちんと番になっていると診断されたらしい。
「で、2人は『運命の番』だったと」
「そうだね。感覚としかいいようがないけど姫と王子なら分かるでしょ?」
確かにその感覚をオレは二度体験している。上手く説明出来ないけど。
「それにさ、元々Ω因子を持ってたから変異してもやっぱりねって感じなんだよ」
「そうなのか?」
貴島が驚きやっと項から離れる。
「中学前のバース性性査でαの結果が出た時に精密検査したら、αとΩ因子の比率が6:4でΩに変異する可能性があるって言われてたんだ。だからΩが継ぐのに家元候補になってたんだよ。ごめんね、Ωになるかも分からなかったし、期待させてがっかりさせたくなかったから陽平には言わなかったんだ」
肩を竦めて話す白畑を強く抱きしめる貴島。
「楓……」
「うんうん、僕しんみりした話してたんだけどどこに勃起させるトコあったの?」
「貴島ァァァ!!」
わー、話台無しだぁ。嬉しいのは分かるけどオレはお前の絶倫っぷりに白畑の腰が心配だよ。井上よ、もっと突っ込め!
α性が強いほど性欲が強いからなぁとちらりと宏太を見るとにっこり笑われた。今日もイケメンスマイル健在だな!
「陽平!」
わちゃわちゃとしているオレ達の所へ本日も変な匂いをさせて転入生が寄ってくる。というか突撃してきた。
「陽平!なんで俺のトコに来ないんだよ!お前は俺のモノだろ!」
昨日もそうだけど宏太や見た目が良いαは自分に靡いて当たり前の思考はどうなん?ハーレムでも作る気か?そんなことよりまさか番ったのに白畑を置いて転入生の方に行かないよな?
周りはドキドキ、白畑は膝の上で不安そうに貴島を見ている。
「………臭い」
「えっ?」
「俺今までこの匂いに釣られてたのか?鼻がもげそう」
「もげればいい」
「えっ、楓オコ⁉ごめんて、お詫びに楓のことグチョングチョンに気持ち良くするかるら!」
「それはいらない!」
貴島の言葉にホッとしたけど嫌なことを思い出したのか悪態をつく白畑に縋るが、下品すぎる物言いで怒られている。オレの横では宏太が鼻がもげるにめっちゃ頷いているがΩだからだろうか、転入生の匂いはそこまでオレは不快ではない。
「何だよ急に臭いって!」
地団駄を踏み騒ぐ転入生を見てふと、ある仮説を思いつく。でもここで言うのは危険なので後でこっそりチカと宏太に話そう。
「俺は臭くな……ってデカっ!!」
「はーい、そこまで」
パンパンと手を鳴らしぬぼっと現れたのは我らがキョンちゃん先輩。腕には風紀の腕章をしている。
「わーい、キョンちゃん先輩~」
「おーう」
頭をぐりぐり掻き回す手は優しい。オレの親衛隊長だけど腕っぷしの強さを買われ一時的に風紀の助っ人をしている。今転入生がフェロモンをまき散らしている為、αである風紀委員長の吉永さんやαの風紀委員は表立って活動出来なくなり、βで腕っぷしがあるキョンちゃん先輩に声がかかったらしい。すまなさそうに報告されたけどオレや宏太が3か月ほどいないし助けになるならと快く送り出した。
いやー、もうアレフェロモンテロに認定しちゃっていいんじゃないの?
でも抑制剤飲んで出てるなら仕方ないって理事側から言われちゃったみたい。全然仕方なくないけどな!
「はーい、いくぞー」
「うわっ、やめろー!!」
あれよという間に暴れる転入生をキョンちゃん先輩と風紀数人で担いで行ってしまった。秋田鈴音の時もそうだったけど神輿を担ぐように持って行くのは風紀の正式な運び方なのかなぁ?
首を捻って見送っていたら宏太がどこからともなく取り出したフェロモン用の消臭スプレーをシュッシュッしてた。他のαのクラスメイトもやってるくらいだからもうフェロモンテロに認定しちゃえばいいのに。
「風紀っていつも来るの?」
「うおっ、王子俺にスプレーかけんな!風紀が来るのは誰かが連絡して間に合えばかな?間に合っても間に入れない時はオロオロしてるけどな」
「そっかー、大変だな。夏休み明けがちょっと心配だなぁ」
「姫と王子は明日からまた休みなんだっけ?王道くんはドラマみたいに学園祭イベントを狙ってるだろうからまだまだ続くんじゃね?」
「学園祭イベント?」
「あれ?王道ドラマや漫画見てない?転入生が生徒会の連中や周りの生徒でハーレム作りながら学園祭の女装コンテストに出てそこで正体をバラすんだよ。て、ハーレムの中から運命の人を選ぶんだ」
つらつらと井上が王道学園のストーリーを話していく。それだけで何で井上はドヤった顔してるんだ?
「でもさ、立花すでに素顔晒してるけど?」
「あえ?」
「それに生徒会のメンバー2人しか落としてないけど」
「えぇぇ……」
「そういう時どうなんの?」
「むむむ……」
ホントどうするんだろ転入生。
通常Ωの発情期は5日~1週間だがどうやらΩになったばかりの白畑のヒートは1日で終わったらしい。
昨日は足腰が立たなくなった白畑を休ませ、午後から一緒に病院へ行き検査を受けたので休んだようだ。
「で、白畑がΩになった早々噛んだと」
「まあそういう事になるな」
「はえーよ!白畑はそれでいいのか⁉」
「いいんだよ、俺達『運命』だからな」
「貴島に聞いてねーよ!」
突っ込みを入れる井上を無視し、白畑を膝の上に乗せ抱き込んみ項に顔を寄せている貴島。白畑も嬉しそうだ。
病院で検査した結果、やはり白畑はΩに変異していてさらに1日のヒートできちんと番になっていると診断されたらしい。
「で、2人は『運命の番』だったと」
「そうだね。感覚としかいいようがないけど姫と王子なら分かるでしょ?」
確かにその感覚をオレは二度体験している。上手く説明出来ないけど。
「それにさ、元々Ω因子を持ってたから変異してもやっぱりねって感じなんだよ」
「そうなのか?」
貴島が驚きやっと項から離れる。
「中学前のバース性性査でαの結果が出た時に精密検査したら、αとΩ因子の比率が6:4でΩに変異する可能性があるって言われてたんだ。だからΩが継ぐのに家元候補になってたんだよ。ごめんね、Ωになるかも分からなかったし、期待させてがっかりさせたくなかったから陽平には言わなかったんだ」
肩を竦めて話す白畑を強く抱きしめる貴島。
「楓……」
「うんうん、僕しんみりした話してたんだけどどこに勃起させるトコあったの?」
「貴島ァァァ!!」
わー、話台無しだぁ。嬉しいのは分かるけどオレはお前の絶倫っぷりに白畑の腰が心配だよ。井上よ、もっと突っ込め!
α性が強いほど性欲が強いからなぁとちらりと宏太を見るとにっこり笑われた。今日もイケメンスマイル健在だな!
「陽平!」
わちゃわちゃとしているオレ達の所へ本日も変な匂いをさせて転入生が寄ってくる。というか突撃してきた。
「陽平!なんで俺のトコに来ないんだよ!お前は俺のモノだろ!」
昨日もそうだけど宏太や見た目が良いαは自分に靡いて当たり前の思考はどうなん?ハーレムでも作る気か?そんなことよりまさか番ったのに白畑を置いて転入生の方に行かないよな?
周りはドキドキ、白畑は膝の上で不安そうに貴島を見ている。
「………臭い」
「えっ?」
「俺今までこの匂いに釣られてたのか?鼻がもげそう」
「もげればいい」
「えっ、楓オコ⁉ごめんて、お詫びに楓のことグチョングチョンに気持ち良くするかるら!」
「それはいらない!」
貴島の言葉にホッとしたけど嫌なことを思い出したのか悪態をつく白畑に縋るが、下品すぎる物言いで怒られている。オレの横では宏太が鼻がもげるにめっちゃ頷いているがΩだからだろうか、転入生の匂いはそこまでオレは不快ではない。
「何だよ急に臭いって!」
地団駄を踏み騒ぐ転入生を見てふと、ある仮説を思いつく。でもここで言うのは危険なので後でこっそりチカと宏太に話そう。
「俺は臭くな……ってデカっ!!」
「はーい、そこまで」
パンパンと手を鳴らしぬぼっと現れたのは我らがキョンちゃん先輩。腕には風紀の腕章をしている。
「わーい、キョンちゃん先輩~」
「おーう」
頭をぐりぐり掻き回す手は優しい。オレの親衛隊長だけど腕っぷしの強さを買われ一時的に風紀の助っ人をしている。今転入生がフェロモンをまき散らしている為、αである風紀委員長の吉永さんやαの風紀委員は表立って活動出来なくなり、βで腕っぷしがあるキョンちゃん先輩に声がかかったらしい。すまなさそうに報告されたけどオレや宏太が3か月ほどいないし助けになるならと快く送り出した。
いやー、もうアレフェロモンテロに認定しちゃっていいんじゃないの?
でも抑制剤飲んで出てるなら仕方ないって理事側から言われちゃったみたい。全然仕方なくないけどな!
「はーい、いくぞー」
「うわっ、やめろー!!」
あれよという間に暴れる転入生をキョンちゃん先輩と風紀数人で担いで行ってしまった。秋田鈴音の時もそうだったけど神輿を担ぐように持って行くのは風紀の正式な運び方なのかなぁ?
首を捻って見送っていたら宏太がどこからともなく取り出したフェロモン用の消臭スプレーをシュッシュッしてた。他のαのクラスメイトもやってるくらいだからもうフェロモンテロに認定しちゃえばいいのに。
「風紀っていつも来るの?」
「うおっ、王子俺にスプレーかけんな!風紀が来るのは誰かが連絡して間に合えばかな?間に合っても間に入れない時はオロオロしてるけどな」
「そっかー、大変だな。夏休み明けがちょっと心配だなぁ」
「姫と王子は明日からまた休みなんだっけ?王道くんはドラマみたいに学園祭イベントを狙ってるだろうからまだまだ続くんじゃね?」
「学園祭イベント?」
「あれ?王道ドラマや漫画見てない?転入生が生徒会の連中や周りの生徒でハーレム作りながら学園祭の女装コンテストに出てそこで正体をバラすんだよ。て、ハーレムの中から運命の人を選ぶんだ」
つらつらと井上が王道学園のストーリーを話していく。それだけで何で井上はドヤった顔してるんだ?
「でもさ、立花すでに素顔晒してるけど?」
「あえ?」
「それに生徒会のメンバー2人しか落としてないけど」
「えぇぇ……」
「そういう時どうなんの?」
「むむむ……」
ホントどうするんだろ転入生。
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