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うっかり渡っちゃった編
国王と王妃、玉藻の可愛さに悶絶する
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玉藻の手を引きながら庭園に戻ったジークフリートは王と王妃の下へ行く。
近づく前に2人を守る近衛騎士に止められそうになる。
それはそうだ、ジークフリートが手を引いている子供は獣の耳と尻尾を持っている得体の知れない子供なのだ。
ただあまりにも小さく、何かを出来そうにないので王は近づくのを許す。
「ジークフリートその者はどうしたのだ?」
間近で見るとやはり耳と尻尾が体から生えており、怯えているのかへたりと下がっている。
「はい!少し離れた茂みで泣いておりました!」
ここに来るまでに止まった涙が、知らない大人に見られて怖いのか金色の大きな瞳にまた溢れ今にも溢れ落ちそうになっている。
きゅーん♡
自分達の子供は人離れした造形美だと思っていたが、ジークフリートが連れて来た子は、これまた庇護欲全開の可愛さで王と王妃のハートを撃ち抜く。
「ぐふっ・・・・・・」
「あらあらまあまあ♡」
ぷるぷる震える耳もまた可愛さを引き立てるだけでこの子がどこの誰でもいいかな、とつい思ってしまうがここは王宮、誰彼構わず身元不明の者が入れる場所ではないをと気を持ち直す。それはそれは緩んだ顔で。
「名前は何と言うのだ?」
「タマモと言います!」
本人に聞いたのに何故ジークフリートが返答したのか。
「どこから来たのかな?」
「あっちの茂みにいました!」
「うん、ジークは少し口を閉じてようか」
王子教育が始まっているとはいえまだ4歳、口を尖らせむうっとなるジークフリートに苦笑いしながら再度玉藻に尋ねる。
「タマモ、どこから来たのか分かるかな?」
先に話してしまうジークフリートにびっくりしたのか涙も止まり、小さな口をパクパクさせていた玉藻は王の問いに
「しんでん?わたりのま?」
「ぐはっ、なんだこの子一々可愛いんだが」
うーんうーんと考え首をこてりとしながら話す玉藻に胸を押さえ耐える王。可愛いさも度が過ぎると暴力になると知った御年28歳である。
悶えながらも玉藻の言葉に違和感を感じる。この国には国の名前にもなった女神アマンベールの神殿があるが、その建物の中に『渡りの間』という部屋が無いのだ。
という事はこの国の神殿ではないのかもしれない。それか間違って覚えているか・・・・・・
こんなに幼いのだ、それもありうるかもしれないと思い直したが、次の玉藻の言葉で王と王妃は事の重大さに気づく。可愛さばかりに目がいっていたがこの子はヤバい子なのではないかと。
「タマモは神殿の子なの?」
「ちがうよ。おにいたまとしんでんにまほうじんをみにいったの」
「魔法陣?」
「うん、ほかのせかいにいけるんだよ」
「へえ、凄いね」
「・・・・・・ちょっと2人共ストップ。タマモ、少し聞いてもいいかな?」
ほのぼのと話しているジークとタマモを止めると、きょとんとした2人に見つめられる。
「ぐっ・・・・・・破壊力が2倍になるとは・・・・・・頑張れ私・・・・・・コホン、タマモはさっき神殿から来たって話していたな?どこの神殿かな?」
「んーと、しんいき」
「シンイキ?シンイキとは何かな?」
「あのね、かみさまがいるとこ」
「神・・・・・・そうか・・・・・・ここでは何だから王宮の中へ入って話そうか。王妃よ、2人を連れ先に部屋へ行っててくれないか。私は図書室に寄ってから向かう」
「分かりました」
そう言って王は護衛を連れ図書室へ向かう。そこに厳重に保管されている1冊の本を取りに。
もし考えが正しければタマモを保護しなければいけない。断じてめっちゃ可愛いからとかうちの子の嫁にとか思った訳ではないと言い訳をしながら。
近づく前に2人を守る近衛騎士に止められそうになる。
それはそうだ、ジークフリートが手を引いている子供は獣の耳と尻尾を持っている得体の知れない子供なのだ。
ただあまりにも小さく、何かを出来そうにないので王は近づくのを許す。
「ジークフリートその者はどうしたのだ?」
間近で見るとやはり耳と尻尾が体から生えており、怯えているのかへたりと下がっている。
「はい!少し離れた茂みで泣いておりました!」
ここに来るまでに止まった涙が、知らない大人に見られて怖いのか金色の大きな瞳にまた溢れ今にも溢れ落ちそうになっている。
きゅーん♡
自分達の子供は人離れした造形美だと思っていたが、ジークフリートが連れて来た子は、これまた庇護欲全開の可愛さで王と王妃のハートを撃ち抜く。
「ぐふっ・・・・・・」
「あらあらまあまあ♡」
ぷるぷる震える耳もまた可愛さを引き立てるだけでこの子がどこの誰でもいいかな、とつい思ってしまうがここは王宮、誰彼構わず身元不明の者が入れる場所ではないをと気を持ち直す。それはそれは緩んだ顔で。
「名前は何と言うのだ?」
「タマモと言います!」
本人に聞いたのに何故ジークフリートが返答したのか。
「どこから来たのかな?」
「あっちの茂みにいました!」
「うん、ジークは少し口を閉じてようか」
王子教育が始まっているとはいえまだ4歳、口を尖らせむうっとなるジークフリートに苦笑いしながら再度玉藻に尋ねる。
「タマモ、どこから来たのか分かるかな?」
先に話してしまうジークフリートにびっくりしたのか涙も止まり、小さな口をパクパクさせていた玉藻は王の問いに
「しんでん?わたりのま?」
「ぐはっ、なんだこの子一々可愛いんだが」
うーんうーんと考え首をこてりとしながら話す玉藻に胸を押さえ耐える王。可愛いさも度が過ぎると暴力になると知った御年28歳である。
悶えながらも玉藻の言葉に違和感を感じる。この国には国の名前にもなった女神アマンベールの神殿があるが、その建物の中に『渡りの間』という部屋が無いのだ。
という事はこの国の神殿ではないのかもしれない。それか間違って覚えているか・・・・・・
こんなに幼いのだ、それもありうるかもしれないと思い直したが、次の玉藻の言葉で王と王妃は事の重大さに気づく。可愛さばかりに目がいっていたがこの子はヤバい子なのではないかと。
「タマモは神殿の子なの?」
「ちがうよ。おにいたまとしんでんにまほうじんをみにいったの」
「魔法陣?」
「うん、ほかのせかいにいけるんだよ」
「へえ、凄いね」
「・・・・・・ちょっと2人共ストップ。タマモ、少し聞いてもいいかな?」
ほのぼのと話しているジークとタマモを止めると、きょとんとした2人に見つめられる。
「ぐっ・・・・・・破壊力が2倍になるとは・・・・・・頑張れ私・・・・・・コホン、タマモはさっき神殿から来たって話していたな?どこの神殿かな?」
「んーと、しんいき」
「シンイキ?シンイキとは何かな?」
「あのね、かみさまがいるとこ」
「神・・・・・・そうか・・・・・・ここでは何だから王宮の中へ入って話そうか。王妃よ、2人を連れ先に部屋へ行っててくれないか。私は図書室に寄ってから向かう」
「分かりました」
そう言って王は護衛を連れ図書室へ向かう。そこに厳重に保管されている1冊の本を取りに。
もし考えが正しければタマモを保護しなければいけない。断じてめっちゃ可愛いからとかうちの子の嫁にとか思った訳ではないと言い訳をしながら。
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