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ifの世界

もしオメガバースの世界だったら(智也×志摩) ※R18

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※智也視点

バッドエンドです。


∞∞∞∞∞∞∞∞



 パチュ、パチュ、パチュ

「あっ、あっ、あっ」

 グチュグチュグチュ……

「あっ、イイっ、ともやぁ……」

 グリュン、ズボッ、、、

「それイイっ!イクっ、ああっっっ!!」

「クッ!」

 四つん這いになっている志摩の細い腰を押さえ、最奥で欲を吐き出すと絶頂を迎えた内襞が搾り取るように収縮する。中を満たした欲を塗りつけるように小刻みに動かすと、背中と腰が跳ねる。

「あんっ……やぁ……もっとせーしちょうだい」

 頬を染めをとろんとした瞳で振り返り、フェロモンを出して誘う志摩に欲を出して落ち着いたペニスが硬さを取り戻す。
 要望通り激しく腰を柔らかな双丘に打ち付ければ嬌声を上げ自ら腰を振ってくる。

 初めて自然に発情期ヒートが来た時に慰めてから智也は相手を務めている。志摩は初めての時よりも素直に乱れるようになり、智也もイイ所を熟知しより良く喘がせられるようになった。



 ―――――――ただそれだけなのだ。



 ただそれだけ。
 志摩はΩだが智也はβだ。ヒートのフェロモンに充てられ長時間硬さを保ちセックスをしようが所詮β、αのようにΩ志摩を満足させられないのだ。

 自分達の親や志摩の兄はαだが相手は出来ない。かと言って他のαに志摩を抱かせるなど幼い頃から志摩を好きだった智也としては耐えられない。想いが届かなくても志摩を抱いて想いを中に吐き出せれば気持ちが落ち着くと思っていた。

 実際は想いが大きくなるだけだった。

 何故自分はαではないのだろう。小さい頃から体は大きい方で顔だって良い。運動も勉強も出来た。両親はαの父とΩの母で自分はαだと思っていた。しかし中学に上がる前のバース性検査でβと判定され将来志摩と番うという夢が打ち砕かれてしまった。

 ただ志摩がαに興味が無いのは救いだった。というよりあまりにも容姿が良い志摩に群がる周りに辟易し、智也以外の親しい人を作らなかっただけだが。
 どんな理由でもいい、一番近くにいれるなら。そして今志摩の一番は智也なのだ。

 だが智也が恐れているものがある。それは『運命の番』だ。
 αとΩの間にあるそれはひと目見ただけで本能で分かるらしい。βには無い結びつき。その運命に志摩が出会ってしまったら今の関係はただの「従兄弟」という関係になってしまう。幸せを願うのであれば出会った時に良かったなと言えばいい。

 だが良かったと言えるのか俺は。

 ―――――否

 自分以外を見る志摩に耐えられるのか?

 ―――――無理だ

 家族愛以上の感情を持っていない志摩に見せられない気持ち。そのうち絆されて共に歩く道が待っているかもしれない。
 そう、『運命の番』に遭遇する確率は極めて低い。
 だったら学生の時は離れずにいて就職したら囲ってしまえばいい。自分だけの志摩になる。

 ああ、その時が待ち遠しい。







 なのに何故。

 なんでなんだ。

「智也いた………俺の運命!」

 ドクンと強く心臓が跳ねる。

 全寮制の高校に進学し、入学式をしている最中志摩が制服の袖を引っ張りながらこっそりと告げる。その瞳は壇上を見つめ逸らさない。壇上で話している生徒も話すのを止めじっと見つめている。

 ―――――ヤメロ、志摩を見るな

「静かに。そこを動くな」

 騒つく生徒を黙らせ壇上を降りゆったりと歩いてくる。

 ―――――来るな、来ないでくれ!

 志摩を隠すように立ちふさがる。心臓が早鐘を打つように耳元で鳴って背筋には嫌な汗が流れる。

「貴様どけ」

 鋭く睨みつけられ肌がピリつく。威嚇フェロモンを出しているのだろう。かなり上位のαなのか広範囲で生徒が青ざめ息苦しそうだ。

「智也どいて」

「志摩……」

 渋々よけると互いに見つめ合う。威嚇フェロモンが無くなったのか周りがホッとしている。

「名前は?」

「志摩」

「……志摩……俺の運命……」

「俺のα……」

 周囲が息を飲むのが分かる。周りが霞むほどの美貌を持つ2人が互いを運命と認めたのだ。

 ―――――志摩が運命に出会ってしまった

 白くなるほどこぶしを握りしめる。

 ―――――悔しい

 この学校を選んでしまった事なのか志摩が運命に出会った事なのかはたまた自分がβだという事を、どれを悔しく思っているのか。いや、全てなのだろう。全てが悔しい。

 運命を見つめる志摩からぶわっと花の香りが強く香ってくる。

(これはヒート……)

 気付いたαの生徒が志摩を抱き上げ早歩きで講堂を後にする。急な発情期ヒートの為の緊急シェルターに行くのだろう。

「シマ………」

 ヒートが収まる1週間後、志摩は運命のものになっているのだろう。

 それからの記憶はすっぽりと抜けている。気付いたら既に夕方で教室で渡されたらしい封筒を握り締め寮の自室に戻っていた。それを緩慢な動きで開け確認する。

「……ははっ、遅えよ」

 用紙をぐしゃりと握り潰し自嘲する。それは入学前に行われたバース性確定検査の結果。

 検査結果   "α"

「……3ヶ月早かったら噛んで番にしたのになぁ……」

 今さらαと言われても喜びは無い。

 焦がれるΩは運命に攫われてしまったのだから。
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