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番外編 とある近衛の夜の警護
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俺は王宮に勤める近衛兵の1人。
貧乏伯爵家の嫡男のスペアにもなれない三男に生まれた俺は、身を立てるべく騎士を目指した。
幸運なことに剣の才能があったようで、騎士学校も優秀な成績で卒業、2年後には近衛兵に抜擢された。
近衛は王族を直接守り王宮を警備する。騎士の中でも近衛となれる者は貴族に限られている。理由は自国の王族だけではなく、他国の王族や貴賓に失礼がないように礼儀やマナーを身につけていないといけないからだ。
さて近衛になって半年、今夜初めて国王様の寝所の護衛にあたる事になった。
護衛と言っても扉の前で夜通し立ち警備するだけだ。
直接王族の護衛するのは経験豊富なエリート騎士のみで、他は王宮内の安全の為に巡回や部屋の警備にあたっている。もちろんペーペーの俺はその他の人間だ。それなのに半年で国王様の寝所の警備を任されるという事は俺期待されてる?
ちょっと・・・・・・いやかなりドキドキしている。
先輩騎士と2人で寝所の扉の前に立つこと1時間、遠くからぞろぞろと護衛と侍女を引き連れた王妃様が見え、国王様の寝所の手前にある王妃様の寝所へ入られる。もちろん王妃様の寝所の扉の前にも護衛が立っている。
王妃様の護衛はそのまま廊下を引き返して行き、30分経つ頃に国王様が護衛と侍従を連れ、こちらへ来ると思いきや王妃様の寝所へ入って行かれた。
お二人は夫婦だし別に変な事はないが、てっきり自分の寝所から夫婦の寝室に行くものだと思っていたので少し驚いた。いや、もしかしたら王妃様の部屋でお茶でもするのかもしれない。
なるほどと心の中で頷いていたらすぐ扉が開き国王様と王妃様が出て来られ、そのまま俺と先輩が立っている方へと、正確には国王様の寝室の扉へ歩を進め王妃様が目線で開けろと指示を出されたので2人で両扉を開く。
「ご苦労」
この遅い時間でも凛とした佇まいの王妃様は先ほどとは違い髪をおろし、緩くウェーブがかかった金髪を靡かせ寝所へと入られる。それに続いて国王様も中へと入られたのを確認し扉を閉める。
いやー、お二人共成年を迎えられたお子様がいらっしゃるとは思えないほどの麗しさ。つい間近で見惚れてしまった。
・・・・・・でも王妃様何故乗馬スタイル?
しかも片手に乗馬用の鞭。
あれ?国王様いつも首輪してたっけ?頬と耳赤らんでた気がする。
うそーーーーーん!?
えっ?えっ?まさかアッチ?ソッチ?王妃様は夜は女王様⁉うそ、似合い過ぎる!あの凛としたお姿で振るう鞭、見下す眼差し、ヤベェ俺新しい扉を開きそう。
「おい」
「は、はいっ!」
妄想に耽っていたら先輩に声をかけられ慌てて返事をする。
「お前ここは今日初めてだったな」
ビシッ
「そうです」
『はうっ』
「分かっていると思うが俺達は部屋の前で護衛が仕事だ。不審者や不測の事態に備えていないといけない。決して部屋の中の物音に意識を持って行くな。そして物音に関して他言無用だ」
ビシッビシッ
『ああっ』
「了解です」
『我慢せい!』
『無理です女王様!お慈悲を・・・・・・お慈悲を下さい!』
『待てができないとは情けない』
『はぁぁぁ!!』
「・・・・・・先輩、どれくらいで慣れましたか?」
『待てと言っただろうが!』
ビシッ!!
『はぅん!』
「・・・・・・1年かな」
『もっと!』
「・・・・・・すみません、トイレ行って来てもいいですか?」
『もっと強くお願いします!』
「・・・・・・早く戻って来いよ」
『・・・・・・ぅ゙!』
「うっす」
達観した目を向けられながら腰を引きトイレに向かう。
寝所の護衛は色んなものが鍛えられそうだ。
貧乏伯爵家の嫡男のスペアにもなれない三男に生まれた俺は、身を立てるべく騎士を目指した。
幸運なことに剣の才能があったようで、騎士学校も優秀な成績で卒業、2年後には近衛兵に抜擢された。
近衛は王族を直接守り王宮を警備する。騎士の中でも近衛となれる者は貴族に限られている。理由は自国の王族だけではなく、他国の王族や貴賓に失礼がないように礼儀やマナーを身につけていないといけないからだ。
さて近衛になって半年、今夜初めて国王様の寝所の護衛にあたる事になった。
護衛と言っても扉の前で夜通し立ち警備するだけだ。
直接王族の護衛するのは経験豊富なエリート騎士のみで、他は王宮内の安全の為に巡回や部屋の警備にあたっている。もちろんペーペーの俺はその他の人間だ。それなのに半年で国王様の寝所の警備を任されるという事は俺期待されてる?
ちょっと・・・・・・いやかなりドキドキしている。
先輩騎士と2人で寝所の扉の前に立つこと1時間、遠くからぞろぞろと護衛と侍女を引き連れた王妃様が見え、国王様の寝所の手前にある王妃様の寝所へ入られる。もちろん王妃様の寝所の扉の前にも護衛が立っている。
王妃様の護衛はそのまま廊下を引き返して行き、30分経つ頃に国王様が護衛と侍従を連れ、こちらへ来ると思いきや王妃様の寝所へ入って行かれた。
お二人は夫婦だし別に変な事はないが、てっきり自分の寝所から夫婦の寝室に行くものだと思っていたので少し驚いた。いや、もしかしたら王妃様の部屋でお茶でもするのかもしれない。
なるほどと心の中で頷いていたらすぐ扉が開き国王様と王妃様が出て来られ、そのまま俺と先輩が立っている方へと、正確には国王様の寝室の扉へ歩を進め王妃様が目線で開けろと指示を出されたので2人で両扉を開く。
「ご苦労」
この遅い時間でも凛とした佇まいの王妃様は先ほどとは違い髪をおろし、緩くウェーブがかかった金髪を靡かせ寝所へと入られる。それに続いて国王様も中へと入られたのを確認し扉を閉める。
いやー、お二人共成年を迎えられたお子様がいらっしゃるとは思えないほどの麗しさ。つい間近で見惚れてしまった。
・・・・・・でも王妃様何故乗馬スタイル?
しかも片手に乗馬用の鞭。
あれ?国王様いつも首輪してたっけ?頬と耳赤らんでた気がする。
うそーーーーーん!?
えっ?えっ?まさかアッチ?ソッチ?王妃様は夜は女王様⁉うそ、似合い過ぎる!あの凛としたお姿で振るう鞭、見下す眼差し、ヤベェ俺新しい扉を開きそう。
「おい」
「は、はいっ!」
妄想に耽っていたら先輩に声をかけられ慌てて返事をする。
「お前ここは今日初めてだったな」
ビシッ
「そうです」
『はうっ』
「分かっていると思うが俺達は部屋の前で護衛が仕事だ。不審者や不測の事態に備えていないといけない。決して部屋の中の物音に意識を持って行くな。そして物音に関して他言無用だ」
ビシッビシッ
『ああっ』
「了解です」
『我慢せい!』
『無理です女王様!お慈悲を・・・・・・お慈悲を下さい!』
『待てができないとは情けない』
『はぁぁぁ!!』
「・・・・・・先輩、どれくらいで慣れましたか?」
『待てと言っただろうが!』
ビシッ!!
『はぅん!』
「・・・・・・1年かな」
『もっと!』
「・・・・・・すみません、トイレ行って来てもいいですか?」
『もっと強くお願いします!』
「・・・・・・早く戻って来いよ」
『・・・・・・ぅ゙!』
「うっす」
達観した目を向けられながら腰を引きトイレに向かう。
寝所の護衛は色んなものが鍛えられそうだ。
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