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追憶

追憶23

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その1 思いっきり頭をぶつけ合う
その2 階段から転がり落ちる
その3 カミナリに打たれる

莉奈ちゃんの発表を聞いてみんなが絶句した。
「莉奈ちゃん… それって」
「はい!漫画とドラマで調べました!」
「そっか、調べてくれてありがとう… ちょっと刺激が強いかも…」
「あ、雷に打たれるってのは冗談ですよ。神社でタケルさん見つける前に雷が鳴ってたって夕夏さんから前に聞いたことあったから、なんかヒントになるかなーと思って」
「なるほど、確かに何か関係あるかもね」
珍しく遥人君が絶句している。かと思ったらこちらは見当違いの反応だった。
「莉奈……すげぇ、すげーよ!そんな調べかたがあるなんて思いつかなかったぜ!やっぱり天才だな!」
「でしょでしょ!まぁでも1と2はさすがに危険かなーと思って、雷が鳴りそうな日に一緒に神社へ行くとかどうかなって」
「おぉ!それいーじゃん!俺、天気予報調べる」
1と2が候補から消えて安堵しているとタケルが声を出して笑った。
「タケルさんなんで笑ってるんですか?」
莉奈ちゃんは可笑しな空気に気付いていない。タケルは穏やかに言った。
「いや、相変わらず元気だなと思って」
「当ったり前じゃないですか!絶対元に戻ってもらって、ハッピーエンドにしてみせます!」
「色々考えてくれてありがとう」
「もちろんです!私達にできることがあったら何でもしますよ。ね?遥人」
「おぅよ!あ、てか今日せっかく来たんだし改装の手伝い何かしますよ!時間はあるんで」
「本当に?」
「はい!」
「恭也は何時に病院戻る予定?」
「17時までに戻れたらいい。ちょっとノートの件で君と打ち合わせもしたい」
「じゃあちょうどいいっすね!俺、力仕事しますよ」
「えー!あたしも何か手伝いたいです」
「ありがとう。食べ終わったら少し恭也と話し合ってそれからお願いしようと思うんだけど、恭也、それでいいかな?」
「ああ」
恭也さんはここへ来るまで固い表情をしていた。でも、今は随分ほぐれたように見える。莉奈ちゃんと遥人君の純真さがそうしたのだと思った。
「そういえば今回入れ替わったとき、意識を失う前に俺も雷の音を聞いた。入れ替わる度に鳴ってる訳じゃないけど本当に雷が関係しているのかもしれない」
恭也さんが言うと莉奈ちゃんが反応した。
「え!!すごい。その時どこにいたんですか?」
「…」
恭也さんは何故か言うのを躊躇っている。するとタケルが口を開いた。
「僕が目覚めたときは道に座り込んでた。恭也、具合でも悪かったんじゃないの?」
「…そうだったかもしれない」
「えー、じゃあ体調が関係あるのかな」
「そういやタケルさんもよく頭痛してたっすよね?」
「そうだね、以前頻繁に入れ替わってたときは頭痛がひどかった」
「うーん、どれが原因なんだろ~」
真剣に考えている莉奈ちゃんの様子を見ながら、さっき恭也さんが答えを躊躇っていた理由が気になった。

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