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出会い
出会い②
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「ねえ、やっぱり先に家具見に行こうよ」
「え、うん」
ベビー用品店を出た私達はひとつ下の階にあるインテリアショップへ移動した。この店もまた落ち着いた雰囲気で、ウッドを貴重とした北欧デザインの家具が素敵だ。
「このソファーの色良い」
「お、いいじゃん」
「あのテレビ台と揃えてさ、ラグはマスタードイエローとかかっこよくない?」
「すげーいいな。せっかくだし部屋のライトも凝ったやつにしたいな」
「いいね。鍵もらうのいつだっけ?」
「28日」
「あと10日かあ。荷づくり進んでる?」
「全然。まあ、ほとんど実家に置いてくけどな」
「そうなんだ。それにしても隆平が1人暮らしするなんてねー」
「どういう意味だよ」
「家事とかできるのかなーって思って」
「そんなの適当にどうにかなるっしょ」
「結構大変だよ?」
気になる店をいくつか見てまわり、レストランフロアへ向かった。
「え、うそ」
予想していたよりも混雑していた。どの店も並んでいてビュッフェの店は一番長い列が出来ている。
「もっと早く来たらよかった。並んでたら映画間に合わない」
「しゃーない、映画館の食べ物でとりあえず空きっ腹埋めるか」
「そうしよう」
ーーーーー出張で長野に行くからお前の家寄っていいか?
そう言って隆平は遊びに来た。夜にはホテルに帰ると言いながらテレビゲームで盛り上がり結局泊まることになった。今日の映画はもともと一人で見る予定だったけど泊まりついでに2人で出掛けることになった。それと、ちょうど花絵への出産祝いを何にするか悩んでいたから隆平と選ぶことにした。ショッピングモールの別館にある映画館。席は後ろの方になってしまったけど龍平は首が痛くならないからいいと言った。大きなポップコーンにホットドッグ、チキンとコーラを抱えるのを見て今朝はベーコンエッグを追加しておいて良かったと思った。
ランチを後回しにした分、時間に余裕ができた。座席についてまだ明るいシアタールームでゆっくり食べられる。
「この映画の原作読んだ?」
「ううん。隆平は読んだの?」
「読んだ。結構展開が予想外でさ…」
「あーそれ以上言わないで!」
「ははっ。冗談だって」
隆平はホットドックにかぶりつきコーラで流すとポップコーンをつまみ始めた。
「なあ、俺泊まって大丈夫だったのか?」
「何が?」
「だから、お前彼氏いるんじゃねえの?」
全く覚えのないことを聞いてくる。隆平は気をつかっているのか何も映っていないスクリーンをまっすぐに見ている。
「いないよ。なんでそう思ったの?」
「昨日寝る用のTシャツとズボン貸してくれたから。あれ、男物だろ」
「あれは…友達のだよ」
隆平はこっちを見た。彼氏じゃない男の服が家にあるほうが変なのかもしれないと思った。なんとなく気まずくてメロンソーダを飲んだ。タイミングよく上映開始のブザーが鳴って部屋が暗くなった。隆平はスクリーンに目を移しホットドッグの残りをほおばった。
「え、うん」
ベビー用品店を出た私達はひとつ下の階にあるインテリアショップへ移動した。この店もまた落ち着いた雰囲気で、ウッドを貴重とした北欧デザインの家具が素敵だ。
「このソファーの色良い」
「お、いいじゃん」
「あのテレビ台と揃えてさ、ラグはマスタードイエローとかかっこよくない?」
「すげーいいな。せっかくだし部屋のライトも凝ったやつにしたいな」
「いいね。鍵もらうのいつだっけ?」
「28日」
「あと10日かあ。荷づくり進んでる?」
「全然。まあ、ほとんど実家に置いてくけどな」
「そうなんだ。それにしても隆平が1人暮らしするなんてねー」
「どういう意味だよ」
「家事とかできるのかなーって思って」
「そんなの適当にどうにかなるっしょ」
「結構大変だよ?」
気になる店をいくつか見てまわり、レストランフロアへ向かった。
「え、うそ」
予想していたよりも混雑していた。どの店も並んでいてビュッフェの店は一番長い列が出来ている。
「もっと早く来たらよかった。並んでたら映画間に合わない」
「しゃーない、映画館の食べ物でとりあえず空きっ腹埋めるか」
「そうしよう」
ーーーーー出張で長野に行くからお前の家寄っていいか?
そう言って隆平は遊びに来た。夜にはホテルに帰ると言いながらテレビゲームで盛り上がり結局泊まることになった。今日の映画はもともと一人で見る予定だったけど泊まりついでに2人で出掛けることになった。それと、ちょうど花絵への出産祝いを何にするか悩んでいたから隆平と選ぶことにした。ショッピングモールの別館にある映画館。席は後ろの方になってしまったけど龍平は首が痛くならないからいいと言った。大きなポップコーンにホットドッグ、チキンとコーラを抱えるのを見て今朝はベーコンエッグを追加しておいて良かったと思った。
ランチを後回しにした分、時間に余裕ができた。座席についてまだ明るいシアタールームでゆっくり食べられる。
「この映画の原作読んだ?」
「ううん。隆平は読んだの?」
「読んだ。結構展開が予想外でさ…」
「あーそれ以上言わないで!」
「ははっ。冗談だって」
隆平はホットドックにかぶりつきコーラで流すとポップコーンをつまみ始めた。
「なあ、俺泊まって大丈夫だったのか?」
「何が?」
「だから、お前彼氏いるんじゃねえの?」
全く覚えのないことを聞いてくる。隆平は気をつかっているのか何も映っていないスクリーンをまっすぐに見ている。
「いないよ。なんでそう思ったの?」
「昨日寝る用のTシャツとズボン貸してくれたから。あれ、男物だろ」
「あれは…友達のだよ」
隆平はこっちを見た。彼氏じゃない男の服が家にあるほうが変なのかもしれないと思った。なんとなく気まずくてメロンソーダを飲んだ。タイミングよく上映開始のブザーが鳴って部屋が暗くなった。隆平はスクリーンに目を移しホットドッグの残りをほおばった。
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