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第20話
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翌日。扉をノックされる音で、微睡んでいた意識が呼び起こされた。誰か客人が来るという話も聞いていない。
ノック音が聞こえていたのか、師匠が奥の部屋から出てきた。するともう一度扉がノックされて、外から声が聞こえてきた。その声には聞き覚えがあった。どうやら師匠も同じだったようだ。
返事をしてからゆっくりと扉を開けた。
そこにいたのは一人の獣人男性だった。
「お久しぶりですね」
「ルルカの森がおかしいという話を聞いて、近くにいたから寄ったんだ」
そう言って家の中に入ってくると、その人は俺に気が付いた。何も言われなかったが、思わずテーブルの下に隠れるように入ってしまった。
グレースとは違う、猫の目が鋭く俺を見つめている。彼なら、魔物だからと言う理由で俺に攻撃してもおかしくない。
「ミストルロウ、どうかしましたか?」
「魔物と契約したんだな」
「ええ、そうですよ」
俺から視線を逸らして師匠を見た男性――ミストルロウは、ゴールデンタビータイガーの獣人で俺の件の師匠だ。
ミスト師匠は、俺に剣を教えてくれた剣の師匠だ。幼い俺に丁寧に剣の扱い方を教えてくれた。俺が旅に出る半年ほど前まで教えてくれていた。
ノック音が聞こえていたのか、師匠が奥の部屋から出てきた。するともう一度扉がノックされて、外から声が聞こえてきた。その声には聞き覚えがあった。どうやら師匠も同じだったようだ。
返事をしてからゆっくりと扉を開けた。
そこにいたのは一人の獣人男性だった。
「お久しぶりですね」
「ルルカの森がおかしいという話を聞いて、近くにいたから寄ったんだ」
そう言って家の中に入ってくると、その人は俺に気が付いた。何も言われなかったが、思わずテーブルの下に隠れるように入ってしまった。
グレースとは違う、猫の目が鋭く俺を見つめている。彼なら、魔物だからと言う理由で俺に攻撃してもおかしくない。
「ミストルロウ、どうかしましたか?」
「魔物と契約したんだな」
「ええ、そうですよ」
俺から視線を逸らして師匠を見た男性――ミストルロウは、ゴールデンタビータイガーの獣人で俺の件の師匠だ。
ミスト師匠は、俺に剣を教えてくれた剣の師匠だ。幼い俺に丁寧に剣の扱い方を教えてくれた。俺が旅に出る半年ほど前まで教えてくれていた。
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