魔王に呪いでフェンリルにされたので狼生を謳歌する考えです

第15話

15-5

　僅かだったが、魔物の気配がした。しかし、その気配がおかしい。今にも消えそうに感じるのだ。
　どうやらライアンもおかしいと感じているようで、不思議そうな顔をしている。
　何も話さず奥へと進んで行くと、動物の匂いが強くなってきた。どうやら、この先に動物が集まっているようだ。
　魔物がいるであろう場所にどうして動物が集まっているのだろうか。よほどのことがない限りあり得ない。
　動物は魔物にやられることが多い。中には動物を襲わない魔物もいるが、だからと言って魔物がいる場所に集まることはない。

「何が起こってるんだ？」
「それを調べに来たんだろ？」

　笑みを浮かべて言うと、ライアンは「それもそうだ」と言うと笑みを浮かべた。
　旅をしてきて今までこんなことはなかった。ライアンも同じだろう。二人きりになって話すこともあまりなかったのだから仕方がないのだろうが、ライアンが笑うところなんて初めて見た。
　一緒に旅をした時間が短いのだから仕方がないのかもしれない。
　それにしても、今日は鳥の声も聞こえない。しばらく黙ったまま歩いていると、洞窟が見えてきた。