魔王に呪いでフェンリルにされたので狼生を謳歌する考えです

第4話

4-1

　フェンリルになってから初めての外での生活に疲れていたのか、食後はすぐに眠ってしまった。本当は師匠と話をするつもりでいたのだけれど、体は休息を欲していた。使っていた部屋に入り、ベッドに乗り瞼を閉じるとすぐに眠ってしまったのだ。
　次に目を覚ましたのは、何か騒がしい音が聞こえたからだ。すでに朝日が昇っていて、鳥の声も聞こえている時間。
　もともとあった俺の部屋は、出て行ったときから変わっておらず、掃除もされていた。だから懐かしい俺のベットで眠った。それなのに、まさか誰かの声で目を覚ますことになるとは思わなかった。
　声は聞き覚えがあるものだったけれど、師匠が誰かといるということは話しかけることはできない。契約獣であっても、話す魔物は少ない。知能が高い証拠でもある。だからこそ、喋る魔物は恐れられる。
　俺が知っている人であっても、相手は俺だということは分からない。だから黙っていなくてはいけない。話したくても我慢しなくてはいけないのだ。
　このまま部屋に籠っていてもいいのだけれど、いつ帰るのかが分からないままずっと部屋にいなくてはいけないというのは苦痛だ。
　ベットから降りて伸びをしてから、前足をドアノブにかけて少しだけ扉を開いた。部屋は三階にある。二階は師匠の部屋だ。足音を立てない等に階段を下りていく。姿を確認することはできないが会話が聞こえてきた。

「スキルラさんは、信じているんですか!?」
「剣が戻ったのなら、信じるしかありません」
「私は信じません。リクトが死んだなんて……信じられるわけがない」