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第四章 闇オークション

闇オークション2

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 馬車を走らせ数時間。ウェスイフール王国についたのは日が落ちた7時を回った頃だった。入国する際、門番に睨みつけられたが止められることもなく簡単に入国出来てしまった。門番の意味があるのだろうかと思ったが、余程怪しい者でなければどこの国の門番も声をかけないとエリスが呟いた。だが、ウェスイフール王国の門番はお酒を片手に持っていたため、たとえ怪しい者が来たとしても止めることはないのだろう。
 スピードを出さず、エードは宿の前まで馬車を走らせた。時間的にも宿の前で下した方が安全だと考えたからだろう。その宿に空きがあるかは分からないけれど。それに、下手に止めてしまうと自分が襲われる可能性もある。走っている馬車には手を出さなくても、止まっている馬車には襲い掛かってくるような誘拐目的ではなく、強盗のような者もいるだろう。だからこそエードは馬車を止めなかったのだ。宿がある場所の方が絶対ではないが、安全だと考えたのだ。
 馬車の中から見るウェスイフール王国は不気味といえた。歩いている人間は綺麗な服を着ていた。だが、少し後ろを歩く者は足に鎖がつけられ、その先に重りがついていた。球体の重りを引きずり歩き、首輪をつけられそこから伸びる鎖を前を歩く者に握られていた。目は虚ろで、歩いていても何度も転んでいる者や、今にも転びそうな者が多い。
 服はボロボロで、服といえるのかも分からない汚れた布だった。鎖を握られ、逃げられない者は獣人が多かった。獣人といっても、全てが人よりの獣人。中にはエルフや人間の子供もいる。それを見て龍は眉間に皺を寄せた。
「可哀想だけれど、私たちは白龍を助けることしか出来ないの……」
「分かっている」
 外を見ず、俯いているエリスの言葉に龍は頷きながら答えた。エリスはそれを見たくはないのだろう。だから、俯いているのだろう。本当は全ての奴隷となってしまった者たちも助けたかった。けれど、今回自分たちは白龍を助けるためにこの国に来たのだ。白龍以外も助けたいと思い、助ければ白龍を助けることが出来なくなってしまうかもしれない。
 その者たちを助けて、白龍も助けることが出来れば良い。しかし、奴隷たちを助ければ白龍を助けることが出来なくなってしまう可能性が高い。そうなってしまえば本当に最悪だ。もしかすると、二度と白龍と会えなくなる可能性だってあるのだから。
 手を強く握り、龍は外の光景を目に焼きつけた。今は平和になった国の隣は、未だにこんなにも酷いのだと。国王がいないだけで、ここまで酷くなってしまうのだと。これが、国王がいた頃から変わらないのか、それとも国王がいなくなってしまったために悪化したのかは分からない。
 建物と建物の間に奴隷が倒れていても誰も心配しない。鞭打たれていても助けることはない。それがこの国では当たり前なのだ。自分たちが良ければ、奴隷がどうなっていようが気にしないのだ。
 馬車がゆっくりと止まると、扉が開かれた。深くフードを被ったままのエードがそこにはいた。先程より少し深く被っているのは、自分と同じようなエルフがいたからだろう。エルフも珍しいが、ハーフエルフも珍しいため見られないようにと注意し深く被っているのだろう。
「宿に着きました。忘れ物がないように確認をしてから気をつけて下りてください」
 その言葉に先に下りたのはリシャーナだ。いつものバッグを持ち、馬車から下りると部屋が空いているかを確認しに、先に1人宿の中へと入って行った。
 荷物を持って下りたエリスに続いてユキが下りたが、エードが手を差し出した。だがユキは首を横に振り、その手を取ることはしなかった。
 黒麒と龍が下りるときも手を差し出したので、女性に対しての行動なのだろう。龍はその手を取らなかったが、黒麒は手を取りお礼を言っていた。
 最後に白美とラアットが馬車から下りる。忘れ物がないか確認するとエードは一度頷き扉を閉めた。
「それでは、私はここで失礼します……お気をつけて」
 一礼をして静かに馬車を走らせて去るエードを暫く黙って見つめていた。馬車が見えなくなると全員が宿の中へと入った。
 受付でリシャーナが話しをしている。まだ鍵を持っていないということは、もしかすると部屋は空いていないのだろうか。
「部屋は空いていないのかい?」
 リシャーナに問いかけたのはエリスだ。宿内に入って来ていたことに、リシャーナは気がついていたようだが、受付の女性は気がついてはいなかったようだ。
 その目は見開かれている。エリスの声に驚いたからではない。ユキを見て見開かれたのだ。この国ではたとえどんな者であっても、獣人は奴隷にしか見えないのかもしれない。
 リシャーナとエリスを見て、女性はエリスに声をかけた。どちらに声をかければ良いのかが分かったようだ。その目はユキを見ており、見下しているように見える。
「失礼ですが、お連れの方は奴隷でしょうか?」
「……もし奴隷だったら、何かあるのか?」
 女性の声にエリスの目つきが鋭くなる。ユキを奴隷と言われ、不機嫌になったのだろう。声も低く、女性を睨みつけて言った。そのため女性はエリスの目を見て、一歩後退りをして息を飲んだ。
 この国の宿、もしくはこの宿にはもしかすると奴隷を泊めてはいけないという決まりがあるのかもしれない。階段を上っていく他の客の目がユキへと向けられている。まるで汚いものでも見るかのように眉を寄せている者がほとんどだ。彼らにとっては獣人は全て奴隷に見えて仕方がないのだろう。
「あの、この宿では、奴隷は泊めることが出来ません。……なので、奴隷は外で、お願い……します」
 声を震わせ、エリスと合わせていた目線はいつの間にか顔ごと床を見ていた。見る見ると不機嫌になっていくエリスに、目線を合わせていることが出来なくなってしまったようだ。
 受付カウンターにエリスは両手を強くついた。響いた音に、女性は肩をビクつかせた。音の大きさに、ユキの耳が僅かに動いた。
「獣人全てが奴隷だと思ってるあんたらにはこの子が奴隷に見えるんだな。綺麗な服を着ているし、鎖も首輪もついていない。この国では良いかもしれないけど、他の国でも同じ態度でいると……殺されるよ。ミサキさん」
「ひっ!!」
 何処にも書かれていない名前を当てられたことと、ここがウェスイフール王国ではなかったら殺しているという意味が分かったのか女性――ミサキは悲鳴をあげた。
 エリスに顔を近づけて言われたこともあり、ミサキはその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
「も、申し訳ございません!」
 受付カウンターの奥の扉から1人の男性が飛び出してきた。関わりたくないという顔して、扉の隙間から様子を見ていた男性だとラアットは気がついた。護衛として一緒にいるため、警戒をして一般人には分からないように宿内へ視線を向けていたのだ。
 この男性はミサキがエリスにユキのことを問いかけているとき、扉の隙間から見ていたのだ。本来であれば、客と揉めた場合は立場が上の者が出てくるはずなのに彼は出てこなかった。そのままにしていて、何かが起こっても良かったとでもいうのだろうか。
 関わりたくなかったがために、この男性は宿の主人であるのに今まで出てこなかったのだ。ラアットは気づかれないように溜息を吐いた。
「そちらの方が奴隷でなければ、宿泊は可能です。ですが、現在空き部屋が一つでして……」
「この宿の主人にならもっと早く出てくれば良かったんじゃないのか」
 腕を組み、左腰に差している刀の柄を握りながら冷たく言うラアットに主人は息を飲んだ。どうしてこの宿の主人だと気づいたんだと目を見開いた。ラアットは何も言わなかったが、口元に笑みを浮かべた。
 その笑みは、誰かをいじめるのは楽しいと言いたげだったため、笑みの意味が分かった白美に脇腹を軽く肘で小突かれていた。脇が弱いのか、ラアットは小さく悲鳴を上げて小突かれた場所を押えた。
「部屋はその一つで良い」
「あ、ありがとうございます! 2階の右側角部屋となります」
 205と書かれた鍵を、震える手で男性は受付カウンターに置いた。そして、座り込んでいたミサキが一枚の紙とペンを差し出した。
「こ、これに宿泊する方のお名前を、お願いします」
 置かれた鍵をリシャーナが取り、何も言わずにエリスと目を合わせて階段へと向かった。黒麒がユキの手を取りリシャーナのあとを追った。
 ペンを手に取り、エリスが名前を書きはじめるのを見て白美とラアットも階段へと向かった。その手には荷物があり、持ってきた荷物は彼らが部屋に運んでくれるようだ。
 エリスが黙って名前を記入していく。姿が異なるため、本名を記入することは出来ない。そのため偽名を記入する。宿に泊まる人の多くは本名を記入することはない。何故なら、奴隷を連れているような者ばかりだからだ。今一緒にいなくても、家に帰れば奴隷がいる人が多い。何かあり、名前を調べられたときに家に来られても困るため本名を書かないのだ。名前だけで、何処に住んでいるかが分かるという人も中にはいる。だから、本名を書かない。宿屋の主人も本名でないことを知っているが、何も言わない。名前さえ書いてもらえれば、本名だろうとも偽名だろうとも構わないのだから。
 エリスが書いた名前は、エリト。クロ。キリ。ハク。シロ。リヤ。ラアット。
 偽名を書いてくれとは言われなかったため、ラアットの名前だけは本名だった。ただ、浮かばなかったというだけでもある。
「ありがとうございます。……こちら、宿泊なさる全ての方に渡しております。部屋にあるゴミ箱に捨ててくださって構いません」
 震える手で男性が差し出す紙を龍が受け取った。その紙を見て、差し出すのにどれだけの勇気が必要だっただろうかと心の中で呟いた。
 今の自分たちには良い情報となった紙ではあったが、宿泊する人に渡すとしても、先程ユキのことでエリスは怒っていたのだ。この紙を渡すことによってまた不機嫌になってしまう可能性だってあったのだ。
 頭を下げる2人に龍は何も言わずに階段へ向かったが、エリスは違った。睨みつけるように2人を見て口を開いた。
「きっと今のままだと近々後悔することになる」
 それだけを言うとエリスは龍のあと追った。今の言葉の意味はどういうことなのか。2人だけではなく龍にも分からなかった。しかし、エリスが言うのだから、近々後悔するような何かが起こるのだろう。龍はそう思い、先にエリスを行かせて自分は後ろについて行った。
 部屋に入るまで2人は何も話さなかった。先に部屋に来ていた黒麒たちもとくに話しをしていなかったようで、扉を開いたと同時に視線が集まった。
 二つしかないベッドに全員が座っており、二つのイスには誰も座っていなかった。エリスと龍はそのイスに座り、龍は手に持っていた紙をテーブルに置いた。
「そういえば、何か渡されていたね。捨てて構わないって言ってたけど……」
 部屋の外で誰かが聞いているかもしれない。エリスは口調を戻さずに、龍が置いた紙を手に取り目を見開いた。その紙には闇オークションのことが記載されていたのだ。開催日は今日。時間は夜9時。場所はこの宿の近くの建物の地下だった。
「まさか、今日が開催日だったなんて……」
 もしかするとそこに白龍がいるかもしれない。いないとしても、何か情報を入手することが出来る可能性がある。行かないという選択肢はなかった。
 開催まではあと2時間もない。最低でも10分前には会場に入るようにしようと紙を見ながら呟くエリスに全員が頷いた。
「良い。この国では絶対に1人にならないこと。たとえ男性でも誘拐される可能性が高いから」
「分かった」
 エリスの言葉にもう一度全員が頷く。白龍を助けに来ているのに、他の誰かが誘拐されるのはたまったものではないだろう。洒落にならない状況である。
 話しを聞きながらラアットは青いビー玉のようなものを右手でいじっていた。服のポケットにでも仕舞っていた青いビー玉を何故いじっているのか。とくに変わった様子はないが、それを持って来ているということは何かに使うのだろうか。
 気にはなるが、それだけの理由で見せてもらうわけにはいかないので、龍は気にしないようにした。もしかすると、聞くタイミングがあるかもしれない。そうすれば、そのときに聞いてみれば良いのだ。
 闇オークションにいったいどのくらいの人がやって来るのか。どんな人たちが訪れるのか。ここにいる誰もが闇オークションに行ったことがないのだから知りはしない。
 ただ言えるのは、奴隷を購入することのできる存在ばかりだということだ。奴隷を購入出来るのだから、大金を持っている貴族などが多いだろう。
 中には興味本位で訪れる者や、家族や恋人などが誘拐された者も訪れることもあるだろう。しかし、そういう者たちは金額からどうすることも出来ないのだ。ただ、大切な存在が知りもしない者に奪われるのを見ていることしか出来ない。
 そうならなければ良いと龍は思うが、もしもそこに白龍がいても出せないような金額をつけられていたらと考え頭を振った。今考えても仕方がない。それに、もしかするとそうなった場合、エリスはどうするのかを考えているのかもしれない。そのとき、何かを命じられるのならば、それに素直に従おうと決めて龍は小さく息を吐いた。









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偽名の人たちの正体
エリト(エリス)。クロ(龍)。キリ(黒麒)。ハク(白美)。シロ(ユキ)。リヤ(リシャーナ)。
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