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5話
5-6
しおりを挟む「魔法ってのは、使うためには魔力が必要だってのは知ってるよな?」
「もちろん知っているわ」
「なら、人それぞれに魔力の器があることは?」
「ディオース王国は魔法大国ですもの、子供でも知っているわよ」
ノワールの言っている器というのは、入れ物のことだ。
魔法を使える人には、魔力がある。その魔力を消費して魔法を使うのだが、一度に使える量が限られている。再度使うには、消費した魔力を回復しなくてはいけないため時間がかかってしまう。
器は人それぞれで、コップ一杯分の魔力しかない人もいれば樽一つ分の魔力を持っている人もいる。それ以上の人もいれば、自分の魔力の器が分からないくら器が大きい人もいるくらいだ。
「もしかして貴方が言いたいのは、結界を張ったときに器分を使ったってことかしら?」
「もしくは、それ以上を使ってしまったかだ」
器以上の魔力を使ってしまえば、器が壊れてしまい魔法を使うことができなくなってしまう。
結界を張ってから使うことができないのなら、器が壊れてしまった可能性が高いとノワールは言いたいのだろう。
「その可能性が高いかもしれないわね」
結界を張ったのは半年も前のことだ。器が壊れていないのに半年も聖魔法が使えないということはないだろう。今まで通り使えるようにならなくても、少しは使えるようになっていてもおかしくはない。
可能性としては、ルージュの魔力の器が壊れてしまったことしか考えられないだろう。
「聖魔法で怪我を治すことができなくなったことは悲しいけれど、使えなくなったのはよかったのかも」
「どうして?」
「だって、誰も『聖女』としてではなく『ルージュ・ルナーレ』として見てくれるでしょう?」
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