追放聖女は呪われました

3話

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　暫く馬車を走らせていると、ディオース王国の国境になっている石の壁と門が見えてきた。
　門の近くには門番の休憩所があるだけで何も建っていない。普段門番も立っていることがないため、出入りは自由になっている。休憩所も最近は使われていないようで、窓が汚れていて中が見えなくなっている。

（これだから、外から魔物が侵入してきていたのよね）

　今は結界があるため侵入される心配はない。本来であれば門番を置いておくだけで魔物の侵入も減っていたのだけれど、約半年前から次期国王になるための訓練としてニールに指示権が与えられていた。
　そのせいもあって、門番は必要ないと全員撤退させられた。どうやらニールは門番がいなくても魔物に侵入されることはないと考えたらしい。そのせいで多くの魔物が侵入してしまい、ルージュが急いで結界を張らなくてはいけなくなった。
　国王が何も言わないのは、ニールが国王としてやっていけるのかを見定めているからだろう。
　このままだとニールは国王になることはできないだろう。
　指揮権を与えられた期間は一年。よほどの問題が起こらない限りは、一年間指揮権を与えられている。しかし、国王からの指示は現在もある。まだ国王ではないニールに任せられないことも多い。
　卒業パーティーで何かを言おうとしていた国王は、本当はルージュの追放を無かったことにしようとしていたのだろう。百年に一度の聖女を追放するなんて普通はありえない。
　けれどルージュが口を出すのを拒んだため、追放されてしまった。国王であればいつでも撤回はできるのだが、ルージュ本人が拒んでしまえばどうすることもできないのだろう。結界が張っているため、国は安全であるのでそれ以上何も言わなかったのかもしれないが、ルージュが追放されることに何も言わなかった本当の理由は、見定める最終段階に入っているからだろう。
　開かれた門の前で馬車が止まる。ルージュは両手にカバンを持ち、購入した食材が入っている紙袋を抱えた。そして扉が開いた。
　抱えている紙袋で前は見えるけれど、足元は見えないため慎重に馬車から降りる。