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3 痴漢コース Light ★

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 ホームに降りると、正面に新たな車両が到着した。見たことのある車両だが、行き先を示すLEDには『貸切』と表示されている。

「こちらに乗ってください」

 オリオンの言葉とともにドアが開き、促されるまま乗り込んだ。座席には、まばらな人影がある。貸切とあったが、車内の様子は普通の電車とさほど変わらなかった。オリオンは奥へと先導し、長椅子の中ほどで立ち止まる。

「こちらでお待ちください。すぐに担当の者が参りますので」
「はい」

 空いた長椅子に座ろうとすると、オリオンは手で制し、吊り革を示した。

「いえ、どうぞ、立ったままで」
「え? あ、はい」

 なんとなく違和感を感じながら、オレは空っぽの長椅子の前に立つ。車両が動き出し、オリオンは別の車両へと移動していった。ひょっとしたらここが会場かと思っていたが、違うんだろうか。暗い窓の外を見る。流れる夜景の上に、心許なげな自分の姿が映っていた。

 ほどなくして、隣の車両から1人の中年男性が歩いてきた。コートを着て、髭を生やした背の高い精悍な男性だ。どこか上品な空気を纏っているのは、小綺麗な服装のせいかもしれない。彼は隣のつり革に掴まると、こちらに向かって軽く頭を下げた。野太く響く声で話し始める。

「野々田様ですね。担当させていただきます、スネルと申します。本日はよろしくお願いします」
「えっと、よろしくお願いします」

 彼は慣れた様子で頭を軽く下げた。

「初めてだとお伺いしております。本日は軽めにしておきましょう。ご自分に合うかどうか、それで判断していただければ……」
「は、はい。あの、マッサージ、ですよね? どこで……」

 男はフッと笑みを浮かべた。

「もちろん、ここですよ」

 どこか有無を言わせない調子で言われ、オレは疑問を飲み込んだ。なぜここで。ただ、男の目は何も心配はいらないと語っていて、なぜだかオレは彼を信用できる気がしていた。

「では、軽く足を開いていただいて……そうですね。吊り革を両手で掴んでいただいて……はい。では、目を瞑ってください」

 言われるがままに目を閉じる。

「失礼します」

 一瞬の出来事だった。逞しい男の腕が、背後からオレの腰に触れる。音もなくベルトを外され、そのまま男の手が下着の中に滑り込んでくる。驚いて目を開いた。

「何をするんですかっ……んっ……」

 男の骨太い手が、繊細に鼠径部を辿る。あまりのことに、頭が真っ白になった。逃れようとしたが、男の体はビクともしない。目の前の窓に、頬を染めた自分と後ろから抱きすくめる男の姿が映って、思わず目を逸らした。男が耳元で囁く。

「心配はいりません。窓には外から見えないようフィルムを貼っています。それに、座席にいらっしゃるのは本日の【せん】の皆さんですから」
「見る専って……っう……」

 男の濡れた手が、絶妙な力加減で竿に触れ、扱く。痺れるような強い刺激が熱を伴って下肢に拡がった。思わずゴクリと唾を飲み込む。他人に扱かれるのは、こんなに気持ちいいものなのか? 身動きもできないまま、睫毛を伏せた。

「ああ、上手く集中されていますね。いい調子です……」
「……っ、……」
「しっかり吊り革を握っていてください。大抵の方は、じきに立てなくなります……」

 頭上に上げたオレの両手を、男の手がそっと撫でる。オレは無意識に吊り革を握り直していた。羽のように優しく茎を撫でられて、もどかしい感覚に身動ぐ。もう片方の手で腰をねっとり撫で上げられると、よりいっそう疼きが強くなった。状況に思考が追い付かないまま、熱だけが昂っていく。

「ああ、座席の皆さんが、あなたの姿を見て興奮されています。こんなにも物欲しげなお顔をされているのだから……無理もないですね」
「っく……ぅっ……」

 あちこちから視線を感じる。男の太い指がそっと顎に触れ、導かれるように顔をあげた。窓越しに男と目が合い、 同時に自分の恥態が視界に入る。スーツ姿の自分は、身を震わせて耳まで紅く染め、濡れた視線をこちらに投げかけていた。下着の中で男の手が蠢めいている。電車の中で、しかも乗客に見られているのに、こんな……。熱のせいで感覚が麻痺したのか、強く身内の熱が疼いて仕方がなかった。下腹の熱がじんわり上がってくるのを感じる。

 男の手がシャツの裾から中に滑り込んだ。胸を円を描くように撫でられて、ぞくぞくする刺激に思わず息を詰めた。

「こんな風に他人に触れられるのは初めてですか?」
「あ……ッ」

 胸の突起をキュッと摘ままれて、思わず喘ぎ声が口から洩れる。今まで感じたことがない甘い刺激が走って、驚きに目をしばたく。

「……初めて……です……こんな……っ……」
「よくなってきましたね? もう少し強くしてみましょう」

 下着の中で茎の根元にサワサワと触れていた手が、今度は手のひらで茎の先端を撫で回しはじめた。先から零れる先走りの粘液が男の手を濡らし、ヌルヌルと滑らかに動く。あがってくる甘い刺激に耐えきれずに身体が跳ねた。クチュクチュと水音が響く。ひょっとしたら周りの乗客にも聞こえているかもしれない。

「っ、……んんっ!」
「もうこんなに濡れてますね。初回でこれほど感じていただけるなんて……光栄です」
「っう……! まってくださぃ、それ……っ」

 強烈な感覚に声を抑えられない。 

「余裕のない顔、ますます可愛いらしい……あぁ、中までグチャグチャにしてしまいたい」
「ぁ、あっ」

 男の熱い息が耳にかかり、硬いモノがスーツ越しに臀部に押し当てられる。手の動きを早められて、強くビクンと身体が跳ねた。足が震えて、今にも崩れそうになる。

「ああ、お試しでなかったら、今すぐこの場で奥までグズグズに突いて差し上げたいのに」
「~~っ、っ、は……ッ」

「ご自分で腰を揺らしてますね? こんな電車の中で、私の手を求めて、自ら快感を煽っているなんて……とても淫らで嬉しいです、野々田様……」
「ぁ、あッ……」

 体が熱い。男の手でヌチュヌチュと亀頭を撫で廻され、荒い息を吐く。昂った熱で、耳元の男の言葉もぼんやりとしか理解できなくなっていた。

「それ、いじょう……っ、ん……ッ!」
「いいですよ、そのまま出してください」
「そんな……っ、ぃや……」

 首を振って堪えたが、男の大きな手はさらに高みへ導いていく。

「ほら……遠慮はいりません」
「ぅ……ッ」

 上がってくる射精感を堪えきれず、吊り革を握りしめ、男の手の中に白い蜜を解き放つ。

「っ……ん……ッ!」
「ああ……」

 震えるオレの身体を、男が抱き締めるように支えた。絶頂の後の感覚に目眩がする。下着から手を引き抜いた男が、水音を立てて手のひらを舐めとった。

「気持ちよかったですね? とても、甘いですよ」
「……っ……」
 
「今日は来ていただいて、ありがとうございます。またお会いできるのを楽しみにしてますよ」

 耳元に熱い吐息を吐いて、男は去っていった。オレは虚脱感に見舞われて、ただ吊り革にぶら下がる。まだ頭に熱が残っていて、思考は遅々としていた。
 いつの間にか、隣にはオリオンが立っている。

「野々田様は、こちらのコースに適性がおありですね」
「……てき、せい?」
「ええ。もっと刺激が強くても大丈夫そうです」

 彫像のような相貌の男はにっこりと微笑んだ。

「それでは、次に参りましょう」

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※次は乗客視点になります。
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