退屈な日常を変えるために打ったメールは、どこかの誰かに届いたらしい

第１話

つまらない。
平凡な日常。
朝起きて学校に行き、退屈な授業を聞き流し、帰って寝る。
そんな毎日の繰り返しに、なんの意味があるというのだろう。
いや、意味などなくてもいい。
楽しければ、それでもいい。
だが楽しくもなんともない。
過ぎ去っていく日々をただぼんやりと消化しているだけだ。
イベントもなく。
楽しいこともなく。
何かが起きることもなく。
退屈だ。

アニメや漫画や小説の見過ぎかもしれない。
人生は何かが起こるものだと、そういう幻想を抱いているだけなのかもしれない。
でも、何かが起こってほしい。
世界征服を企む悪者を倒したり、異世界転生したり、河童になったりしなくていい。
何か、平和的なイベントが起こってほしい。



そんなある日、俺は部屋で考え事をしていると発想の転換を迎える。
コロンブスの卵だ。
いやそんなに高尚なものじゃない。
まぁとにかく発想の転換だ。
起こるのを待つんじゃなくて、起こすのだ。
起こるを起こす。

思い立ったが吉日、善は急げ、早い者勝ちということで、俺は行動を起こす。
俺はすぐ行動してしまう人間なのだ。

   俺と友達になってくれませんか？

メールを作成する。
宛先は、テキトーに打ち込む。
送信、っと。
これで変なおっさんとかに行ったらどうしよう。
その前に届くかどうかが不安だな。

ピロリン♪

うぉっ?
早速なんかきた？
急いでメールを開く。
今の速度はきっとギネスいけるだろう。

…迷惑メールだった。
人生、そんなにうまくいかないもんだな。
目覚ましをセットして寝る。



翌朝。
メールが何通か来ている。
今日は迷惑メール多いな。
全部消去しようとして、目と手が止まる。

   うちでよかったら、よろしくお願いします。

ん？
あれ？
なんだこれ？
俺そういうサイトに登録とかしたっけ？
完全には起きていない頭が軽く混乱する。
いや待てよ、俺昨日なんかした気がする。
そうだ、メール送ったんだっけ。
あれ届いてたんだ。

   こちらこそ、よろしくお願いします。

メールを打ち、送信する。
少しだけ、気持ちが前向きになるのを感じた。