私の愛した王子様

山美ハル

文字の大きさ
上 下
21 / 42

兄と妹(11)

しおりを挟む

夕日が沈む

夜が来る

それでもよかった

「こんな状況をマドレーヌに見せれないな」

サバランはつぶやいた

怪しい魔法使いの男は魔獣ケロロアマスに食われ灰になった

「良かった」

回復魔法の心得があるサバランはマドレーヌの傷を癒していく

「これで良し」

マドレーヌの傷は見かけよりはまし

サバランは自身の怪我を治療を始める

「さてと」

サバランは自身の怪我の治療を行いながらマドレーヌを起こす

「マドレーヌ起きてくれ」

「起きろ」

「う~んもう少し」

マドレーヌの寝言を聞き安堵した

「この状況だったら大丈夫だな」

「マドレーヌ起きろってば」

「はい?」

マドレーヌが目を覚ます

「お兄様私・・・」

マドレーヌが泣きそうになる

「もう終わったんだよマドレーヌ」

マドレーヌはサバランに抱き着く

「でも試験が試験が」

「私が説明しに行きます」

マドレーヌは立ち上がり山を下りようと走る

サバランはその場に立ったままだ

「あれお兄様早くいきましょう?」

「俺はいけない・・」

このことが知れたらどうなるか

父や母、妹が危険な目に合うかもしれない

「マドレーヌだけ帰るんだ」

「どうしてみんな分かってくれます」

マドレーヌは必死にサバランを説得する

「お前の為なんだ」

「ですが・・・」

優しい性格のお兄様は

私たちが危険な目に合わないように考えてるんだろうけど

私は嫌だ!!!

「なら私もお兄様と出ていきます」

マドレーヌはサバランに近づこうとする

サバランは真剣な顔で

「それは駄目だ」

強い口調でマドレーヌを抑制する

マドレーヌはその場で足を止めた

「お兄様」

「ひどい・・・」

優しい兄に初めて強い口調で叱られたマドレーヌは泣いてしまう

私が泣けばもしかしたら

兄は残ってくれるかも

マドレーヌは期待した

「マドレーヌ」

「はい」

サバランはマドレーヌに向かって歩く

「やっぱり残ってくれるんですねお兄様」

サバランは深呼吸を一回すると

マドレーヌに言葉を発する

その顔は泣いていた

記憶一部操作メモリーズワン

「ええお兄様」

「何で?」

マドレーヌはそこで棒立ちになる

ごめんなマドレーヌ

お前を危険な目に合わせたくない

この魔法は魔術が上達したら勝手に解けるからな

俺がいなくなってからも魔法の修行をしっかりとしろよ

サバランはマドレーヌのリボンを取った

サバランは涙を拭き

笑顔で告げた・・・

「本当に愛してるよマドレーヌ」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】あの子の代わり

野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、 婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。 ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。 18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、 キャリーヌにいないからという理由だったが、 今回は両親も断ることが出来なかった。 この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。

あなたの婚約者を私にちょうだい?

ララ
恋愛
上級生の彼女は、嬉々とした表情で私に言う。 あなたの婚約者を私にちょうだい?

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

処理中です...