私の愛した王子様

山美ハル

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紅茶を求めて(2)

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心臓の鼓動が耳まで聞こえるこの経験はあまりしたくない

「紅茶をお持ちしました」

「ありがとう」

先程の怒りを忘れたのかマーガレット様は読書をしておられる

「本当に腕試しに参加されるのですか?」

キャンディが大会に参加するとあってマーガレットはやる気満々である

もともとマーガレットとキャンディは学園の先輩、後輩の中である

「当たり前よ」

マーガレットの目が燃えているようだ

「でも王子の婚約者ですから」

今はキャンディが王子の婚約者の座についている

「私には関係ないことよ」

「あまり派手な事をするとばれてしまいますよ」

「大丈夫よ」

何が大丈夫なのか一向に分からないと思うキャサリンであった

「マーガレット様は大会に出たことがあるのですか?」

「ないわね」

マーガレットは紅茶を一口飲む

「危ないのでは?」

「そうかもね」

「大人しく水晶玉で見ておきましょうよ」

キャサリンは水晶玉を指さす

「もう決めたのよ」

「では頑張ってくださいね」

「貴方も来るのよ」

マーガレットは何喰わない顔で伝えた

「ぇえええ」

「何で私が?」

「貴方は私専属のメイドでしょ」

キャサリンはマーガレットの専属メイドとして雇われている

その所為で王暗殺の罪を着せられたマーガレットと共に幽閉されている

幽閉された後もマーガレットの世話を全部担当させられている

「それはそうですが」

「大丈夫」

「優勝した際に手に入る紅茶はあなたにも上げるわよ」

「そういう問題では・・・」

「カラメールに紅茶を飲ませてあげたいんでしょ?」

「なぜそのことを?」

「貴方とカラメールが仲がいいことは知ってるわ」

お世話になっているカラメールに紅茶を飲ませてあげたいと思っている

「でも私は魔法を使えないのでここから離れることが出来ませんよ?」

「大丈夫私の魔法で貴方のそっくりを用意するから」

マーガレットは指を鳴らすとクローゼットからキャサリンそっくりな人物が出てくる

「うわ 私だ」

キャサリンは自分そっくりな偽物を見て触る

「これで問題ないでしょ」

「まぁそうですが」

「勝てる見込みがあるのでしょうか?」

「相手が魔道神術パレミートレベルなら五分五分ね」

「マーガレット様は氷魔術を使えるのですよね?」

マーガレットの右手から氷が出てくる

「先ほど出された手はいったい何ですか?」

先程目の前に現れた不気味な手が気になる

「これの事?」

マーガレットの足元から手が生えてくる

「はい」

「これは炎を操作して生み出したものよ」

「強そうですね」

キャサリンの額に汗が出てくる

「まぁ明日が来るのを楽しみにしておきましょう」

「はい」



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